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【龍の盟約】

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 ~深淵の天空~

 完全に夜空しか見えない深淵の天空。

 あるのはただ暗い暗い雲のみの世界。

 アピスは俺を天空にまで連れてきて何がしたいと言うのかわからない。

「人間。お前は何者だ?」

「はあ!? 何者って言われても俺はただの人間だ!」

 そう答えたと言うのに彼はこう答えた。

「たわけめ! 我の目を誤魔化せると思うたか? いけすかない【調停者】とやらの眷属めが!」

 いきなり聞きなれない単語が出てきた。

「【調停者】!? なんだそれ?」

「はぁ? お前達の主人であろうが。我が庭園に忍び込みここまで来れる者がただの人間であるはずがなかろう」

 そう言われても本当に分からない。

(何だよ【調停者】って! マジで知らん!)

 頑張って彼の拘束から抜け出そうとするが、やはり力の差が圧倒的すぎて抜けられない。

「まあ良かろう。奴の願いだ。我の夫となる者としては及第点というところであろうが、今後に期待という事で特別に我との【龍の盟約】を交わしてやろう」

 その言葉を聞いた時に俺はどんな表情を浮かべて良いのか分からずにとにかく微妙な感じの心境に陥るのだった。
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