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EX.【愛川結美の焦燥】

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 他の皆は先に帰ってしまったが、私とカズ君はもう1日だけネッズミーランドで楽しむ事になった。

「明日のデートも楽しみだな~♡」

 私はホテルの部屋で1人右手薬指にはめたネミーの指輪を眺めながら私は幸せの絶頂の中眠りについた。

 ...。

 夢を見た。

 私の知らないカズ君の夢だった。

「カズ君! 私またテストで100点取ったんだよ!」

「...そうか」

「どうしたのカズ君? ノリ悪いぞっ!」

 私が彼の頭をコツンと小突くと彼は不機嫌になる。

「結美やめてくれ。今日はそう言う気分じゃないんだ」

「えっ...あっ! うん! ごめんね!」

 私が謝ると彼はどこかに行ってしまう。

 そして場面が変わり運動会のかけっこの場面になる。

「頑張れ~!!!」

「カズ君!」

 カズ君の応援する声が聞こえてきたので思わず彼にピースサインを送った。

(よ~し! 頑張っちゃうぞ!!!)

 私はそう思いながらピストルの音と共に全力で走った! 

 結果は1位! 

「カズ君! どう! すごいでしょ! 誰よりも早く走れたよ! 私!!!」

 1番の旗を嬉しそうに掲げながらカズ君に近寄ってみると...。

「残念だったな◯◯。でも2位って凄いじゃん!」

「うん、和希。でも本当に愛川さんは凄いよね。足も早いし勉強もできるし、私なんかじゃ敵わないや」

「そんなことないぞ。俺は◯◯の方が

「...えっ?」
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