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EX.【愛川結美の焦燥】③

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「なんでどうして!? なんでカズ君は私じゃなくてあんな子を選ぶの!?」

 あれから色んな事を彼女と競争した。

 料理、外国語、トーク力、美人度、女子力、スポーツ、楽器、数学、アクセ作り、そして経済力。

 料理ではシェフが作るようなとても美味しい料理を最高級の素材で作ってあげたし、外国語は全てマスターしている。

 トーク力では誰でも楽しませる事ができたし、美人度や女子力で私が彼女に負けているはずがない。

 スポーツでは唯一空手だけは勝てなかったが、それ以外のスポーツであれば圧勝だ。

 楽器の扱いや数学は言わずもがな。

 アクセサリー作りは最高級の素材でカズ君への愛を示した。

 そして経済力は今や世界にまで発展している愛川グループの娘であつ私の方がどう考えても一般家庭に生まれ育った彼女よりも圧倒的なまでの差があると思う。

 それなのに、勝負が終わった後にカズ君は私ではなく彼女に笑顔を向けるのだ。

「何これ...悪夢? カズ君が私以外の女子とあんなに楽しそうにして私を蚊帳の外に追い出すなんて...! 全てに置いて私に遥かに劣る癖に...!!! あの女...!」

あの女を憎む度に胸が苦しくなっていく...!

(苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しい... 苦しい...苦しいよぉ...、カズ君助けて...)

そう思って手を伸ばしてもカズ君は例の彼女と話し合っている様子を見せつけられる。

(いやだ...寒い...。1人は寒いよカズ君...。私を愛して...)
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