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第3章〜運命の人があなたならいいのに 現実はうまくいかない〜④
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駅前公園から信号を渡り、居酒屋やパチンコ店、ラーメン店や宝飾店が並ぶカオスなアーケード街を過ぎると、二つ目の交差点に差し掛かる。この信号を左折すると、目的のえびす神社に到着する。
交差点に面している信用金庫の店舗沿い歩くと、早くも縁日の屋台が軒を連ねているのが見えてきた。
「あっ、リンゴ飴のお店が出てる! 東京コロッケも!」
そう言って、嬉しそうに小走りになる長洲先輩。
ちなみに、東京コロッケというのは、ジャガイモだけで作られた一口サイズに満たない小ぶりな揚げ物だ。その名に反して、東京には存在しないという不思議な食べ物で、驚くべきことに、我が街には、東京コロッケの専門店(!)があるくらい、オレたちの住む地域で行われる縁日では、比較的おなじみのソウル・フード(?)である。
オレの隣で駆け出そうとする上級生女子に、
「おいおい、あんまりはしゃぐとケガするぞ! 屋台は、お参りをしてから回ろうぜ」
と、後ろから小田先輩の声がかかる。
「は~い、わかってるよ~」
長洲先輩は、同級生の言葉で駆け出すのを止めて、あとからやってくる四人のメンバーを待って、女子たちに語りかける。
「二人は、何を食べるの? 私はね、チーズハットグに、牛タン串に、焼きそば! あと、ベビーカステラは、みんなでシェアしよう!」
相変わらずテンションの高い先輩の勢いにのまれつつも、上坂部は、幼なじみの目を気にしているのか、彼の方にチラチラと目線を向けながら応じる。
「私は、ソース系は、口元に付きそうなので、ちょっと……でも、リンゴ飴は買っておきたいかな……?」
クラスメートの返答を聞きながら、フルーツ飴は、女子の間でマスト・バイな食べ物になっているのだな、と変なところに感心する。オレが、ガキの頃は、縁日のフルーツ飴と言えば、どちらかと言えば、古臭くオシャレな印象などまるでなかった、と思うのだが……。つくづく、SNSの影響は大きいものだ、と感じてしまう。
「リンゴ飴も捨てがたいですけど、チョコバナナも食べたいです」
浦風さんの主張には、長洲先輩が、うんうん、と大きくうなずき、
「だよね! じゃあ、両方、制覇しちゃおう!」
と、大胆に宣言する。
そんな女子たちの会話に、久々知大成が、果敢に切り込む。
「おいおい、屋台と言えば食べ物だけじゃないだろう? 射的に、スマートボールに、金魚すくい。景品付きの店こそ、日頃の腕の見せどころじゃないか? なんなら、全財産クジ引きに突っ込んで、ホントに当たりクジが出るのか、試してみるか?」
「もう~! 大成は、また小学生みたいなこと言って……もっと、お祭りの雰囲気を楽しまないと……」
なんだろう、このオレにとって、現実感の無い会話は……。
こんな光景は、マンガかアニメかゲームの中でしか起こり得ないと思っていたのだが……。
日常的な会話の一コマ一コマが、オレにとっては、どれもドラマチックに感じられる。
(そうか、普通は、みんなこうやって、放課後や休日を楽しんでいるんだよな……)
あらためて、そう考えると、目の前の光景が、急に愛おしく感じるようになってしまった。
思えば、オレの残りの人生で、浴衣姿の女子三人と出かけられるチャンスなんてあるのだろうか?
そのことを考えると、いま、目の前で起こっている出来事を、しっかり、目と胸に刻んでおかなければ……!
いやいや、こんなことを考えているから、オレは、非リアな人間なんじゃないか……と、心の中で自分自身の陰キャラ思考にあきれていると、四人の様子を苦笑しながら眺めていた小田先輩が、彼らに声を掛ける。
「おいおい、おまえら、いくら楽しみにしてたからって、ハシャギ過ぎだろ……立花くんを見習って、もう少し、大人しく楽しめよ」
すみません、先輩。この中で、内心、一番テンションが上がってるのは、オレだと思います。
しかも、なんか気持ち悪いこと考えてて、ホント、すみません。
小田先輩の言葉につられて、苦笑するオレの表情を見た浴衣姿の四人は、「は~い」と、声を揃えて、上級生男子の声に従う。
「それじゃ、お参りの列に並ぼうぜ」
今度は、小田先輩が先導して、オレたちは、茅の輪くぐりの列に並ぶことにした。
はしゃぐ四人をキッチリの手綱をキッチリと握って誘導する上級生の姿を見て、感じることがある。
オレたちを驚かせようと、サプライズを仕掛けたり、集合から神社までの先導を行って、機先を制することに長けた長洲先輩。
グループLANEの連絡事項をまとめたり、今のように後方から、そっと、みんなの様子を見守りつつ、締めるところでは、しっかりと、全員を誘導できる小田先輩。
生徒会のメンバーでもある二人の先輩は、オレのクラスでクラス委員を務める久々知・上坂部のコンビと同等か、それ以上に、集団の中で息が合い、文字どおり、あうんの呼吸で行動できているように感じる。この先輩たちは、オレのクラスメートのように、どちらかが相手を異性として意識している、ということはないのだろうか?
もし、そうだとすれば、この二人のどちらかに想いを寄せている人間がいれば、大変だな――――――と、感じる。
そんなオレの懸念が、この直後に当たってしまうとは、思ってもいなかったのだが……。
交差点に面している信用金庫の店舗沿い歩くと、早くも縁日の屋台が軒を連ねているのが見えてきた。
「あっ、リンゴ飴のお店が出てる! 東京コロッケも!」
そう言って、嬉しそうに小走りになる長洲先輩。
ちなみに、東京コロッケというのは、ジャガイモだけで作られた一口サイズに満たない小ぶりな揚げ物だ。その名に反して、東京には存在しないという不思議な食べ物で、驚くべきことに、我が街には、東京コロッケの専門店(!)があるくらい、オレたちの住む地域で行われる縁日では、比較的おなじみのソウル・フード(?)である。
オレの隣で駆け出そうとする上級生女子に、
「おいおい、あんまりはしゃぐとケガするぞ! 屋台は、お参りをしてから回ろうぜ」
と、後ろから小田先輩の声がかかる。
「は~い、わかってるよ~」
長洲先輩は、同級生の言葉で駆け出すのを止めて、あとからやってくる四人のメンバーを待って、女子たちに語りかける。
「二人は、何を食べるの? 私はね、チーズハットグに、牛タン串に、焼きそば! あと、ベビーカステラは、みんなでシェアしよう!」
相変わらずテンションの高い先輩の勢いにのまれつつも、上坂部は、幼なじみの目を気にしているのか、彼の方にチラチラと目線を向けながら応じる。
「私は、ソース系は、口元に付きそうなので、ちょっと……でも、リンゴ飴は買っておきたいかな……?」
クラスメートの返答を聞きながら、フルーツ飴は、女子の間でマスト・バイな食べ物になっているのだな、と変なところに感心する。オレが、ガキの頃は、縁日のフルーツ飴と言えば、どちらかと言えば、古臭くオシャレな印象などまるでなかった、と思うのだが……。つくづく、SNSの影響は大きいものだ、と感じてしまう。
「リンゴ飴も捨てがたいですけど、チョコバナナも食べたいです」
浦風さんの主張には、長洲先輩が、うんうん、と大きくうなずき、
「だよね! じゃあ、両方、制覇しちゃおう!」
と、大胆に宣言する。
そんな女子たちの会話に、久々知大成が、果敢に切り込む。
「おいおい、屋台と言えば食べ物だけじゃないだろう? 射的に、スマートボールに、金魚すくい。景品付きの店こそ、日頃の腕の見せどころじゃないか? なんなら、全財産クジ引きに突っ込んで、ホントに当たりクジが出るのか、試してみるか?」
「もう~! 大成は、また小学生みたいなこと言って……もっと、お祭りの雰囲気を楽しまないと……」
なんだろう、このオレにとって、現実感の無い会話は……。
こんな光景は、マンガかアニメかゲームの中でしか起こり得ないと思っていたのだが……。
日常的な会話の一コマ一コマが、オレにとっては、どれもドラマチックに感じられる。
(そうか、普通は、みんなこうやって、放課後や休日を楽しんでいるんだよな……)
あらためて、そう考えると、目の前の光景が、急に愛おしく感じるようになってしまった。
思えば、オレの残りの人生で、浴衣姿の女子三人と出かけられるチャンスなんてあるのだろうか?
そのことを考えると、いま、目の前で起こっている出来事を、しっかり、目と胸に刻んでおかなければ……!
いやいや、こんなことを考えているから、オレは、非リアな人間なんじゃないか……と、心の中で自分自身の陰キャラ思考にあきれていると、四人の様子を苦笑しながら眺めていた小田先輩が、彼らに声を掛ける。
「おいおい、おまえら、いくら楽しみにしてたからって、ハシャギ過ぎだろ……立花くんを見習って、もう少し、大人しく楽しめよ」
すみません、先輩。この中で、内心、一番テンションが上がってるのは、オレだと思います。
しかも、なんか気持ち悪いこと考えてて、ホント、すみません。
小田先輩の言葉につられて、苦笑するオレの表情を見た浴衣姿の四人は、「は~い」と、声を揃えて、上級生男子の声に従う。
「それじゃ、お参りの列に並ぼうぜ」
今度は、小田先輩が先導して、オレたちは、茅の輪くぐりの列に並ぶことにした。
はしゃぐ四人をキッチリの手綱をキッチリと握って誘導する上級生の姿を見て、感じることがある。
オレたちを驚かせようと、サプライズを仕掛けたり、集合から神社までの先導を行って、機先を制することに長けた長洲先輩。
グループLANEの連絡事項をまとめたり、今のように後方から、そっと、みんなの様子を見守りつつ、締めるところでは、しっかりと、全員を誘導できる小田先輩。
生徒会のメンバーでもある二人の先輩は、オレのクラスでクラス委員を務める久々知・上坂部のコンビと同等か、それ以上に、集団の中で息が合い、文字どおり、あうんの呼吸で行動できているように感じる。この先輩たちは、オレのクラスメートのように、どちらかが相手を異性として意識している、ということはないのだろうか?
もし、そうだとすれば、この二人のどちらかに想いを寄せている人間がいれば、大変だな――――――と、感じる。
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