俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

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そのじゅういち

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 カフェの場所はなかなか遠かったが、無事に着いた。

 俺は久しぶりにコルセットを取って、ベルがすすめるワンピースを着た。

 綺麗な色のワンピースだ。

 いつもより体が軽い。

 俺が言うのはなんだけどイザベラはなにを着ても似合うな。

 理想を言えば本当のところはドリル髪をどうにかしたいんだけど、仕方ない。

 チャームポイントと思おう。

 ベルもお洒落してた。

 いつもメイド服だからたまにはイザベラの服を貸すよといったら、たまにはいいかなといって着替えてた。

 ただ、やけに着替えに時間がかかってたけど。

 馬車の中で、一応、夜会やお茶会の出来事を簡単に報告した。

 残念だけど二人に関する噂すら聞かなかったと言ったらがっかりしたみたいだったが、攻略対象の何人かに会ったって言ったら興味津々で聞いてきた。

 でも、俺はうまく自分の存在を消したよと言ったらなんだか残念そうにしている。

 息子をなんだと思っているんだ。

 ベルはベルでおつかいを頼まれるとついでに不審な人物が街に現れたかお店の人に聞きまくったらしいが、むしろ自分が不審者と思われて参ったという。

 そりゃそうだ。

 不審な人物がいないかっていって不審人物を探している方が怪しいわ。

 もっと言い方があったのでは・・・と思ったが言葉にはしなかった。

 だって知らない街でお店の人に聞きまくるなんて俺にはできないしな。

 頑張って探しているんだな。

 まあ、そうこうしているうちにカフェに着いた。

「着いてよかった、もうお尻が限界。」

 涙目になっている。

 ベルは馬車には慣れないみたいだ。
 
 俺は夜会のたびに毎回馬車に乗ってたからもう麻痺してる。

 確かに遠かったけど、噂通り人気があるようで行列ができてた。

 俺はご令嬢に言われた通り予約をしていたので行列を横目で通りすぎる。

「すごい行列だね」

「うん、美味しいだけじゃないんだよ、なんか鮮やかな緑色のケーキがあるらしいよ」

「へえ。楽しみ」

「しかも評判の可愛い看板娘がいるらしいよ」

「ますます楽しみ」

 ベルはにやにやする。

「どおりでカフェに誘ってくれた訳だ。それにスイーツのお店なのに男の人が多いと思った。」

 小さい声で言ったつもりだろうけど聞こえてるからな。

 でも、カフェに行く動機に間違いないからここは黙ろう。

「まあ、予約とっているからすぐにはいれるよ」

 俺達は店の中に入った。

 そこでみたものは、黒髪のショートの女の子。

 一瞬めっちゃ可愛いと思ったのだが・・・・

「いらっしゃいませって・・・あれ?お母さんと兄貴じゃん」

 普通だな。

 本当に相変わらず亮は通常運転だな。

「やっぱり亮だ・・・・・」

 といってベルが号泣した。
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