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遊馬友仁

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第12章~(ハル)~⑤

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♤「うん!この映画の面白いところは、パソコン通信で知り合うヒトには、良いヒトが多くて、リアルな知り合いは、ちょっと困ったヒトが多いのよね(苦笑)」
♢「THE BOOMの宮沢和史さんが演じてる青年実業家とか(笑)?」
♤「そうそう!とにかく、(ほし)は周りにロクな男性が居なくて、男運が悪すぎなんですよ!!こうして、心に満たされないものを感じながら交流を続ける(ハル)と(ほし)は、どうなって行くのか!?」
♢「お約束なんだけど、パソコン通信では毎日の様にコミュニケーションを取っていても、実際にはなかなか逢えない二人にヤキモキしながら観てしまうよね!」
♤「この映画を観て思ったのは、コミュニケーションを取る道具(ツール)によって、そのツールを使うヒトの気持ちは、こんなにも変わっていくのか!?ということでした。相手の気持ちに寄り添いながら、メールを書くことで、自分の奥の方にある気持ちにも気付いて、少しずつ前向きになって行けるという過程が、とても丁寧に描かれている映画だと感じました」
♢「デジタルなモノを題材にしているのに、人間味あふれるというか、こんなにも穏やかな雰囲気のヒューマン・ドラマが観られるとは思ってなかったから、意外だったな~」
♤「もちろん、インターネットでのコミュニケーションが、こんなにポジティブなことばかりってことはないだろうし、アナログな世界でも、さっき話した交換日記とか、文通なんかでも、こういう心理描写は描けるんでしょうけどね……。それでも、新しい時代のコミュニケーションの形を示してくれたということで、個人的には、とても感銘を受けました!ぜひ、劇場で映画をご覧になっていただきたいです!!」
♧「今年も、初っぱなから熱く語ってるな~(笑)どうも、皆さんあけましておめでとうございます。ブンでございます」
♤「相変わらず、ツッコミのタイミングを見計らって入って来るね~、ブンちゃん!」
♧「いや、今回は事前にアリマ先生が、『この映画、面白そうやで!』って言うから、珍しくボクも試写会に参加させてもらったんですよ!」
♢「三人で試写会に行くのは久しぶりだったもんね。 『耳をすませば』以来かな?」
♧「そうやね~。───で、《パソコン通信で交流する男女の出会いの話し》っていうから、また、メグ・ライアンとトム・ハンクスの『めぐり逢えたら』の焼き直しみたいな映画なんちゃうん!?って、思ってたんですけどね……。今回、アリマ先生イチ推しの『(ハル)』イイんだ、この映画が!!」
♤「珍しく、三人の見解が一致したな~(笑)」
♧「最初は、深津絵里が演じる(ほし)は男のふりをしているから、一人称は、『ボク』なんですよ!(ほし)が送るメールのメッセージが、『1999年の夏休み』を彷彿とさせて、また、堪らんのよ、コレが!」
♤「あ~、そう言えば、『1999年の夏休み』に深津絵里も出演してたもんな~。けど、《ボクっ娘》好きとか、新年早々、自分の性癖を全面に押し出して語るのは、やめてやホンマ(笑)」
♢「坂野クンって、そういう趣味があるんだ(笑)?」
♧「ナニを言ってるんですか、先生!!今のボクのイチ推しキャラは、『新世紀エヴァンゲリオン』のファースト・チルドレン、綾波レイなんですけど(怒)!!」
♤「知らんがな!───いや、知ってるけど(笑)ホンマ、ブンちゃんは、ショートカットのキャラが好きやな」
♧「ああいう無口系のキャラクターって、九〇年代に入って、なかなか出て来なかったからな~。けど、先生も勘違いしたら、アカンで!パソコン通信とかインターネットに出会いを求めても、深津絵里みたいなヒトと知り合える訳ではないからな!」
♤「それな!ウチの実家でも、父親が年末にボーナスでパソコンをウィンドウズ・マシンに買い換えて、インターネットもするために、プロバイダっていうのと契約したんですよ。で、特別キャンペーンか何かでメールアドレスのアカウントが二件まで無料やったらしいから、ついでにボクの分まで、メールアドレスを作ってもらったんやけど……」
♢「へ~、アリマ館長もメールデビューするんだ(笑)」
♤「そう思ったけど、そもそも知り合いにメールアドレスを持ってるヒトがいないから、メールを送る相手も居ないっていうね(笑)」
♧「そうそう!安易に出会いとか求めたらアカンわ。だいたい、この映画と違って、パソコン通信に集まるヒト達の九十九パーセントは、『エヴァンゲリオン』のフォーラムに集って、人類補完計画がどうとか、死海文書がこうとか言ってるだけに決まってんねんから!」
♤「エラい偏見やな!!ニフティのフォーラムのヒト達に怒られるで(笑)ブンちゃんの好きな『十二国記』シリーズの小野不由美先生とか、ボクの好きな水玉蛍之丞先生とか女性もパソコン通信してるらしいやん」
♧「それ、オタク女子の元祖みたいなヒト達やん」
♤「確かに……(笑)あと、『エヴァ』のフォーラムに集まってるヒト達も、やっぱり、綾波が良いかアスカが良いかの議論をしてたりするんかな?」
♧「してるやろうなぁ(笑)まあ、実際のところ、綾波とアスカの人気投票をしたら、ダブルスコアで綾波の圧勝やろうけど!」
♤「ハァ(怒)!?なんか、いま聞き捨てならんことが聞こえた気がするんやけど?アスカが、あんな根暗キャラに負ける訳ないやん?」
♧「ほう!?暴言を吐くだけのキャラクターを推すとは───。アリマ先生、隠しきれないM気質の表れですか(嘲笑)!?」
♤「はぁん!?アスカを暴言吐くだけのキャラと思ってるところが、綾波派の底の浅さというか(苦笑)アスカは、一見ツンツンしてる様に見えるけど、付き合いが深まれば、相手に対してデレデレになるねん!それが、ワカランとか、一体ナニを観てるんですかね?」
♢「ねぇ、ちょっとイイ?熱くなってるところ申し訳ないんだけど……。去年から二人が話題にしてる『エヴァンゲリオン』って、そんなに面白いの?」
♤♧「「メチャクチャ面白いで!!!!!!!」」
♢「……そ、そうなんだ(苦笑)」
♤「来月初めに第壱話と第弐話のLDとビデオが発売されるから、まだ観てないヒトには、観てほしいね」
♧「同じ日にレンタルも開始されるハズやから、そのタイミングで、『レンタル・アーカイブス』のコーナーで取り上げてみるか?」
♤「いや~、でも、あのコーナーは、あくまでアリス店長がメインやからな~」
♢「二人が、そんなに熱心に話すなら、私は別に構わないよ。二人で紹介してくれても(笑)」
♤「あ、ありがとう」
♧「ヨシ!じゃあ、二月の一週目の放送は、『エヴァ』祭りに決定やな!!」
♤「う~ん、原作の無いオリジナル作品やから、この先、どう展開するか不安な面もあるんやけどなぁ(苦笑)って、またまた『エヴァ』の話しに引きずられてる場合ではないねん!今日は、アリス店長から、《重要なお知らせ》があるんやから!」
♧「あっ、そうやったな」
♤「では、アリス店長よろしくお願いします」
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