俺が悪役令嬢だった件

知花虹花

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そのじゅうご

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 とにかく亮に学校に来る必要性を話さないと。

 どのみち魔力が強ければこの先、店がもっと不自然に繁盛した
ら王家に目をつけられるに決まっている。

 極楽鳥もその点を心配しているようだ。

 何でも娘と思わせているのをできるのは極楽鳥のスキルらしい。

 もし光の精霊と契約するとそれができなくなると。

 この鳥、本当に怪しい・・・な。

 そもそもこんな遠いカフェでも貴族のご令嬢に噂で評判になる位だから魅了のスキルも関係してるはず。

 それにこのままでいくとますますお店は繁盛するのは間違いないなさそうだ。

 何しろここのカフェ、旨すぎるしな。

 魅了がなくても街では評判になっていたと思うが・・・

 どうやら元々、亮の今の両親が評判のパン屋さんだったらしく、娘のために、言われた通り新しいレシピを次々と完成させていったらしい。

 だから、抹茶のデザートの他にもカレー屋さんや、パスタ、
ラーメンと亮が好きなものを作っていた。

 一応、脅しておくか。

 魅了のスキルを多少盛って説明すると案の定、食いついてきた。

「なんかすごいなオレ」

 うん うん その調子。と思ったのだが・・・

 どんだけ脅しても結果・・・

 この日は亮は学校に来るって最後まで言わなかった。

 ちっ、ぶれないな。

「とにかく近いうちに必ず行くからな」

 なんか捨てぜりふのようになってしまったが仕方がない。

 とにかく疲れた俺は直ぐに部屋に行った。

 ベルは話したそうにしてたが、とてもじゃないけど今日はベルの相手は出来ない。

「やみ」

 やみを呼ぶ。

 音もなく出てきたやみは黒猫姿でなぜか、ガタブルしてる。

「どうした?寒いのか?」

 でも、亮のところでケーキやらクッキーやらマカロンなどのお土産の抹茶のおやつを出すと、いつもの子供やみになった。

「いないと思ったら具合悪いからいなくなったのか。」

 精霊も具合悪くなることもあるんだな。

「やみ、カラフルな鳥で極楽鳥っていう精霊に会ったんだけどなんか知っているか?」

「知らん」

「そうか?結構高位の精霊だとおもうんだけどな。何せ光の精霊が相談相手に選んだらしいし。」

「へええ、そもそも闇の精霊は光の精霊とは関わらないよ。あいつ無駄に眩しくって」

「ああ、それで亮がきれたらしい。眩しいから追い返したんだと。」

 まあ、正確には眩しくてアイスを落として怒ったんだが。

「やらかしたな、あいつ、とにかく光ればいいと思ってるからさ。でも精霊追い出す亮もいかれてるな」

「否定はしない」

「でも、ざまあ。」

 クスクス笑ってる姿は子供らしいな。

 でも可愛い顔していう台詞がそれかよ。
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