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第二部
第1章〜幼なじみは絶対に勝てないラブコメ〜⑤
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「残念だけど――――――結論から言うと、いまの段階では、白草さんに入部してもらっても、広報部として活躍の場を提供できる余地はないわ……」
広報部の活動――――――と、いうより、黒田竜司の放課後の行動(と突然あらわれた下級生女子との関係)について、大いに関心を示し、彼が所属するクラブに体験入部を申し出た白草四葉の願いは、部長の花金鳳花にあっさりと却下されてしまった。
「そんな……どうしてですか!? 広報部は、部員数が足りていないんじゃ……?」
疑問の声をあげる四葉に、鳳花は、少し困ったような表情で答える。
「たしかに、私たちの部活動は、いつも、人手不足であることに違いはないわ……ただ、手前味噌な言い方になるけど、それは、部長である私が部員のみんなに要求する仕事のハードルが高いから、ということもあるの」
放送室に集うメンバーのうち、責任者である彼女の言葉に、広報部の面々がうなずく。そのようすを確認した鳳花は言葉を続けた。
「私や黒田くんが、オープン・スクールで舞台に立ったのは、例外中の例外で、私たちの活動は、あくまでも学校行事の裏方として、イベントの成功に貢献することなの。白草さんのお母さんは、ドラマや舞台で歌やお芝居の仕事をしているわよね? 女優やアーティストとしての才能を持つ人に、事務所の事務作業のようなことはさせられないわ」
「うっ……でも……」
と、異議をとなえようとするが、反論のよちのない回答に、四葉は言葉をつまらせる。
さらに、きっぱりと四葉の申し出を断った部長の言葉に気を良くしたのか、桃華が勝ち誇ったように追い討ちを掛けた。
「そうですよ、白草センパイ。くろセンパイとワタシのただならぬ関係が気になるのはわかりますが……白草センパイに入部してもらっても、任せられるお仕事はないと思いますよ」
その発言に、言葉の主の後輩をキッ……と、にらみつけた四葉は、
「じゃあ、まだ、学校に登校しはじめて間もない、このコはどうなんですか? なにか、すぐに任せられる仕事があるんですか?」
と、下級生を指さして、鳳花にたずねる。
「佐倉さんのアナウンスの声やイベント司会者としての能力は、中学校の時から、私もよく知っているから……先週のオープン・スクールでも、佐倉さんが、四月から入部してくれていたら、司会を頼みたかったくらいよ」
信頼し、尊敬する先輩女子の言葉に、ホクホクとした表情になった桃華は、ダメ押しとなる会心の一撃を放った。
「おわかりいただけましたか? ワタシは、広報部で即戦力になれるだけの準備はできています。それと、白草センパイ……いくら、幼なじみのくろセンパイのことが気になるからって、関係のない部活動にまで付いてきて……まるで、未練たらたらの押しかけ女房的に主人公に付きまとう、大昔のロール・プレイング・ゲームのキャラクターみたいですね? 令和の時代には、もうそういうキャラ付けは受けませんよ?」
彼女が言葉を言い終えると同時に、放送室の空気は、一気に凍りつく。
痛恨の一撃を受け、あまりのショックに言葉を失う四葉に同情し、桃華以外のメンバーが気を使いながら、同世代のカリスマと呼ばれる女子生徒に目を向けた。
(さすが、佐倉さん……ボクたちが言えないことを平然と言ってのける……いや、そこにシビれも、あこがれもしないけど……)
壮馬が、そんな感慨に浸っていると、後輩女子に完膚なきまでにの恥辱を与えられた四葉は、
「くっ……幼なじみのナニが悪いって言うの!? フ◯ーラを選ぶような人間は、みんな地獄に堕ちればイイのよ~~~~!!」
という捨て台詞を吐き、放送室を飛び出した。
「あっ、白草さん……」
声を出して、同じクラスの委員長である紅野アザミがあとを追おうとするが、すぐに放送室内を活動拠点とする部の最高責任者から声がかかる。
「紅野さんだっけ? ちょっと、待ってくれない? これは、広報部の問題だから……黒田くん! すぐに、白草さんを追い掛けて! フォローをよろしくね」
「えっ……? なんで、オレが!?」
「そうですよ、放っておきましょうよ、鳳花センパイ……」
花金鳳花の言葉に、竜司と桃華は、それぞれ、声をあげる。
しかし――――――。
「いまの白草さんを説得できるのは、黒田くんしかいないわ。しっかり責任を果たして来るように……それと、これは、お願いじゃなくて、部長命令だから……」
一年と二年の下級生に言外のプレッシャーを与えるかのような部長の追撃の一言に気圧され、二人は押し黙り、竜司は、気乗りしないながらも、四葉を追い掛けることになった。
広報部の活動――――――と、いうより、黒田竜司の放課後の行動(と突然あらわれた下級生女子との関係)について、大いに関心を示し、彼が所属するクラブに体験入部を申し出た白草四葉の願いは、部長の花金鳳花にあっさりと却下されてしまった。
「そんな……どうしてですか!? 広報部は、部員数が足りていないんじゃ……?」
疑問の声をあげる四葉に、鳳花は、少し困ったような表情で答える。
「たしかに、私たちの部活動は、いつも、人手不足であることに違いはないわ……ただ、手前味噌な言い方になるけど、それは、部長である私が部員のみんなに要求する仕事のハードルが高いから、ということもあるの」
放送室に集うメンバーのうち、責任者である彼女の言葉に、広報部の面々がうなずく。そのようすを確認した鳳花は言葉を続けた。
「私や黒田くんが、オープン・スクールで舞台に立ったのは、例外中の例外で、私たちの活動は、あくまでも学校行事の裏方として、イベントの成功に貢献することなの。白草さんのお母さんは、ドラマや舞台で歌やお芝居の仕事をしているわよね? 女優やアーティストとしての才能を持つ人に、事務所の事務作業のようなことはさせられないわ」
「うっ……でも……」
と、異議をとなえようとするが、反論のよちのない回答に、四葉は言葉をつまらせる。
さらに、きっぱりと四葉の申し出を断った部長の言葉に気を良くしたのか、桃華が勝ち誇ったように追い討ちを掛けた。
「そうですよ、白草センパイ。くろセンパイとワタシのただならぬ関係が気になるのはわかりますが……白草センパイに入部してもらっても、任せられるお仕事はないと思いますよ」
その発言に、言葉の主の後輩をキッ……と、にらみつけた四葉は、
「じゃあ、まだ、学校に登校しはじめて間もない、このコはどうなんですか? なにか、すぐに任せられる仕事があるんですか?」
と、下級生を指さして、鳳花にたずねる。
「佐倉さんのアナウンスの声やイベント司会者としての能力は、中学校の時から、私もよく知っているから……先週のオープン・スクールでも、佐倉さんが、四月から入部してくれていたら、司会を頼みたかったくらいよ」
信頼し、尊敬する先輩女子の言葉に、ホクホクとした表情になった桃華は、ダメ押しとなる会心の一撃を放った。
「おわかりいただけましたか? ワタシは、広報部で即戦力になれるだけの準備はできています。それと、白草センパイ……いくら、幼なじみのくろセンパイのことが気になるからって、関係のない部活動にまで付いてきて……まるで、未練たらたらの押しかけ女房的に主人公に付きまとう、大昔のロール・プレイング・ゲームのキャラクターみたいですね? 令和の時代には、もうそういうキャラ付けは受けませんよ?」
彼女が言葉を言い終えると同時に、放送室の空気は、一気に凍りつく。
痛恨の一撃を受け、あまりのショックに言葉を失う四葉に同情し、桃華以外のメンバーが気を使いながら、同世代のカリスマと呼ばれる女子生徒に目を向けた。
(さすが、佐倉さん……ボクたちが言えないことを平然と言ってのける……いや、そこにシビれも、あこがれもしないけど……)
壮馬が、そんな感慨に浸っていると、後輩女子に完膚なきまでにの恥辱を与えられた四葉は、
「くっ……幼なじみのナニが悪いって言うの!? フ◯ーラを選ぶような人間は、みんな地獄に堕ちればイイのよ~~~~!!」
という捨て台詞を吐き、放送室を飛び出した。
「あっ、白草さん……」
声を出して、同じクラスの委員長である紅野アザミがあとを追おうとするが、すぐに放送室内を活動拠点とする部の最高責任者から声がかかる。
「紅野さんだっけ? ちょっと、待ってくれない? これは、広報部の問題だから……黒田くん! すぐに、白草さんを追い掛けて! フォローをよろしくね」
「えっ……? なんで、オレが!?」
「そうですよ、放っておきましょうよ、鳳花センパイ……」
花金鳳花の言葉に、竜司と桃華は、それぞれ、声をあげる。
しかし――――――。
「いまの白草さんを説得できるのは、黒田くんしかいないわ。しっかり責任を果たして来るように……それと、これは、お願いじゃなくて、部長命令だから……」
一年と二年の下級生に言外のプレッシャーを与えるかのような部長の追撃の一言に気圧され、二人は押し黙り、竜司は、気乗りしないながらも、四葉を追い掛けることになった。
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