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第二部
第4章〜推しが尊すぎてしんどいのに表現力がなさすぎてしんどい〜③
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「我が広報部の部員を高く評価してくれることは、とても嬉しいけど……そこまで言い切るからには、よほど確信があってのことなのよね? 紅野さん本人から、何か具体的なことを聞いているの?」
「さすがは、鳳花! お見通しか……そう! 実は、ここだけの話しなんだけど……」
広報部の責任者の問いかけに、即答した吹奏楽部の副部長は、声を潜めて耳打ちするようにささやく。
「二人切りになったときに、ウチの後輩ちゃんに話しを聞かせてもらったばかりなんだよね……」
美奈子の言葉に興味をひかれたのか、ピクリと眉が動き、反応した鳳花は、
「詳しく話してくれる?」
と、思わせぶりな話し相手に続きをうながす。
普段は冷静な生徒会副会長の関心をひくことができた、と確信した生徒会長は、思惑通りにことが運んだことに満足するような表情を見せながら、言葉を続けた。
「黒田くんたちが、私たちのクラブ紹介のために撮影に来てくれたじゃない? あの時の落ち着いた仕事ぶりを見て、我が部の次期幹部候補に聞いてみたのよ。『なかなか頼りになる
男子じゃない? 今年も一緒にクラス委員をやってるんだっけ?』って……」
美奈子の言葉に、鳳花は軽くうなずいて、関心を示す。
「そうしたらね、いつもは、あまり私たち上級生に、自分のことを話さないあのコが、嬉しそうに『そうなんです! 黒田くん、私が部活と委員長の仕事の両立に悩んでいたら、相談に乗ってくれて、大変なときは、自分が仕事を引き受けるよ、って言ってくれたんです!』なんて、話すのよ。アレは、家族やペットみたいに大切な存在や、自分が大事にしている持ち物を誉められた時の反応ね」
「なるほど、それで……」
鳳花が相づちを打つように言葉を発すると、一方の美奈子は、「でもね~」と、つぶやいて、少しだけ表情を曇らせる。
そのようすに、鳳花が不思議に、やや怪訝な顔色を浮かべると、困ったように苦笑する表情で美奈子は語った。
「その後ね、あのコは、こう言ったのよ……『寿先輩、ちょっと、相談に乗ってもらって良いですか?』『先輩も知ってるかも知れませんが……私、春休みに黒田くんから告白された時に、すごく驚いて、とっさに断ってしまったんです』『でも……また元通りに仲良くしたいな、って思っていて……それに、最近の彼を見てると、なんだか素敵だな、って思うことがあって』『先輩、私、どうすれば良いでしょうか?』なんてね……」
友人にして、生徒会の同僚でもある彼女からの打ち明け話しに、鳳花が、
「あらあら、それはそれは……」
と、返答すると、美奈子も友人の言葉に同意し、苦笑いの度合いを深めながら、「ホント、『あらあら、これはこれは……』だよ……」と、つぶやく。
さらに、
「そんな訳で、先輩の私としては、黒田くんが撮影に来てくれた時に、イジり過ぎちゃったな、と猛省しているところなのです。あのコ、恋愛には興味を持たないタイプだと思っていたからね~。まさか、あそこまで思い入れているとは……」
と、まるで懺悔するように、自らの想いを口にする。
美奈子の告白に、
「はぁ……ウチの後輩も困ったモノね……」
鳳花がため息をつきながら、言葉を発すると、後輩思いの吹奏楽部副部長は、
「ねぇ、鳳花。黒田くんは、自分のことを『非モテ男子』だと思ってるみたいだし、周りも、そんな風に評価してるみたいだけど……」
と、言葉をにごすように疑問形で問いかけた。
その意図をくんだ広報部の部長は、落ち着いた口調で返答する。
「えぇ、黄瀬くんたちからの報告その他で、私が把握しているだけでも、黒田くんは、小・中・高と、それぞれの時期に、異性から好意を寄せられていることは間違いなさそうね。こういうの、なんと言うんだったかしら?」
「フ《・》ラ《・》グ《・》、ね……そのお相手が、白草さん、佐倉さん、そして、ウチの紅野か……女子からすれば、厄介な相手だし、男子からすれば、呪い殺したくなるような存在なんじゃない?」
あきれたような、あるいは観念したような口調で語る美奈子に、鳳花も微苦笑を浮かべながら、無言で同意した。
「でも、そんな状態なのに、どうして、本人には自覚がないんだろう? なに? ラブコメ漫画の主人公にでもなったつもり?」
続けて、独り言のように言葉を発する生徒会長に対して、副会長は、部活動の後輩をかばうように解説する。
「さすがは、鳳花! お見通しか……そう! 実は、ここだけの話しなんだけど……」
広報部の責任者の問いかけに、即答した吹奏楽部の副部長は、声を潜めて耳打ちするようにささやく。
「二人切りになったときに、ウチの後輩ちゃんに話しを聞かせてもらったばかりなんだよね……」
美奈子の言葉に興味をひかれたのか、ピクリと眉が動き、反応した鳳花は、
「詳しく話してくれる?」
と、思わせぶりな話し相手に続きをうながす。
普段は冷静な生徒会副会長の関心をひくことができた、と確信した生徒会長は、思惑通りにことが運んだことに満足するような表情を見せながら、言葉を続けた。
「黒田くんたちが、私たちのクラブ紹介のために撮影に来てくれたじゃない? あの時の落ち着いた仕事ぶりを見て、我が部の次期幹部候補に聞いてみたのよ。『なかなか頼りになる
男子じゃない? 今年も一緒にクラス委員をやってるんだっけ?』って……」
美奈子の言葉に、鳳花は軽くうなずいて、関心を示す。
「そうしたらね、いつもは、あまり私たち上級生に、自分のことを話さないあのコが、嬉しそうに『そうなんです! 黒田くん、私が部活と委員長の仕事の両立に悩んでいたら、相談に乗ってくれて、大変なときは、自分が仕事を引き受けるよ、って言ってくれたんです!』なんて、話すのよ。アレは、家族やペットみたいに大切な存在や、自分が大事にしている持ち物を誉められた時の反応ね」
「なるほど、それで……」
鳳花が相づちを打つように言葉を発すると、一方の美奈子は、「でもね~」と、つぶやいて、少しだけ表情を曇らせる。
そのようすに、鳳花が不思議に、やや怪訝な顔色を浮かべると、困ったように苦笑する表情で美奈子は語った。
「その後ね、あのコは、こう言ったのよ……『寿先輩、ちょっと、相談に乗ってもらって良いですか?』『先輩も知ってるかも知れませんが……私、春休みに黒田くんから告白された時に、すごく驚いて、とっさに断ってしまったんです』『でも……また元通りに仲良くしたいな、って思っていて……それに、最近の彼を見てると、なんだか素敵だな、って思うことがあって』『先輩、私、どうすれば良いでしょうか?』なんてね……」
友人にして、生徒会の同僚でもある彼女からの打ち明け話しに、鳳花が、
「あらあら、それはそれは……」
と、返答すると、美奈子も友人の言葉に同意し、苦笑いの度合いを深めながら、「ホント、『あらあら、これはこれは……』だよ……」と、つぶやく。
さらに、
「そんな訳で、先輩の私としては、黒田くんが撮影に来てくれた時に、イジり過ぎちゃったな、と猛省しているところなのです。あのコ、恋愛には興味を持たないタイプだと思っていたからね~。まさか、あそこまで思い入れているとは……」
と、まるで懺悔するように、自らの想いを口にする。
美奈子の告白に、
「はぁ……ウチの後輩も困ったモノね……」
鳳花がため息をつきながら、言葉を発すると、後輩思いの吹奏楽部副部長は、
「ねぇ、鳳花。黒田くんは、自分のことを『非モテ男子』だと思ってるみたいだし、周りも、そんな風に評価してるみたいだけど……」
と、言葉をにごすように疑問形で問いかけた。
その意図をくんだ広報部の部長は、落ち着いた口調で返答する。
「えぇ、黄瀬くんたちからの報告その他で、私が把握しているだけでも、黒田くんは、小・中・高と、それぞれの時期に、異性から好意を寄せられていることは間違いなさそうね。こういうの、なんと言うんだったかしら?」
「フ《・》ラ《・》グ《・》、ね……そのお相手が、白草さん、佐倉さん、そして、ウチの紅野か……女子からすれば、厄介な相手だし、男子からすれば、呪い殺したくなるような存在なんじゃない?」
あきれたような、あるいは観念したような口調で語る美奈子に、鳳花も微苦笑を浮かべながら、無言で同意した。
「でも、そんな状態なのに、どうして、本人には自覚がないんだろう? なに? ラブコメ漫画の主人公にでもなったつもり?」
続けて、独り言のように言葉を発する生徒会長に対して、副会長は、部活動の後輩をかばうように解説する。
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