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年下彼氏のわがまま
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冷たさが頬に触れて、ゆっくりと意識が浮上した。名前を呼ばれた気がして薄っすらと目を開ける。
「あ、起きた」
弾んだ声が頭上から降ってくる。壮一はゆっくりと瞬きをしてそのままとろりと目を閉じてしまった。重たい体には力が入らず、居心地の良い毛布の中でまだ惰眠を貪っていたかった。
「壮一さん」
名を呼ぶ声がする。慎介は不満そうに頬を膨らませて壮一の髪に触れる。サラリと弄びながらこちらに背を向けている寝顔を覗き込んだ。薄く開かれた唇から微かな寝息が聞こえている。
「もう昼になっちゃうよ」
慎介は言いながらベッドに乗り上げる。ギシリとベッドの沈む音と感触で壮一はもう一度目を開け、緩慢に寝返った。仰向けになれば慎介の嬉しそうな笑顔があった。
「おはよう」
明るく言われて壮一も低い掠れ声で返す。よくもまあ元気なものだと思いながら差し出されたペットボトルを受け取った。頬に触れた冷たい感触はこれだったのかと気づく。軋む体を起き上がらせて煽れば、滑り込んでくる冷たい水が目を覚ましてくれた。酷使した喉が潤されていく。
ぼんやりしているのは頭だけではなく、体全体が重かった。腰はだるくて腹の奥にはまだ違和感がある。抜かずの三発なんてやられた方は冗談じゃないな、と苦く思った。裸の胸にネックレスについたプレートが触れてひやりと冷たい。慎介は壮一を起こして満足したのか、ベッドに腰掛けて足をぶらぶらとさせていた。慎介もまたクロスのついたネックレスの他は何も身に纏っていない。壮一はヘッドボードに置いた煙草を取り上げて火をつけた。ゆっくりと吸い込んで煙を吐くと、咥えたままベッドを下りる。ぐう、と慎介が腹を鳴らした。
「お腹すいたぁ」
軽い響きでそう言って、慎介は唇を尖らせる。壮一は下着ごと床に落ちていたジーンズを拾い上げ、足を通した。ベルトはどこにいっただろうかと目で探す。
「何食べたい?」
煙草を咥えたままだったせいで、声はくぐもって不明瞭に聞こえた。慎介は向けられた背を眺めていた。
男らしくしっかりとした足がジーンズの布地に覆われていく。昨夜肩に抱え上げた足だ。裾から覗く足先はシーツを滑って痕を残していた。慎介は壮一がソファーに沈むように深く腰掛けて足を組む仕草が好きだった。先に上げられた下着が尻を覆う。後を追うように引き上げられたジーンズに、腰から目が離せなくなる。色の褪せて味の出始めたジーンズと素肌のコントラストが色っぽい。ベルトをしていないせいで少し落ちて下着の黒がわずかに覗いていた。ジジ、とチャックの上がる金属音。
「壮一さん」
ん?と口元から煙草を離して振り返った。流し目にやけに真剣な顔つきをした慎介が映る。
「壮一さんがいい」
そう言って、慎介は大人びた表情で薄く笑ってみせた。壮一は歩み寄るとヘッドボードに置かれた灰皿に煙草を押し付ける。鍛えられた腕に筋が浮いた。
「今着たところだよ」
ジーンズがいつもより落ちているのは金具がとめられていないからだろうか。はりだした腰骨が扇情的だ。苦笑混じりに言われて慎介はへらりと笑う。
「また脱がせてあげるからさ」
まいったな、と壮一は困ったように笑った。慎介の腕が壮一の腰を捕まえる。壮一は引き寄せられて慎介の足の間に膝をついた。跨るような体勢になれば慎介は目の前に迫った腹に数度口付ける。ぢゅう、と臍のすぐ横を強く吸われて咎めるように頭を押さえた。わしわしと触れてやれば慎介は嬉しそうに頭を摺り寄せてくる。
「散々やったのにまだ足りねぇのか」
「足りなぁい」
甘えた声色で言って慎介はジーンズのチャックを歯で下ろす。ジジジジ、と音を立ててゆっくりとジーンズが緩んでいった。壮一はそれを見下ろしながら諦めたようにため息を吐く。
「しょうがねぇなあ」
呆れを混じらせた了承の声に慎介は子供のように無邪気に笑った。体を引かれてベッドに押し倒される。慎介の体が覆いかぶさってきた。ネックレス同士が触れ合ってチャリッと軽い金属音がする。大型犬のようだと思いながら、壮一はその背を撫でてやった。慎介は溶けた笑みをみせる。
「一回だけだからな」
うん、と上から降ってくる素直な声に、この言葉を言ったのは何回目だろうかとおかしくなってしまう。それが守られた試しはなく、きっと今回もそうなのだろう。早速引き抜かれるジーンズに脱がせやすいよう協力してやる。ここを出るのは夕方近くなるかもしれない。何食わせてやろうかな、と考えながらがっつくように与えられた刺激に微かに色の混じった吐息を漏らした。
「あ、起きた」
弾んだ声が頭上から降ってくる。壮一はゆっくりと瞬きをしてそのままとろりと目を閉じてしまった。重たい体には力が入らず、居心地の良い毛布の中でまだ惰眠を貪っていたかった。
「壮一さん」
名を呼ぶ声がする。慎介は不満そうに頬を膨らませて壮一の髪に触れる。サラリと弄びながらこちらに背を向けている寝顔を覗き込んだ。薄く開かれた唇から微かな寝息が聞こえている。
「もう昼になっちゃうよ」
慎介は言いながらベッドに乗り上げる。ギシリとベッドの沈む音と感触で壮一はもう一度目を開け、緩慢に寝返った。仰向けになれば慎介の嬉しそうな笑顔があった。
「おはよう」
明るく言われて壮一も低い掠れ声で返す。よくもまあ元気なものだと思いながら差し出されたペットボトルを受け取った。頬に触れた冷たい感触はこれだったのかと気づく。軋む体を起き上がらせて煽れば、滑り込んでくる冷たい水が目を覚ましてくれた。酷使した喉が潤されていく。
ぼんやりしているのは頭だけではなく、体全体が重かった。腰はだるくて腹の奥にはまだ違和感がある。抜かずの三発なんてやられた方は冗談じゃないな、と苦く思った。裸の胸にネックレスについたプレートが触れてひやりと冷たい。慎介は壮一を起こして満足したのか、ベッドに腰掛けて足をぶらぶらとさせていた。慎介もまたクロスのついたネックレスの他は何も身に纏っていない。壮一はヘッドボードに置いた煙草を取り上げて火をつけた。ゆっくりと吸い込んで煙を吐くと、咥えたままベッドを下りる。ぐう、と慎介が腹を鳴らした。
「お腹すいたぁ」
軽い響きでそう言って、慎介は唇を尖らせる。壮一は下着ごと床に落ちていたジーンズを拾い上げ、足を通した。ベルトはどこにいっただろうかと目で探す。
「何食べたい?」
煙草を咥えたままだったせいで、声はくぐもって不明瞭に聞こえた。慎介は向けられた背を眺めていた。
男らしくしっかりとした足がジーンズの布地に覆われていく。昨夜肩に抱え上げた足だ。裾から覗く足先はシーツを滑って痕を残していた。慎介は壮一がソファーに沈むように深く腰掛けて足を組む仕草が好きだった。先に上げられた下着が尻を覆う。後を追うように引き上げられたジーンズに、腰から目が離せなくなる。色の褪せて味の出始めたジーンズと素肌のコントラストが色っぽい。ベルトをしていないせいで少し落ちて下着の黒がわずかに覗いていた。ジジ、とチャックの上がる金属音。
「壮一さん」
ん?と口元から煙草を離して振り返った。流し目にやけに真剣な顔つきをした慎介が映る。
「壮一さんがいい」
そう言って、慎介は大人びた表情で薄く笑ってみせた。壮一は歩み寄るとヘッドボードに置かれた灰皿に煙草を押し付ける。鍛えられた腕に筋が浮いた。
「今着たところだよ」
ジーンズがいつもより落ちているのは金具がとめられていないからだろうか。はりだした腰骨が扇情的だ。苦笑混じりに言われて慎介はへらりと笑う。
「また脱がせてあげるからさ」
まいったな、と壮一は困ったように笑った。慎介の腕が壮一の腰を捕まえる。壮一は引き寄せられて慎介の足の間に膝をついた。跨るような体勢になれば慎介は目の前に迫った腹に数度口付ける。ぢゅう、と臍のすぐ横を強く吸われて咎めるように頭を押さえた。わしわしと触れてやれば慎介は嬉しそうに頭を摺り寄せてくる。
「散々やったのにまだ足りねぇのか」
「足りなぁい」
甘えた声色で言って慎介はジーンズのチャックを歯で下ろす。ジジジジ、と音を立ててゆっくりとジーンズが緩んでいった。壮一はそれを見下ろしながら諦めたようにため息を吐く。
「しょうがねぇなあ」
呆れを混じらせた了承の声に慎介は子供のように無邪気に笑った。体を引かれてベッドに押し倒される。慎介の体が覆いかぶさってきた。ネックレス同士が触れ合ってチャリッと軽い金属音がする。大型犬のようだと思いながら、壮一はその背を撫でてやった。慎介は溶けた笑みをみせる。
「一回だけだからな」
うん、と上から降ってくる素直な声に、この言葉を言ったのは何回目だろうかとおかしくなってしまう。それが守られた試しはなく、きっと今回もそうなのだろう。早速引き抜かれるジーンズに脱がせやすいよう協力してやる。ここを出るのは夕方近くなるかもしれない。何食わせてやろうかな、と考えながらがっつくように与えられた刺激に微かに色の混じった吐息を漏らした。
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