なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
69 / 361

花の誘惑

しおりを挟む
 見つめれば見つめるほど惹かれてしまう。
 吸い込まれる様な赤い花に完全に意識を持っていかれていた。

「綺麗...」

 私は赤い花にそっと手を伸ばす。
 私が花の茎に手を伸ばした瞬間に世界が揺れた。

「何!?地震!?」

 私はその場に這い蹲り、地震が収まるのを待っていたが治まる気配がない。
 次の瞬間、地面が割れ大きい口が見え隠れしていた。

「ひっ...」

 私は恐怖のあまり言葉を失った。
 いくら町の外とはいえ、こんな奴がいるなんて思いもしなかったのだ。
 恐ろしく鋭く尖った牙が見えた時に私の表情は凍りつく。
 その時になって学校の授業を思い出した。
 赤い花が一本だけ咲いている広い敷地には近づいてはいけない。
 なぜならそれは、肉食植物の住処だからである。
 この花も最初は白か青らしいのだが、食べてきた肉の血が染み付いていき、最終的に赤く染まるのだ。
 ズルズルと落ちていく体を必死に残った地面を握って耐えているが、幼女の力では長い間は掴待っていられない。
 だんだんと力が抜けていく中、早く私を食べたいのか触手の様な物を私の足に絡めて振り落とそうとしてくる。

(もうだめ...力が...)

 私の握力に限界が来て手を離してしまう。
 私は勢いよく落ちたので、このバケモノの養分になってしまうのかと思った次の瞬間。

「カリン!!」

 お兄ちゃんと父さんが同時にやってきて触手を素手で破壊し、私を助けてくれました。

「あ...ありがとう...」

 私がそう呟くとお兄ちゃんは笑っていましたが、父さんは私の方を一回見ただけで何も言いませんでした。

「さ~てと、ちゃっちゃっと片付けて魚釣り再開だ」

 2人が歩いてバケモノのに近づいて行こうとしたので、私は2人の裾を掴んでいました。

「行かないで、あんなのに勝てるわけがないよ...早く逃げよう...」

「あのな、兄さん達はこの国を守る騎士団なんだ、騎士として人間に害なす存在がこんな町の近くにいるのであればそれを倒すのが俺たちの仕事なんだ、まっ心配すんなって、こんな奴ら何度も相手にしてきたから」

 簡単そうに言っていますが、どう考えてもあのバケモノは大きくて太くて怖いのです。
 私の震える手を優しく包み込んでくれた彼はもう一度静かに笑うと突撃していきました。

「お兄ちゃん!!」

 私が必死の声を上げながら静止しようと手を伸ばしたのですが。

「大丈夫だカリン、ローシュは私が育てた、あんな怪物如き素手で充分だ」

 父さんの威風堂々とした表情に私は息を飲んだ。
 バケモノは触手で兄さんを捕まえようとしているが、彼の動きが素早すぎて追いきれていない様だった。

「はん!、遅ぇな!!」

 彼は余裕の笑みを浮かべすぐさま射程圏内に入り素手での一撃を与える。
 たったの一撃であの巨体を討伐してしまったのだから驚きだ。
 私に手を振りながらこちらを見た兄さんの笑顔を見て私は悟った。
 この人たちはこういう現場で血を見過ぎたのだと...。
 その証拠に返り血を浴びても微動だにしない彼がそこにはいた。
 そんな彼は頼りがいもあるが、何より怖さを感じた。
 妹に優しい兄が生まれたのは、こういった戦場で命の尊さを学んだ結果ではないのか?。
 そう思うと皮肉に聞こえるが、この考えは間違いではないと言えるだろう。
 そうでもないと、ここまでシスコンな兄がいるわけがないのだから。

「とんだ邪魔が入ったがこの死体どうする?親父」

「ああ、私が直接転移魔法で城の実験室に送ろう、こういった魔物は城の研究員が様々な実験に使うらしいからな」

 父さんが魔法を唱えると、さっきのバケモノは消えていた。

「さーてと、邪魔者は消えたし釣りの続きと行くか!、ああカリンはちょっと休んでた方がいいな、親父ちょっと見ていてくれよ!」

「わかった、カリンが落ち着くまで私が見ていよう」

 兄さんが釣り堀に走って行くのを木陰で休みながら見ていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

捨てられ王女ですが、もふもふ達と力を合わせて最強の農業国家を作ってしまいました

夏見ナイ
ファンタジー
魔力ゼロの『雑草王女』アリシアは、聖女である妹に全てを奪われ、不毛の辺境へ追放された。しかし、彼女を慕う最強の騎士と、傷ついた伝説のもふもふとの出会いが運命を変える。 アリシアの力は魔力ではなく、生命を育む奇跡のスキル『万物育成』だった! もふもふ達の力を借り、不毛の大地は次々と奇跡の作物で溢れる緑豊かな楽園へと変わっていく。 やがて人々が集い、彼女を女王とする最強の農業国家が誕生。その頃、アリシアを捨てた祖国は自滅により深刻な食糧難に陥っていた――。 これは、優しき王女が愛する者たちと幸せを掴む、心温まる逆転建国ファンタジー。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

150年のりんご採取で異世界最強の大魔導士になった私は、林檎の聖女と讃えられ可愛い弟子たちと平和なスローライフを満喫します!

風戸輝斗
ファンタジー
「誰かのためにがんばれる子になりなさい」という母からの教えを忠実に守り過労死した降幡理央は、プリオリという若々しい少女となって魔法やモンスターが存在する異世界に転生する。 彼女が転移した地は「林檎の森」と呼ばれる(結界が張られているために世界からは隔絶されている)場所だった。 どれだけ採取しても底尽きることのないりんごであふれるその森で、プリオリはりんご採取の日々に明け暮れる。その間、彼女のスキルである【採取】が機能し、それによりりんごを採取するだけで経験値が入る。 そんな日々を150年繰り返し、プリオリは異世界最強の魔導士となる。 結界の存在を知らず異世界に存在する人間は自分ひとりだけだと思っていたプリオリだが、意図せず結界を壊したことで世界が拓け、人間と交流を育むようになる。 林檎の森が突如現れた謎の地であるため、そこに住んでいたプリオリは魔女だと恐れられ皇女から処刑宣告までされてしまうが、人間と魔族の争いに終止符を打つことで不信感は払拭される。そして、世界を救った林檎の聖女だと人間と魔族双方から讃えられるようになる。林檎の森の聖女様だから、林檎の聖女である。 こうしてはじまる林檎の聖女となったプリオリの新たなスローライフ。 ダンジョンの奥底で助けた謎の金色もふもふペットメープルとふたりで過ごす日常に、盗みたくないけど盗みを繰り返していた13歳の少女モカモカが弟子として加わり、魔族王妃の娘であり人類滅亡を悲願とする13歳の少女ギルティアも弟子として加わって……。 これは、異世界最強の魔導士である林檎の聖女様がスローライフを満喫しようとする物語。 あるいは、お師匠様として、お母さんとして、ふたりの少女を幸せに導こうと奮闘する物語。 ※「小説家になろう」「カクヨム」様にもマルチ投稿しています。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

処理中です...