27 / 57
第2章〜ふられたての女ほど おとしやすいものはないんだってね〜⑫
しおりを挟む
市内の南部にある浜崎えびす神社では、毎年7月の上旬に、夏越の祭という夏祭りが開催される。
この祭事は、一年の区切りとして、半年間の日常生活中、知らず知らずの間に身についた罪や穢を『芽の輪くぐり』や『人形納め』などの神事を通じてお祓いし、残りの半年間の安全、招福を祈願するものだ。神社の境内前には夜店が並び、浴衣姿の参拝者も多く見られることから、夏の始まりを告げる風物詩になっている。
また、市内の中高生にとっても、この夏祭りが催される時期は、一学期の期末テストが終わる時期と重なることから、夏休み前のプレ・イベントとして人気になっている。
オレが、リア充御用達のような、このイベントに注目したのは、『白草四葉のクローバー・フィールド』のお悩み相談で、四葉ちゃんが、《彼女持ちの男性を好きにさせる方法その3》として、
「ときおり女性らしい面を見せて、異性であることを意識してもらえる存在でありつづけてみて! たとえば、いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的なんじゃないかな? 特に、幼なじみ的な立ち位置だったら、これまでとは違う女の子らしい面を見せて、『あっ、このコ、こんなに可愛かったんだ……』と感じてもらえるようにしよう!」
ということを推奨していたからだ。
実際に異性との交際経験が無いオレにとって、どうすれば、自然に「いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的」と言えるシチュエーションを作ることが出来るのか、まるで、わからない。
しかし――――――。
マンガやアニメ、ラノベやゲームで描かれる夏の夜のイベントと言えば、花火大会か夏祭りと相場が決まっている。そして、このイベントに付き物の衣装と言えば、女子の浴衣姿である。
ザ・夏祭り!
このシチュエーションであれば、「いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的」をナチュラルに演出することができるだろう。これが、二次元作品から多くのことを学んできたオレの考案した策である。
ただ、この計画には、一緒に祭りに出掛けてくれる協力者が必要だ。
上坂部葉月を応援するということで、クラスメートの大島睦月や浜小春に協力を願い出ても良かったのだが……。
久々知大成も参加するということであれば、彼と上坂部の二人と気心が知れていそうな生徒会メンバーの小田先輩と長洲先輩、そして、一年の浦風さんと一緒に参加するのも悪くないんじゃないか、と考えている。
週末の観劇後のカフェでの彼らの会話を聞いていると、小田先輩と久々知、長洲先輩と上坂部、浦風さんは、それぞれクラブ活動の先輩と後輩の関係だったらしい。
その関係性であれば、大島や浜が参加者であるよりも、久々知が参加に前向きになってくれるのではないかという計算もある。
そう考えたオレは、月曜日の放課後、早速、小田先輩に会いに行き、土曜日の観劇のお礼と二週間後に控えた夏祭りのことについて、話しをしてみた。
これが、同じ学年の二年の生徒が相手であれば、「普段は空気キャラの立花がナニをしに来たんだ?」と、怪しまれるところだっただろうが、幸いなことにオレの空気キャラぶりが、他学年にまで知れ渡っていることはなかったようだ(もちろん、カゲが薄いことが空気キャラの定義なので、オレのキャラが、他の学年にまで広く知れ渡っていることなどあり得ないのだが……)。
「土曜日の観劇のときは、お世話になりました! 先輩たちとカフェで話すことができて、とても楽しかったです。良ければ、テスト明けの夏越の祭に先週末のメンバーで参加しませんか? 今度は、ウチのクラスの久々知も誘って……」
オレからのこんな提案に、小田先輩は、
「おっ、立花くん、良いアイデアだな! オレから久々知と土曜日のメンバーに声を掛けても良いか? 念のため、立花くんのLANEのIDを教えておいてくれよ」
と、快く即答してくれた。
頼りになる先輩の答えと自分の考案した計画が順調に進みつつあることに、オレは、内心で喜ぶ。
その日の帰宅後には、すぐに、小田先輩からのグループLANEの招待メッセージが入ってきて、グループに登録すると、テスト前の期間であるにもかかわらず、メンバー間で活発なメッセージ交換がされ始めた。
ただ、この一連の流れの中で、オレには、一つだけ心配のタネがあった。
それは、久々知大成が交際相手である名和立夏を夏祭りに誘うのではないか、という懸念だ。
ただ、それは、オレの杞憂だったようで、上坂部が(おそらく遠慮がちに)投稿した
================
>大成
立夏は誘わなくて良いの?
================
というメッセージに対して、久々知が、
================
一応聞いてみたけど、
その日は予定があるらしい
================
と、返信したのを確認して、胸をなでおろした。
これで、当日は、名和立夏に気を遣うことなく、行動することができる。
オレは、自室でテスト勉強を進めながら、慣れないグループLANEで活発に更新されるメッセージを横目に見つつ、リア充たちのコミュニケーションに入っていくことへハードルの高さを実感していた。
この祭事は、一年の区切りとして、半年間の日常生活中、知らず知らずの間に身についた罪や穢を『芽の輪くぐり』や『人形納め』などの神事を通じてお祓いし、残りの半年間の安全、招福を祈願するものだ。神社の境内前には夜店が並び、浴衣姿の参拝者も多く見られることから、夏の始まりを告げる風物詩になっている。
また、市内の中高生にとっても、この夏祭りが催される時期は、一学期の期末テストが終わる時期と重なることから、夏休み前のプレ・イベントとして人気になっている。
オレが、リア充御用達のような、このイベントに注目したのは、『白草四葉のクローバー・フィールド』のお悩み相談で、四葉ちゃんが、《彼女持ちの男性を好きにさせる方法その3》として、
「ときおり女性らしい面を見せて、異性であることを意識してもらえる存在でありつづけてみて! たとえば、いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的なんじゃないかな? 特に、幼なじみ的な立ち位置だったら、これまでとは違う女の子らしい面を見せて、『あっ、このコ、こんなに可愛かったんだ……』と感じてもらえるようにしよう!」
ということを推奨していたからだ。
実際に異性との交際経験が無いオレにとって、どうすれば、自然に「いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的」と言えるシチュエーションを作ることが出来るのか、まるで、わからない。
しかし――――――。
マンガやアニメ、ラノベやゲームで描かれる夏の夜のイベントと言えば、花火大会か夏祭りと相場が決まっている。そして、このイベントに付き物の衣装と言えば、女子の浴衣姿である。
ザ・夏祭り!
このシチュエーションであれば、「いつもと違うコーデやフワッと香る香水が効果的」をナチュラルに演出することができるだろう。これが、二次元作品から多くのことを学んできたオレの考案した策である。
ただ、この計画には、一緒に祭りに出掛けてくれる協力者が必要だ。
上坂部葉月を応援するということで、クラスメートの大島睦月や浜小春に協力を願い出ても良かったのだが……。
久々知大成も参加するということであれば、彼と上坂部の二人と気心が知れていそうな生徒会メンバーの小田先輩と長洲先輩、そして、一年の浦風さんと一緒に参加するのも悪くないんじゃないか、と考えている。
週末の観劇後のカフェでの彼らの会話を聞いていると、小田先輩と久々知、長洲先輩と上坂部、浦風さんは、それぞれクラブ活動の先輩と後輩の関係だったらしい。
その関係性であれば、大島や浜が参加者であるよりも、久々知が参加に前向きになってくれるのではないかという計算もある。
そう考えたオレは、月曜日の放課後、早速、小田先輩に会いに行き、土曜日の観劇のお礼と二週間後に控えた夏祭りのことについて、話しをしてみた。
これが、同じ学年の二年の生徒が相手であれば、「普段は空気キャラの立花がナニをしに来たんだ?」と、怪しまれるところだっただろうが、幸いなことにオレの空気キャラぶりが、他学年にまで知れ渡っていることはなかったようだ(もちろん、カゲが薄いことが空気キャラの定義なので、オレのキャラが、他の学年にまで広く知れ渡っていることなどあり得ないのだが……)。
「土曜日の観劇のときは、お世話になりました! 先輩たちとカフェで話すことができて、とても楽しかったです。良ければ、テスト明けの夏越の祭に先週末のメンバーで参加しませんか? 今度は、ウチのクラスの久々知も誘って……」
オレからのこんな提案に、小田先輩は、
「おっ、立花くん、良いアイデアだな! オレから久々知と土曜日のメンバーに声を掛けても良いか? 念のため、立花くんのLANEのIDを教えておいてくれよ」
と、快く即答してくれた。
頼りになる先輩の答えと自分の考案した計画が順調に進みつつあることに、オレは、内心で喜ぶ。
その日の帰宅後には、すぐに、小田先輩からのグループLANEの招待メッセージが入ってきて、グループに登録すると、テスト前の期間であるにもかかわらず、メンバー間で活発なメッセージ交換がされ始めた。
ただ、この一連の流れの中で、オレには、一つだけ心配のタネがあった。
それは、久々知大成が交際相手である名和立夏を夏祭りに誘うのではないか、という懸念だ。
ただ、それは、オレの杞憂だったようで、上坂部が(おそらく遠慮がちに)投稿した
================
>大成
立夏は誘わなくて良いの?
================
というメッセージに対して、久々知が、
================
一応聞いてみたけど、
その日は予定があるらしい
================
と、返信したのを確認して、胸をなでおろした。
これで、当日は、名和立夏に気を遣うことなく、行動することができる。
オレは、自室でテスト勉強を進めながら、慣れないグループLANEで活発に更新されるメッセージを横目に見つつ、リア充たちのコミュニケーションに入っていくことへハードルの高さを実感していた。
0
あなたにおすすめの小説
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
高校生なのに娘ができちゃった!?
まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!?
そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる