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第8章~フェリスはある朝突然に~③
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「で、質問の答えに戻ると、吉野さんが、オレとブンちゃんが《イチャイチャしてる》って言うのは、いま言った、花道と流川の様な関係性を、オレ達二人にも見ようとしているというなんやろうね、多分。この際、自分を『スラムダンク』のキャラに例えるな!って、ツッコミは置いといてな」
笑いながら言い終えた秀明に、
「あぁ、そういうことやったん」
と舞は、納得したようにうなづく。
「でも、まさか自分がそんな風に見られる対象になるとは思わんかったわ……。女子に人気のあるブンちゃんや伊藤なら、ともかく」
と苦笑いしながら答える秀明に、
「あ~、そう言えば、ウチのクラスの女子も、たまに『伊藤クンと坂野クンが……』って、キャッキャッしながら言ってるな~」
と今度は愛理沙がつぶやく。
それを受けて、秀明も続けた。
「A組って、美術選択やったよな?イラストとか描くの上手な女子とか多そうやもんね!なんとなく、そのコ達が、何を言ってるか想像できるわ」
一年B組では、特殊メンバー扱いの《ボンクラーズ》も、クラスが変わると、評価が変わるということなのだろうか?
A組の一部の男子が、昼休みにB組に移動して来ている理由が、《オタク的要素の濃い話》に参加しに来ているということを想像するのは、他クラスの生徒には難しいかも知れない。
秀明が、そんなことを考えていると、
「ふ~ん、やっぱり坂野って、人気があるんや?」
と愛理沙が聞くともなしにたずねる。
「校内放送を始めてからは、単位制以外の一部女子からもね……。ただ、本人は、迷惑とまでは言わないけど、戸惑ってるみたいやねんな~」
秀明は、その理由にも想像がついていたが、昭聞のプライバシー(というか、いわゆる恋バナだが)に踏み込むことになるので、その点には触れないでおいた。
「それは、吉野さんもやんな、有間!」
と、秀明の肩を叩き、舞が意味ありげに笑う。
「ま、まあ、そうやね。最近、ウチのクラスには、他の学年からもギャラリーが集まって来てるみたいでさ……。周りにも迷惑が掛かるかも知らんし、何か、穏便にヒトが集まるのをおさめる方法はないかな、と考えてるところ」
と、秀明は話した。
すると、愛理沙は即座に答える。
「そういうことは、責任者の上級生に相談したらイイんちゃう?ちゃんと考えてくれるヒトなら、『放送でキッチリ注意しよう』って話しを進めてくれると思うけど?」
あまりにアッサリと回答を出した彼女に、秀明は驚きと感心がまじった思いで、
「そっか……。やっぱり、そうやな!朝日奈さん、ありがとう!できるだけ早く、放送部の先輩に相談してみるわ!」
と愛理沙に礼を述べる。
「別に当たり前のコと言っただけやけど。私も有間と坂野の怪しい関係と『スラムダンク』の面白い話しが聞けて良かったわ」
と愛理沙。
「オレとブンちゃんのことを妄想してるのは吉野さんだけやから、そこはハッキリさせとこう!」
と秀明はキッパリ言い切った。そして、
「あと、『スラムダンク』やけどさ。今の山王工業戦って試合前からテンション高すぎへん?このままのノリで続けたら、湘北の選手も作者もボロボロになって、山王に勝っても、そこで連載が終わってしまうんちゃう?」
と続けて語る。
「え~、まだ二回戦とかやろ?ここで終わられたら困るわ」
と舞が反論すると、
「まあ、それもそうやね。あんなに売れてるマンガを『少年ジャンプ』がアッサリ終わらせるハズないか」
秀明も、ハハハと笑い、
「じゃあ、他のクラスとも交流してくるわ!」
と言って、A組とC組の男子の委員の会話に加わりに行った。
※
秀明が去った後で、愛理沙が興味津々といった感じで、小声でたずねる。
「なあなあ、正田さん!今の話し聞いてて思ったんやけど、有間って吉野さんのこと気になってるんかな?」
(まあ、誰でもわかるよな~)
と感じつつ、渋い表情で笑いながら、舞が答える。
「本人に自覚がないみたいやから、そこは、あんまり触れんといてあげて……」
愛理沙は続けて、
「でも、有間は、吉野さんにオトコとして見られてないみたいやな」
舞の表情は、さらに渋いものになり、
「それな~。でも、今日の有間の例え話でわかったわ」
と答える。
「わかったって、何が?」
と問う愛理沙に、
「吉野さんって、有間のことは気に入ってるみたいやけど……。有間のことを話す時の吉野さんって、ペットとか可愛がってる弟のことを話してるみたいな感じがしてたんよ。有間の話しを聞いて納得がいったんやけど、あんな風に男子を見てるヒトも居るんやな」
と舞は答える。
すると、愛理沙は、
「でも、それってさ、『自分は男子の観察者で居たい』っていうことやろ?あんまり他人の趣味にケチをつけたくはないけど、これって『恋愛する覚悟が無い』ってことじゃないの?」
と断定的な口調で語った。
「さ、さすがに、それは言いすぎちゃうかな……?」
亜莉寿をかばうつもりはないが、舞は断言する様に言った彼女の言葉にクギをさす。
すると、愛理沙は、三人で話していた時のことを思い出しながら、
「そうかな~。今のままやったら、有間が、ちょっとカワイソウやな~、って思って……」
と感じたことを語った。
一方の舞は、
「う~ん、ただ有間は、まだ自分の気持ちに気付かないフリをしてると思うから……。『恋愛する覚悟が無い』のは、有間の方なんじゃないかと思うねん。私としては、今の段階では同情の余地ナシと感じるわ」
と、自分が以前から感じていたことを愛理沙に伝えた。
笑いながら言い終えた秀明に、
「あぁ、そういうことやったん」
と舞は、納得したようにうなづく。
「でも、まさか自分がそんな風に見られる対象になるとは思わんかったわ……。女子に人気のあるブンちゃんや伊藤なら、ともかく」
と苦笑いしながら答える秀明に、
「あ~、そう言えば、ウチのクラスの女子も、たまに『伊藤クンと坂野クンが……』って、キャッキャッしながら言ってるな~」
と今度は愛理沙がつぶやく。
それを受けて、秀明も続けた。
「A組って、美術選択やったよな?イラストとか描くの上手な女子とか多そうやもんね!なんとなく、そのコ達が、何を言ってるか想像できるわ」
一年B組では、特殊メンバー扱いの《ボンクラーズ》も、クラスが変わると、評価が変わるということなのだろうか?
A組の一部の男子が、昼休みにB組に移動して来ている理由が、《オタク的要素の濃い話》に参加しに来ているということを想像するのは、他クラスの生徒には難しいかも知れない。
秀明が、そんなことを考えていると、
「ふ~ん、やっぱり坂野って、人気があるんや?」
と愛理沙が聞くともなしにたずねる。
「校内放送を始めてからは、単位制以外の一部女子からもね……。ただ、本人は、迷惑とまでは言わないけど、戸惑ってるみたいやねんな~」
秀明は、その理由にも想像がついていたが、昭聞のプライバシー(というか、いわゆる恋バナだが)に踏み込むことになるので、その点には触れないでおいた。
「それは、吉野さんもやんな、有間!」
と、秀明の肩を叩き、舞が意味ありげに笑う。
「ま、まあ、そうやね。最近、ウチのクラスには、他の学年からもギャラリーが集まって来てるみたいでさ……。周りにも迷惑が掛かるかも知らんし、何か、穏便にヒトが集まるのをおさめる方法はないかな、と考えてるところ」
と、秀明は話した。
すると、愛理沙は即座に答える。
「そういうことは、責任者の上級生に相談したらイイんちゃう?ちゃんと考えてくれるヒトなら、『放送でキッチリ注意しよう』って話しを進めてくれると思うけど?」
あまりにアッサリと回答を出した彼女に、秀明は驚きと感心がまじった思いで、
「そっか……。やっぱり、そうやな!朝日奈さん、ありがとう!できるだけ早く、放送部の先輩に相談してみるわ!」
と愛理沙に礼を述べる。
「別に当たり前のコと言っただけやけど。私も有間と坂野の怪しい関係と『スラムダンク』の面白い話しが聞けて良かったわ」
と愛理沙。
「オレとブンちゃんのことを妄想してるのは吉野さんだけやから、そこはハッキリさせとこう!」
と秀明はキッパリ言い切った。そして、
「あと、『スラムダンク』やけどさ。今の山王工業戦って試合前からテンション高すぎへん?このままのノリで続けたら、湘北の選手も作者もボロボロになって、山王に勝っても、そこで連載が終わってしまうんちゃう?」
と続けて語る。
「え~、まだ二回戦とかやろ?ここで終わられたら困るわ」
と舞が反論すると、
「まあ、それもそうやね。あんなに売れてるマンガを『少年ジャンプ』がアッサリ終わらせるハズないか」
秀明も、ハハハと笑い、
「じゃあ、他のクラスとも交流してくるわ!」
と言って、A組とC組の男子の委員の会話に加わりに行った。
※
秀明が去った後で、愛理沙が興味津々といった感じで、小声でたずねる。
「なあなあ、正田さん!今の話し聞いてて思ったんやけど、有間って吉野さんのこと気になってるんかな?」
(まあ、誰でもわかるよな~)
と感じつつ、渋い表情で笑いながら、舞が答える。
「本人に自覚がないみたいやから、そこは、あんまり触れんといてあげて……」
愛理沙は続けて、
「でも、有間は、吉野さんにオトコとして見られてないみたいやな」
舞の表情は、さらに渋いものになり、
「それな~。でも、今日の有間の例え話でわかったわ」
と答える。
「わかったって、何が?」
と問う愛理沙に、
「吉野さんって、有間のことは気に入ってるみたいやけど……。有間のことを話す時の吉野さんって、ペットとか可愛がってる弟のことを話してるみたいな感じがしてたんよ。有間の話しを聞いて納得がいったんやけど、あんな風に男子を見てるヒトも居るんやな」
と舞は答える。
すると、愛理沙は、
「でも、それってさ、『自分は男子の観察者で居たい』っていうことやろ?あんまり他人の趣味にケチをつけたくはないけど、これって『恋愛する覚悟が無い』ってことじゃないの?」
と断定的な口調で語った。
「さ、さすがに、それは言いすぎちゃうかな……?」
亜莉寿をかばうつもりはないが、舞は断言する様に言った彼女の言葉にクギをさす。
すると、愛理沙は、三人で話していた時のことを思い出しながら、
「そうかな~。今のままやったら、有間が、ちょっとカワイソウやな~、って思って……」
と感じたことを語った。
一方の舞は、
「う~ん、ただ有間は、まだ自分の気持ちに気付かないフリをしてると思うから……。『恋愛する覚悟が無い』のは、有間の方なんじゃないかと思うねん。私としては、今の段階では同情の余地ナシと感じるわ」
と、自分が以前から感じていたことを愛理沙に伝えた。
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