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〜飲み比べ〜
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宴が終わり皆が寝静まった夜更け。
私はレイン様の横にただ座っていました。
「...」
「なんだエルシー、俺になんかようか?」
「いえ、特に用というものは無いのですが、どうやってあの魔女を倒したのですか?」
私が1番気になっているのはそれだ。
あの魔女を倒したと言うのが今でも信じられない。
クティル王国の全戦力を投入してもどうしようもなかった存在を、たった4人で封印してしまったと聞いた時には目玉が飛び出そうなほどに驚いたものである。
彼は私の質問を嬉々として笑って聞いてくれた。
「なんだ、そんな事か、それは簡単だ、パンチ1発で沈めたからな勇者の奴が」
「パンチ...1発?」
「そう、ただのパンチ1発だ、俺たち聖人3人が魔女を足止めし、その後勇者が拳1発で倒したんだよ冗談みたいな話だろ?」
彼はそう言うと酒をちびちびと飲んでから机におきました。
正直私には彼の言っている意味が分からない。
あの魔女の恐ろしさは私自身よく知っている。
人間が束になってかかった所で絶対の勝てない所を幼い子供の時に目の当たりにしているからだ。
あの日、私が覚えているのは何もできず瓦礫の下で震えて嵐が過ぎるのを待っている自分だった。
魔女と人の戦争が熾烈を極め、戦火が私の住んでいた町にまで及び、妹を残し私の家族は全滅。
その後、私は妹を教会の前に置いて町を抜けた。
そう、私は逃げたのだ。
この国から、魔女から、そして守るべき妹から...。
今更国に戻って妹探しなど、虫が良い事をしているとわかってはいるつもりだ。
私は下を向き、彼の顔を見られないでいた。
国と妹を捨て逃げた私と、恐れずに魔女に立ち向かった彼との間には、凄まじいほどに深い溝が存在していると考えています。
私が何も言わずにその場で下を向き続けていると、彼が私の頭をポンっと叩きました。
「えっ?」
急な事に戸惑う私。
「そんな思い悩むな、エルシーは別に間違ったことはしてない、そりゃ妹を置いて逃げた事は褒められたものじゃないが、お前さんはその時6歳くらいだったんだろ?、そういう行動に走ってもしょうがないさ」
「でも...私は...」
私の辛気臭い顔見た彼は一喝を入れてくれました。
「ああ~!!うるせぇな!!、そんなもん酒を飲んで寝て忘れろ!!、お前さんは妹を探しに戻ってきた、今はそれで良いんじゃないか?、好きなだけここにいろ、そして一息ついたらクティル王国に向かえ、んで妹と一緒に王国に住んじまえば良いんだよ!」
「...、でも妹は...」
生きているかもわからない。
その確認が怖いので、なかなかクティル王国に迎えない私。
行けば生死の確認ができるが、それはつまり妹はもう死んでいる事の発覚に繋がるかもしれない。
まごつく私を見た彼は私に酒の入ったコップを差し出してきました。
「よし!わかった!俺と飲み比べをしよう、お前さんが勝てばまだここでゆっくりしてから行け、俺が勝てば明日にでもここを出てってもらう!」
「えっ!?」
「スタート!!」
彼は勝手に勝負を始めたので私は焦りながら酒を飲みます。
しかし、私が半分ほど酒を飲んだ所で、彼は眠ってしまいました。
恐らくわざとでしょう、彼はにこやかな笑顔を浮かべたまま寝たふりをしているのだと思います。
「私の勝ち...、という事はもう少しここにいてもいい...」
私はコップ半分に残った酒を見ながら、これからどうするべきか真剣に考える事にしました。
私はレイン様の横にただ座っていました。
「...」
「なんだエルシー、俺になんかようか?」
「いえ、特に用というものは無いのですが、どうやってあの魔女を倒したのですか?」
私が1番気になっているのはそれだ。
あの魔女を倒したと言うのが今でも信じられない。
クティル王国の全戦力を投入してもどうしようもなかった存在を、たった4人で封印してしまったと聞いた時には目玉が飛び出そうなほどに驚いたものである。
彼は私の質問を嬉々として笑って聞いてくれた。
「なんだ、そんな事か、それは簡単だ、パンチ1発で沈めたからな勇者の奴が」
「パンチ...1発?」
「そう、ただのパンチ1発だ、俺たち聖人3人が魔女を足止めし、その後勇者が拳1発で倒したんだよ冗談みたいな話だろ?」
彼はそう言うと酒をちびちびと飲んでから机におきました。
正直私には彼の言っている意味が分からない。
あの魔女の恐ろしさは私自身よく知っている。
人間が束になってかかった所で絶対の勝てない所を幼い子供の時に目の当たりにしているからだ。
あの日、私が覚えているのは何もできず瓦礫の下で震えて嵐が過ぎるのを待っている自分だった。
魔女と人の戦争が熾烈を極め、戦火が私の住んでいた町にまで及び、妹を残し私の家族は全滅。
その後、私は妹を教会の前に置いて町を抜けた。
そう、私は逃げたのだ。
この国から、魔女から、そして守るべき妹から...。
今更国に戻って妹探しなど、虫が良い事をしているとわかってはいるつもりだ。
私は下を向き、彼の顔を見られないでいた。
国と妹を捨て逃げた私と、恐れずに魔女に立ち向かった彼との間には、凄まじいほどに深い溝が存在していると考えています。
私が何も言わずにその場で下を向き続けていると、彼が私の頭をポンっと叩きました。
「えっ?」
急な事に戸惑う私。
「そんな思い悩むな、エルシーは別に間違ったことはしてない、そりゃ妹を置いて逃げた事は褒められたものじゃないが、お前さんはその時6歳くらいだったんだろ?、そういう行動に走ってもしょうがないさ」
「でも...私は...」
私の辛気臭い顔見た彼は一喝を入れてくれました。
「ああ~!!うるせぇな!!、そんなもん酒を飲んで寝て忘れろ!!、お前さんは妹を探しに戻ってきた、今はそれで良いんじゃないか?、好きなだけここにいろ、そして一息ついたらクティル王国に向かえ、んで妹と一緒に王国に住んじまえば良いんだよ!」
「...、でも妹は...」
生きているかもわからない。
その確認が怖いので、なかなかクティル王国に迎えない私。
行けば生死の確認ができるが、それはつまり妹はもう死んでいる事の発覚に繋がるかもしれない。
まごつく私を見た彼は私に酒の入ったコップを差し出してきました。
「よし!わかった!俺と飲み比べをしよう、お前さんが勝てばまだここでゆっくりしてから行け、俺が勝てば明日にでもここを出てってもらう!」
「えっ!?」
「スタート!!」
彼は勝手に勝負を始めたので私は焦りながら酒を飲みます。
しかし、私が半分ほど酒を飲んだ所で、彼は眠ってしまいました。
恐らくわざとでしょう、彼はにこやかな笑顔を浮かべたまま寝たふりをしているのだと思います。
「私の勝ち...、という事はもう少しここにいてもいい...」
私はコップ半分に残った酒を見ながら、これからどうするべきか真剣に考える事にしました。
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