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図書館に避難中 5
しおりを挟む「大体、賢王が若い頃、王宮に、いきなり今の王妃を連れてきたらしく、詳しい素性はもちろん、どこから連れて来られたのかさえ、今だに、誰も知らないらしい」
「へええ」
「もちろん、反対勢力も、いきなり出所のわからない娘を王妃にするわけにいかないと言って、選りすぐりの美女を王宮に送りつけたりして、それはもう熱気がすごかったらしいけれど、賢王がそれに、すっかり嫌気をさして、険しい山の上に新たな宮殿を立てて、そこに今の王妃と住んじゃった」
「ふーん」
住んじゃったって・・・ふーん、俺としては、選りすぐりの美女は気になるし、それを蹴散らして、賢王の愛を独占した王妃も是非とも見てみたい。
「険しすぎる山なんで、どのみち、一部の側近しか入れない状態だったにもかかわらず、王の側近、二人を除いて、何年間も、立ち入り禁止にしてさ。」
「理由として、王妃に逃げられるから、ここに住むって先王に駄々こねたって、賢王が言ってた」
ほう、なかなかヘビーな話だな。
おそらく、獣人でも険しいって言ってるんだから、普通、人間には逃げられるはずないんだけど、周りに責任を取らせないようにしたんだな。
それにしても、我を忘れて恋に落ちるのだから、番って本当に厄介なんだな。
「でも、さすがに、王位継承も近づいてたし、何年たっても賢王の愛が変わらなかったものだから、やっと王妃が、王の番だと認められたころには、険しい山が、田畑もできて、ほぼ、自給自足できるようになったし、すっかり開発されていて、交通面も、街から貧困層の子供を連れてこれるようになったり、もちろん、俺も、そこに住んでいた」
「そうなんだ」
「広大な土地だからな、王家だけで生活するなんて、もったいない話だろ」
王家側が、そういうことをするのは、かなり斬新だと思うのだが・・・
「まあ、もっとも、最初は、戦いを前提にしたような、要塞みたいな城だったよ。きっと、先王に無理矢理、連れ帰されると思ったんだろうな。王妃が認められて、色んな所から子供達を引き取ってからは、かわいい感じのお城も沢山建っているよ、勿論、トルマリン王国に負けないぐらいの蔵書がある図書館も建設中だ」
「なんだって!」
「小さい図書館はサファイヤ王国にも沢山あるんだけど、今度の図書館は国を挙げて、最高の図書館にするつもりで現在蔵書を集めている」
かなり、いや、今すぐにサファイヤ王国に行きたくなってきた。
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