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全員でゲート攻略④

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 勇者。

 それは勇気ある者のことを指す。

 ある勇者はモテたいと言う安直な考えで動き、ある勇者は知識を得るためにさまざまな罪を犯した。

 またある者は伝統や行事を重んじ、またある者は自分の信じる愛のために生き抜いた。

 またある勇者は友を助ける為に慣れない剣を取った。

 これらの勇者はそれぞれ違う考えで動いていたが、そのどれもが勇者の行動となって後世に至るまで語り継がれる冒険譚となっている。

 俺たちは勇者だ。

 誰が決めたかは知らないが、俺たちはどうやらその呪縛からは一生...、いいや来世となった今でも逃れられないらしい。

 俺はその事に気がついて大きくため息を吐いた。

「貴様! 戦闘中だぞ!」

 と目の前の骸骨剣士に言われたのだが、流石にこれだけレベルの高い相手と長時間戦いあっていれば嫌でも昔の感と言う奴を思い出してきた。

「ああ、悪いな。俺はもう充分に感を取り戻した。後はまあ...、他の奴に譲るさ」

「舐めているのか? 貴様!!!」

 と骸骨剣士が剣撃を繰り出してきたので俺はそれに対して完璧なタイミングでカウンターを繰り出す。

「慌てるなよ。お前にはこれでも感謝してるんだぜ? お陰で前世と更に前世の力の使い方を思い出した...。だけど本当に前世の方の力は使いたくねぇな...」

 俺はケラケラ笑いながら骸骨剣士にそう返す。

「貴様!? 本当に先程の武人なのか!?」

「...ああ、わりぃな。さっきまでは今世の俺だったんだが、ちょっと前世の最悪な俺が出てきたみたいだ。悪気はないんだ、悪気はな」

 俺はそう呟くと骸骨剣士を他のメンバーに渡して自身のステータスを確認し直すのだった。
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