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第2幕・Respect(リスペクト)の章〜⑩〜
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5月25日(木)
タイガースの快進撃は、翌週も続く。
本拠地のカープ三連戦の初戦こそ、乱打戦の末に敗れて連勝が7で止まったものの、翌日からの連勝で3カード連続の勝ち越し。
さらに、神宮球場に乗り込んだスワローズ戦でも、土壇場9回表の逆転劇、延長10回の決着など、劇的な勝ち方で三連勝を飾り、チームの勢いは、衰える気配を見せなかった。
チームの好調ぶりで気分が良くなると、どうしても、タイガース関連のコンテンツに触れる時間が多くなってしまう。
この日の試合が終わったあと、僕は、第7代阪神OB会長のYoutubeチャンネル『川藤部屋』を視聴していた。
数日前に更新された最新の動画は、『阪神昔ばなし伝承編』というタイトルで、21世紀のレジェンド・藤川球児がゲストとして招かれ、『甲子園歴史館』で歴代の選手を振り返るというモノだった。
この企画は、藤川本人が入団当時に目標の選手として名前を挙げた伝説の大投手・村山実をはじめ、過去の名選手・監督のエピソードについて、このチャンネルの主宰者である川藤幸三が語るという内容で、今シーズンの阪神タイガースのスローガンである、『A.R.E』
・Aim(エイム)= 明確な目標に向かって
・Respect(リスペクト)= 野球というスポーツや諸先輩方に対して敬いの気持ち
・Empoerment(エンパワーメント) = 個々がさらにパワーアップ
のRespect(リスペクト)の項目にピッタリ当てはまるモノなのではないかと思う。
「諸先輩方に対して敬いの気持ち」というと、いかにもタテ社会の体育会系の匂いが漂うが、いまやチームの伝統的なストロングポイントになっている強力な中継ぎ陣を育てた二軍の投手育成や、即戦力として活躍する野手を獲得するスカウンティングには、タイガースの選手だった人たちが多く関わっている。
チームにとって、そうした好循環のサイクルが機能していることを考えると
「若い選手やファンにも、阪神タイガースという球団の伝統や、かつての名選手を知ってほしい」
という企画意図は、僕のような20代のファンにとっては、とても興味深く感じるものだ。
一年前に増設された甲子園歴史館の「PLUSエリア」と名付けられた場所は、まだ訪れることができていないのだが、『川藤部屋』の情感たっぷりの語り口を見ていると、すぐにでも歴史館でレジェンドたちの勇姿を確認したいという想いに駆られる。
(昭和中期からの歴代の監督についての語り口はバツグンに面白く、人生訓になる部分も多いので、甲子園歴史館には、ぜひ川藤氏による音声ガイドのサービス提供を実現していただきたい)
そんなことを考えながら、僕は、この『川藤部屋』の運営に関わる、もう一人の人物のことが気になっていた。
※
その選手の名前を意識したのは、金本監督一年目のオープン戦のことだ。
新監督の方針で、入団一年目の髙山俊とともに、連日スターティング・メンバーとして起用されたその選手は、9試合連続ヒットを記録するなどの活躍が認められ、レギュラーシーズンの開幕戦にもスタメンとして名を連ねる。
2016年の開幕戦オーダー
1番 左翼 高山
2番 中堅 横田
3番 三塁 ヘイグ
4番 右翼 福留
5番 一塁 ゴメス
6番 遊撃 鳥谷
7番 二塁 西岡
8番 捕手 岡崎
9番 投手 メッセンジャー
真弓監督と和田監督の時代も続けて優勝争いをするだけの戦力は整ってはいたものの、育成よりもフリーエージェント制度や外国人選手の補強に頼ってきたため、選手の高齢化によって、例年、夏場以降の失速が顕著になっていたチームの再建を託され、『超変革』をスローガンに掲げた金本監督の期待が、このオーダーの1番打者・2番打者に現れている。
ちょうど、この年から若手野手の台頭が顕著だった広島カープがチカラをつけ始め、リーグ三連覇を達成したこともあり、
「やっぱり、自前で選手を獲得して、育成しないとチームはつよくならないよな~」
と、感じていたことを覚えている。
金本監督と同様に、僕は、俊足強肩の上に、2番打者でありながら長打も期待できる横田慎太郎という選手を注目していた。
結局、一軍に挑戦したこの年は、出塁を意識したためか、バッティングの調子を崩し、本来の長打力を発揮できないまま、再び二軍で能力を磨くことになったが、そのスケールの大きさは、野手が育ちにくい傾向にあった当時のタイガースにとって、希望の星のように感じられたのだ。
翌年以降の出来事は、書籍として発売され、テレビドラマやドキュメンタリー番組の題材にもなったので、知っているファンも多いと思うし、個人的には彼の闘病中のこととして語られる球団や関係者とのエピソードに触れるたびに、
「このチームのファンで良かった……」
という想いを強くした。
その書籍やドラマでは、ほとんど触れられていないが、横田慎太郎は、この『川藤部屋』にプロデューサーとして番組制作に関わり、頻繁に動画にも出演している。
この動画チャンネルの存在を知ったとき、
「えっ!? あの川藤さんが、ユーチューバーになるの? マジで!?」
と、声をあげてしまったのは、きっと僕だけじゃないだろう。
「いったい、どんな内容になるんや……」
という僕個人の心配をよそに、『浪速の春団治』(注1)と呼ばれた7代目OB会長が、週一回のペースで『川藤部屋』に出演しているのは、孫ほど年齢の離れた共演者である横田プロデューサーの生真面目で、年長者に可愛がられる人柄によるところが大きいのではないか、と感じている。
その横田プロデューサーの動画への出演機会が、ここ一年ほど見られていない。
僕は、そのことを寂しく思っていた。
◎5月25日終了時点の阪神タイガースの成績
勝敗:28勝14敗 1引き分け 貯金14
順位:首位(2位と4ゲーム差)
注釈)
注1:この呼び名の元ネタである初代・桂春団治も、大阪出身なのだが……。
なぜ、川藤氏が『浪速の春団治』と呼ばれているのかは不明である。
タイガースの快進撃は、翌週も続く。
本拠地のカープ三連戦の初戦こそ、乱打戦の末に敗れて連勝が7で止まったものの、翌日からの連勝で3カード連続の勝ち越し。
さらに、神宮球場に乗り込んだスワローズ戦でも、土壇場9回表の逆転劇、延長10回の決着など、劇的な勝ち方で三連勝を飾り、チームの勢いは、衰える気配を見せなかった。
チームの好調ぶりで気分が良くなると、どうしても、タイガース関連のコンテンツに触れる時間が多くなってしまう。
この日の試合が終わったあと、僕は、第7代阪神OB会長のYoutubeチャンネル『川藤部屋』を視聴していた。
数日前に更新された最新の動画は、『阪神昔ばなし伝承編』というタイトルで、21世紀のレジェンド・藤川球児がゲストとして招かれ、『甲子園歴史館』で歴代の選手を振り返るというモノだった。
この企画は、藤川本人が入団当時に目標の選手として名前を挙げた伝説の大投手・村山実をはじめ、過去の名選手・監督のエピソードについて、このチャンネルの主宰者である川藤幸三が語るという内容で、今シーズンの阪神タイガースのスローガンである、『A.R.E』
・Aim(エイム)= 明確な目標に向かって
・Respect(リスペクト)= 野球というスポーツや諸先輩方に対して敬いの気持ち
・Empoerment(エンパワーメント) = 個々がさらにパワーアップ
のRespect(リスペクト)の項目にピッタリ当てはまるモノなのではないかと思う。
「諸先輩方に対して敬いの気持ち」というと、いかにもタテ社会の体育会系の匂いが漂うが、いまやチームの伝統的なストロングポイントになっている強力な中継ぎ陣を育てた二軍の投手育成や、即戦力として活躍する野手を獲得するスカウンティングには、タイガースの選手だった人たちが多く関わっている。
チームにとって、そうした好循環のサイクルが機能していることを考えると
「若い選手やファンにも、阪神タイガースという球団の伝統や、かつての名選手を知ってほしい」
という企画意図は、僕のような20代のファンにとっては、とても興味深く感じるものだ。
一年前に増設された甲子園歴史館の「PLUSエリア」と名付けられた場所は、まだ訪れることができていないのだが、『川藤部屋』の情感たっぷりの語り口を見ていると、すぐにでも歴史館でレジェンドたちの勇姿を確認したいという想いに駆られる。
(昭和中期からの歴代の監督についての語り口はバツグンに面白く、人生訓になる部分も多いので、甲子園歴史館には、ぜひ川藤氏による音声ガイドのサービス提供を実現していただきたい)
そんなことを考えながら、僕は、この『川藤部屋』の運営に関わる、もう一人の人物のことが気になっていた。
※
その選手の名前を意識したのは、金本監督一年目のオープン戦のことだ。
新監督の方針で、入団一年目の髙山俊とともに、連日スターティング・メンバーとして起用されたその選手は、9試合連続ヒットを記録するなどの活躍が認められ、レギュラーシーズンの開幕戦にもスタメンとして名を連ねる。
2016年の開幕戦オーダー
1番 左翼 高山
2番 中堅 横田
3番 三塁 ヘイグ
4番 右翼 福留
5番 一塁 ゴメス
6番 遊撃 鳥谷
7番 二塁 西岡
8番 捕手 岡崎
9番 投手 メッセンジャー
真弓監督と和田監督の時代も続けて優勝争いをするだけの戦力は整ってはいたものの、育成よりもフリーエージェント制度や外国人選手の補強に頼ってきたため、選手の高齢化によって、例年、夏場以降の失速が顕著になっていたチームの再建を託され、『超変革』をスローガンに掲げた金本監督の期待が、このオーダーの1番打者・2番打者に現れている。
ちょうど、この年から若手野手の台頭が顕著だった広島カープがチカラをつけ始め、リーグ三連覇を達成したこともあり、
「やっぱり、自前で選手を獲得して、育成しないとチームはつよくならないよな~」
と、感じていたことを覚えている。
金本監督と同様に、僕は、俊足強肩の上に、2番打者でありながら長打も期待できる横田慎太郎という選手を注目していた。
結局、一軍に挑戦したこの年は、出塁を意識したためか、バッティングの調子を崩し、本来の長打力を発揮できないまま、再び二軍で能力を磨くことになったが、そのスケールの大きさは、野手が育ちにくい傾向にあった当時のタイガースにとって、希望の星のように感じられたのだ。
翌年以降の出来事は、書籍として発売され、テレビドラマやドキュメンタリー番組の題材にもなったので、知っているファンも多いと思うし、個人的には彼の闘病中のこととして語られる球団や関係者とのエピソードに触れるたびに、
「このチームのファンで良かった……」
という想いを強くした。
その書籍やドラマでは、ほとんど触れられていないが、横田慎太郎は、この『川藤部屋』にプロデューサーとして番組制作に関わり、頻繁に動画にも出演している。
この動画チャンネルの存在を知ったとき、
「えっ!? あの川藤さんが、ユーチューバーになるの? マジで!?」
と、声をあげてしまったのは、きっと僕だけじゃないだろう。
「いったい、どんな内容になるんや……」
という僕個人の心配をよそに、『浪速の春団治』(注1)と呼ばれた7代目OB会長が、週一回のペースで『川藤部屋』に出演しているのは、孫ほど年齢の離れた共演者である横田プロデューサーの生真面目で、年長者に可愛がられる人柄によるところが大きいのではないか、と感じている。
その横田プロデューサーの動画への出演機会が、ここ一年ほど見られていない。
僕は、そのことを寂しく思っていた。
◎5月25日終了時点の阪神タイガースの成績
勝敗:28勝14敗 1引き分け 貯金14
順位:首位(2位と4ゲーム差)
注釈)
注1:この呼び名の元ネタである初代・桂春団治も、大阪出身なのだが……。
なぜ、川藤氏が『浪速の春団治』と呼ばれているのかは不明である。
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