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其の弐 桃日絆希と篠懸才児のケース
想代香の手がかり
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篠懸さんと別れた私は、まず想代香の友人を当たってみた。いや、みようとした。でも、よく考えたら想代香とは学校も違うし、共通の友人というものもいないことに今更気づき、私はぼーぜんと立ち尽くす事となった。威勢良く飛び出してきた手前、篠懸さんの事務所に戻るわけにもいかない。
「計画性無さすぎでしょ、わたし」
思い返せば、今までの行動はだいぶ行き当たりばったりだった。多分篠懸さんは上手いことやっているのだろうと思うと、余計に悲しくなってくる。
「で、でも、それがわたしだもん!!」
計画性なんか無くったって、行動でカバー出来ればいいのだ。私は想代香が通っていた高校で張り込みをして、生徒に話を聞くことにした。
◇
「ごめん、ちょっと分からないかな~」
「何でも、何でもいいんです!」
「私ちょっと急いでるんだよね。他の人に聞いてくれない?」
「うう、すみません...」
こんなやり取りを何十回繰り返した事だろうか。校門で張り込みを開始してはや三日。これまでの成果は、ゼロ。そもそも想代香について知っている人は、ほとんどいなかった。まあ結構大人しめの子だったからなぁ。しかし、このままでは篠懸さんに合わせる顔がない。何とか、次の手立てを考える。
「想代香について知っている人………担任の先生とかにも話を聞いてみたいけど私じゃ入れないだろうし………やっぱり篠懸さんにお願いするしか………」
ここ数日で、私という個人は社会の中では結構無力だということを知った。結局、大人の力に頼るしか方法はないのだろうか。
ん………? 大人………?
「あ!!!」
思わず大きな声が出た。学校から出てきた生徒たちに注目され、慌ててその場を立ち去る。
(わたしバカだ! いるじゃん! 想代香の事をよく知っている大人!)
私はスマホを取り出し、電話帳に登録してある番号にコールする。相手はすぐに電話に出てくれた。
「もしもし、内香さんですか? はい、お久しぶりです! 絆希です! 少しお話したくて、今日、お伺いしてもいいですか?」
◇
ピンポーン。
チャイムを鳴らすと、玄関のドアが開き少しやつれた女性が迎えてくれた。彼女は白粉内香さん。名前の通り、想代香のお母さんだ。
「絆希ちゃん、お久しぶり。よく来てくれたわ」
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ええ。絆希ちゃんも相変わらずな様で安心したわ。ここじゃなんだから、上がって頂戴」
「ありがとうございます」
想代香の生前、内香さんとは何度か話をしたことがあった。想代香と同じく、物腰の柔らかい優しい女性だ。
想代香の家は全然変わっていなくて、どこか懐かしい匂いがした。客間に案内され腰を下ろした時、内香さんから感謝の言葉をかけられた。
「絆希ちゃん、いつもありがとうね」
「え? 何のことですか?」
「お花よ。想代香のお墓に行ったらいつも新しいお花が活けてあるの。あれ、絆希ちゃんでしょう?」
「あはは…。私にはそれくらいしかできないので」
「想代香は本当に良いお友達を持ったわ。絆希ちゃんといる時、想代香は本当に楽しそうで、横から見ていた私も幸せな気持ちにさせて貰っていたわ」
内香さんは遠く想代香の面影を見つめながら、そう語った。私もついつい懐かしくなって、二人でひとしきり想代香の事を話した。
あっという間に時間は過ぎ、もう辺りは暗くなりつつあった。
「絆希ちゃん、ご飯食べて行かない?」
「いえ、そんな、悪いです!」
「いいからいいから。人に作らないと腕が鈍っちゃうのよ。それに、絆希ちゃん、何か話したいことがあってここに来たんじゃないの?」
「…あ!!」
「ふふ、忘れてたのね。すぐ準備するから、待っている間想代香の部屋に行ってみたらどう? 何か欲しいものがあったら、持って行ってもいいわよ」
内香さんにそう促され、私は想代香の部屋に入らせてもらった。部屋はほとんど当時のまま残っていた。少し質素だけど、女の子らしい部屋だ。ここに来るのも久しぶりだなぁ。
「この机で勉強会をしたっけ...。このベッドで2人で寝て...。このポスターは想代香が好きだったバンドのやつだ。これは.........何だろう?」
部屋の片隅に見覚えのないダンボール箱が1つ置いてあった。
中を覗いてみると、想代香が使っていた教科書やノートなんかがまとめてしまわれていた。そうそう、想代香はノートの表紙にきっちり題名と名前を書くタイプなんだよね。ノートをパラパラとめくると、想代香の整った綺麗な字が目に映った。
「これは国語、数学、歴史、物理、化学…あれ? これは?」
奥の方にしまわれていたノートには、題名が書かれていなかった。使われていた形跡があるので、新品という訳でもなさそうだ。想代香にしては珍しいな、と思いながらなんとなくベージをめくる。
「………え?」
そこに書かれていた内容は、私の予想だにしないものだった。
「計画性無さすぎでしょ、わたし」
思い返せば、今までの行動はだいぶ行き当たりばったりだった。多分篠懸さんは上手いことやっているのだろうと思うと、余計に悲しくなってくる。
「で、でも、それがわたしだもん!!」
計画性なんか無くったって、行動でカバー出来ればいいのだ。私は想代香が通っていた高校で張り込みをして、生徒に話を聞くことにした。
◇
「ごめん、ちょっと分からないかな~」
「何でも、何でもいいんです!」
「私ちょっと急いでるんだよね。他の人に聞いてくれない?」
「うう、すみません...」
こんなやり取りを何十回繰り返した事だろうか。校門で張り込みを開始してはや三日。これまでの成果は、ゼロ。そもそも想代香について知っている人は、ほとんどいなかった。まあ結構大人しめの子だったからなぁ。しかし、このままでは篠懸さんに合わせる顔がない。何とか、次の手立てを考える。
「想代香について知っている人………担任の先生とかにも話を聞いてみたいけど私じゃ入れないだろうし………やっぱり篠懸さんにお願いするしか………」
ここ数日で、私という個人は社会の中では結構無力だということを知った。結局、大人の力に頼るしか方法はないのだろうか。
ん………? 大人………?
「あ!!!」
思わず大きな声が出た。学校から出てきた生徒たちに注目され、慌ててその場を立ち去る。
(わたしバカだ! いるじゃん! 想代香の事をよく知っている大人!)
私はスマホを取り出し、電話帳に登録してある番号にコールする。相手はすぐに電話に出てくれた。
「もしもし、内香さんですか? はい、お久しぶりです! 絆希です! 少しお話したくて、今日、お伺いしてもいいですか?」
◇
ピンポーン。
チャイムを鳴らすと、玄関のドアが開き少しやつれた女性が迎えてくれた。彼女は白粉内香さん。名前の通り、想代香のお母さんだ。
「絆希ちゃん、お久しぶり。よく来てくれたわ」
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ええ。絆希ちゃんも相変わらずな様で安心したわ。ここじゃなんだから、上がって頂戴」
「ありがとうございます」
想代香の生前、内香さんとは何度か話をしたことがあった。想代香と同じく、物腰の柔らかい優しい女性だ。
想代香の家は全然変わっていなくて、どこか懐かしい匂いがした。客間に案内され腰を下ろした時、内香さんから感謝の言葉をかけられた。
「絆希ちゃん、いつもありがとうね」
「え? 何のことですか?」
「お花よ。想代香のお墓に行ったらいつも新しいお花が活けてあるの。あれ、絆希ちゃんでしょう?」
「あはは…。私にはそれくらいしかできないので」
「想代香は本当に良いお友達を持ったわ。絆希ちゃんといる時、想代香は本当に楽しそうで、横から見ていた私も幸せな気持ちにさせて貰っていたわ」
内香さんは遠く想代香の面影を見つめながら、そう語った。私もついつい懐かしくなって、二人でひとしきり想代香の事を話した。
あっという間に時間は過ぎ、もう辺りは暗くなりつつあった。
「絆希ちゃん、ご飯食べて行かない?」
「いえ、そんな、悪いです!」
「いいからいいから。人に作らないと腕が鈍っちゃうのよ。それに、絆希ちゃん、何か話したいことがあってここに来たんじゃないの?」
「…あ!!」
「ふふ、忘れてたのね。すぐ準備するから、待っている間想代香の部屋に行ってみたらどう? 何か欲しいものがあったら、持って行ってもいいわよ」
内香さんにそう促され、私は想代香の部屋に入らせてもらった。部屋はほとんど当時のまま残っていた。少し質素だけど、女の子らしい部屋だ。ここに来るのも久しぶりだなぁ。
「この机で勉強会をしたっけ...。このベッドで2人で寝て...。このポスターは想代香が好きだったバンドのやつだ。これは.........何だろう?」
部屋の片隅に見覚えのないダンボール箱が1つ置いてあった。
中を覗いてみると、想代香が使っていた教科書やノートなんかがまとめてしまわれていた。そうそう、想代香はノートの表紙にきっちり題名と名前を書くタイプなんだよね。ノートをパラパラとめくると、想代香の整った綺麗な字が目に映った。
「これは国語、数学、歴史、物理、化学…あれ? これは?」
奥の方にしまわれていたノートには、題名が書かれていなかった。使われていた形跡があるので、新品という訳でもなさそうだ。想代香にしては珍しいな、と思いながらなんとなくベージをめくる。
「………え?」
そこに書かれていた内容は、私の予想だにしないものだった。
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