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和希VS森虎⑩

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「なっ...! なんだあいつは!」

 森虎の奴が思わずそう叫んでしまうくらいに今の俺の行動は常軌を逸していたのだろう。

 奴の出した兵隊共を一撃の下に切り裂き続け、気がつく頃には蜜香以外の兵隊は全てねじ伏せていた。

 俺が全てを切り捨てた後で奴の方を見ると、若干だが焦る奴の姿が見えた。

「おい! お前! 早く和希を倒せ! 同じ『ボードゲーマーズ』なんだろ?」

 蜜香に縋りつく様は見ていて滑稽だ。

(おいおいおい、ここまできてまだ他人に頼るのか? こいつは...)

 呆れてしまいそうだがこいつにはたっぷりと礼をしてやらなくてはならない。

 俺は向かってきた蜜香を軽く大剣の腹で殴る。

 大剣の腹で殴るとは言ったが、ラセルの攻撃力を得ている今の俺の攻撃は半端ではない。

 蜜香は顔色一つ変えずに壁際に飛ばさせるとそのままピクピクと痙攣しているのが見えた。

「さてと、後1匹」

 俺は森虎に近づいて行くのだが、その瞬間に奴が俺に飛びかかってきた。

「馬鹿め! 調子に乗って近づきすぎたな! 俺はファイターの職業も持ってるんだ!」

 奴の蹴りが妙に痛かったのはそう言うことかと納得する。

「死ねっ! 【虎狩り】!」

 そう叫びながら腰を深く落とした正拳突きを繰り出すてきたのだが...。

「...ちょっと痛いな」

 程度の感想しか出てこないのだった。
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