水族館cafe

1.面接

4.

真ん中に大きなイルカをモチーフに静かに流れ出る
水の噴水があり、海洋生物をモチーフにした机や
テーブルがあちこちにある。
そしてその周り、ドーナツ型の大きな水槽内で
魚達が気持ち良さそうに泳いでいる。
少し薄暗いものの噴水の水の音と水槽からの
揺らめく光で落ち着く空間になっていた。

「ここがメインホールよ、
　奏海くんには基本的にここでオーダーを取って
　もらうのが仕事になるわ」
海咲さんは振り返り、優しく微笑みながら仕事の
説明をしていく。急いでズボンポケットからメモ帳とペンを取り出し相槌を打ちながら書き連ねていく。

「あら、メモ帳持ってきてるなんて素敵ね」
見直したわと言わんばかり褒められ少し嬉しく
なる。

「じゃあ今日はメニューを覚えてもらって
　プレ客が来たらオーダーを取ってもらうわ」
「早速！？」
海咲の言葉に目を丸くし勢い良く返せばクスクスと笑われた。

「プレだから大丈夫よ、わからないことがあったら
　ベルで呼んでちょうだい」
さりげなく見惚れる程しなやかにイスへ座る様
誘導され気づけば薄暗い店内のどこかへ海咲は
消えていった。
海咲の後ろ姿を目で追っていたが我に返り、
メニューをメモ帳に必死に写しながらぶつくさと
商品名を唱え始める。