家出王女と追放騎士

佐ノ宮

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     番外編

あの日以来

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        第十四章
       城からの脱出
 俺は、シェリアの推薦?により夫となり、国王となったが、夫になるとは言ってないぞ!
しかも一方的に決められて、俺の気持ちはどうでもいいのか!と怒鳴りたくなったが、出来なかった。なぜなら、
「ウィル様!ここはこうして下さい!これも違います!いい加減覚えて下さい。国王になって三日目ですよ?」
「こんな量の仕事を、二日三日で覚えられるか!あのな、俺はもともと護衛が仕事だったんだ。だからこんな仕事は初めてなんだよ!」
こんな感じに、いつも仕事をやらされ、全然楽しくの無い日々を送っていた。
 そういえば、レイナとメリアは大丈夫かな?
 なんかシェリアが様子を見に行ってるとか言ってたけど、俺がどうだったか聞いても答えてくれないし。
仕方ない。
俺が行くか!今日の夜に部屋から脱出して、俺の家に行ってみよう。
うん。そうしよう。
「ウィル様!ぼーっとしてないで仕事をして下さい!まだ沢山あるんですからね!」
「あーもう!分かってるよ!」
決行はするが、仕事を終わらせてからにしよう。
       十七時間後
「やっと終わった!なぁ、もう仕事無いよな!」
「はい。これでおしまいです。お疲れ様でしたウィル様」
あーあ、結局夜になっちまった。時間はまだあるから準備を整えておこう。
「今日は月が綺麗だ。それじゃ、城とは当分おさらばってことで!」
そういえば、脱出には成功したが、後で面倒な事にならないだろうか。
どうでもいいや!シェリアがいるだろうし。
久しぶりにレイナ達に会える!元気にしてるかな?
この森を通るのも、久しぶりだ。ここでシェリアと会ったんだよな。
        第十四章
        家に着くと
 そろそろつく頃だな。怒られないかな?レイナ達を家に置いてきたからな。まぁ、怒られるのは仕方ない事だからしっかり受け止めよう。
「レイナ!メリア!いるか!寝てるのか?」
「ウィルさん?本当にウィルさんなんですか?」
 そこに立っていたのは、レイナだった。少し嬉しそうな顔もしていたが、不安な顔もしていた。
「悪いなレイナ。ずっと家を任せたままで。でも、また一緒に暮らせるから」
「ですがウィルさん。国王になったのでは?城にいなくてよろしいので?」
「ああ、その事なら大丈夫じゃないけどいいんだ。書き置きもしてきたから」
 だがいずれ、軍の奴らが家に来るだろう。シェリアの時みたいに。
でも今回は違う。
前はシェリアだったが、今回は俺だから別にどうってことないはず……。大丈夫だと思う。
言い訳になるが、国王になってから剣を使ってないから鈍ってるかもしれない。
そうなってない事を祈ろう。
「ウィルさん?」
「何でもない。ただいまレイナ」
「おかえりなさい、ウィルさん!」
そう、俺には守るべきものがある。国もそうだが、レイナ達も守るべきものだ。
「夜遅くに起こして悪かったな。もう寝たらどうだ?」
「じゃあ、今夜だけ一緒に寝てもいいですか?」
「いいよ。部屋に行こうか?」
「はい!」
また、あの頃の生活が出来る。そう思うと涙が出てくる。もう二度と、二人を置いてはいかない。俺はこの夜にそう決めた。
シェリアの方は大丈夫か?変な事言って話をややこしくしないでくれよ!後で処理が大変だから。
        第十六章
        早い到着
 俺が、城を抜けだして次の日に軍がやって来た。
「お早い到着ですね。軍隊長さん?」
「からかうんじゃない!いや、からかわないで下さい国王様」
「暇だから、勝負しようぜ!俺が負けたら大人しく城へ帰る。俺が勝ったらここにいる、それでいいな始めるぞ!」
「まだ了承してませんよ!」
奇襲をかけても攻撃をかわせるか。また腕を上げたな。兵士達もなんとか対応出来てるみたいだし。
少し甘く見過ぎていたかな。
「エビル隊長、強くなりましたね!前とは段違いだ」
「そりゃこの前負けたんですから。強くなる為に稽古をもっと厳しくしましたよ!兵士達もね」
なるほど。
だから強くなっていたのか。だが、
「本当にそれでいいのか?兵士達の事をお前は考えたか?」
強くなれればそれでいいわけじゃない。
心と体が強くなるから、人は強くなったと言える。
「お前のやり方は少し違う。もう一度考えてみろ!」
流れる風臥、生きる雷……。風雷覇!
あー、ヤバイ。今は防御に専念した方がいいな。
「我が作る障壁は、通るもの全てを凍てつかせる。絶帯氷壁!」
「なんで止めるのよ!」
「止めてなきゃ死ぬわ!俺を殺す気か!シェリア」
「だって、ウィルが城から逃げ出すんだもん」
これは、マズイな。
流れが変わる。
さっきまでこっちが優勢だったが、シェリアが来たから向こうが優勢になっちまった。
それはそれで面白そうだな。そういえば、シェリアと戦ったこと無かったな。こりゃチャンスだ!
シェリアがどんだけ強いか分かる!
        第十七章
       初めての対戦
 さて、どう出る?シェリアが魔法を使い先制攻撃をするか、それとも時間稼ぎか。まぁ、どっちでも構わないが。
「生きる雷、灰となれ炎上……。炎雷覇!と、流れる風臥、生きる雷……。風雷覇!」
おいおい!一気に二つも使うのかよ!それなら、
「我が作る障壁は、通るもの全てを凍てつかせる。絶帯氷壁!」
「これでどうだ!シェリア!」
「さすがと言っとくわ。でも甘い!」
そうか、シェリアが時間稼ぎをしていたわけか。
やるじゃないか。こっちも、少し本気にならないと殺られるな。
「覚悟しろ、ウィル!」
「来いよ。エビル隊長!」
エビル達との交戦は一時間続いたが、決着はあっさりついた。そう思いもよらない事で。
「そろそろ、決着をつけようか?シェリア」
「どの口が言うの?あなたの負けよウィル!」
「言ってろ。我の放つ斬撃は、華のごとく散ってゆく。氷華一閃!」
「何なの?こんな技見たことがない!」
「そりゃそうさ。今初めて使ったんだから」
パチンッ。俺が指を鳴らすと、技が消えてシェリア達は腰を抜かして、地面に座っていた。
「氷華一閃は、広範囲に攻撃が出来る技だ。だが使うのに時間がかかる」
「そんな技を隠し持っていたのね。私達の負けよ」
「じゃあ、俺は当分ここに残るから!」
「なにそれ?聞いてないんだけど……」
「理由は、軍隊長様に聞いてくれ!」
そう言って、俺は家に戻った。自分の部屋から外を見るとエビルとシェリアが何かもめているのが見えた。
大体予想はつく。エビルが俺との勝負を受けて、そして負けた。だからこの事でもめているんだろう。
久しぶりに戦えたから結構楽しめたかな?シェリアの実力も分かったし。
でも、いずれは城に戻らないといけなくなる。けどレイナ達は置いてはいけない。どうしたらいいんだ?
        第十八章
      ちょっとした提案
 うーん。城に戻るとまた仕事の山でこっちに戻って来られなくなる。それはレイナ達に悪い。ならやっぱりあれしかないか……
「レイナ、ちょっといいか?」
「なんですか?ウィルさん」
「また城に戻ろうと思う。そこでだ、レイナ達も一緒に来てもらおうと思うんだが」
「ご一緒してもいいのですか?と言いたいところですけど、今回は遠慮しておきます」
「なんでだ?またこっちに戻って来るのはいつになるか分からないんだぞ?」
「だからこそです。ウィルさんにも、戻ってこれる場所があるという事を知っておいて欲しいからです」
そういう事か。だけど本当にいつ戻って来られるか分からない。それでも待っていてくれると言うなら……
けどやっぱり置いてはいけない!
また、二人に辛い思いをさせてしまう。
「考えは、変わらないのか?」
「はい。またいつでも戻ってこれる用にここで待ってますから!」
次の日の朝、俺はレイナ達に一言お礼と約束を言って城に向かった。シェリアに連絡をしていなかったので、もちろん歩いて帰ることになっていた。
「ウィル!あんたね、勝てる事分かっててあの勝負をやったんでしょう!」
いきなりシェリアが突っかかってきた。
「そりゃな。あと軍がどれだけ強くなったかも知りたかったのもあるな」
正直、シェリアが乱入してきたのは計算違いだが。
「まぁ、帰って来たんだから良いだろ?」
「良くないわよ!あんた、タイミング悪い時に帰ってくるわね」
どういうことだ?何か悪い事でもやったのか俺は。
確かに城を抜け出してきたがちゃんと帰ってきたのに。
「どういう意味だ?シェリア」
「隣の国の王子に結婚を申し込まれたの。でも、私はもうウィルと結婚してるでしょ?だからその事を話したら」
話は大体読めた。
大方、そのバカ王子がシェリアを賭けて勝負を申し込んできたんだろう。
「で、勝負はいつなんだ?」
「明日よ」
ああ、なるほど。
だからシェリアはタイミング悪い時に帰ってきたって言ったのか。納得。
「面白いじゃねぇか!相手になってやる!」
でも、隣の国の王子って誰?
強かったらいいんだけどな。決着が早く着くのも面白くないし。
        第十九章
     思ってもいないハプニング
 やっと夜になった。明日が決闘の日だと思うとウズウズして眠れない。早く明日にならないかな!
こんな事を思っている場合じゃなかった。俺は後悔していたんだ。
ガシャン!
なんだ?ガラスが割れるような音がしたな。ちょっと見てくるか。
「どうかしたのか?」
「ウィル様!それが……」
「何!レイナが攫われた?まさか…あのレイナだぞ!そんなヘマしないだろ!」
いや、もし明日の決闘の事を心配して、俺の部屋に来る途中で攫われたのなら、説明がつく。でもなんの為に?
隣の国の王子が仕掛けてきたのなら、明日の決闘に勝てたとしても求婚は無理だろう。攫ってまでシェリアが欲しいのか?なんか嫌な奴だな。
ふと、割れた窓を見るとエビルの姿が見えたので飛び降りて話を聞きに行った。
「おいエビル!ここで何があった?」
「ウィル様!それが見回りををしていたら後ろから襲われてしまって…」
ウィル様?俺は周りに俺達以外の人間がいる時はウィル様で呼んでもらってるが、二人にだけの時は呼び捨てでいいと言ったはずなんだが?
ちょっと質問してみよう。
「なぁエビル。お前、俺が軍隊長の時に俺はお前の事をなんて呼んでたか覚えてるか?」
「普通にエビルですよね?」
間違いない。こいつは偽物だな。
「エビル、そこを動くなよ。氷牙亞!」
「何をするんですか!ウィル様」
「いい加減、その下手な芝居をやめたらどうだ?隣の国の変装の達人、オルビア・エルリック」
「いつから、分かってた?」
「初めから分かってたよ。お前が俺の事をウィル様って呼んだ時点で」
そう。こいつが俺の事をウィル様と呼んだ時点で分かっていたが、確証が無かった。
もし、こいつが本物だったら大変な事になるからな。
だから質問をした。
「シェリアをどこにやった?案内して貰うぞ!」
「分かったよ。お前、本気か?」
どういう意味だ?本気って事は、決闘の事か?
「本気だが?」
「ならいい。とりあえず、この氷をどうにかしてくれ」
俺は、凍っていたというか凍らせた足の氷を溶かして、腕に手錠をつけて案内させた。
「ここでいいのか?」
「ああ、ここで合ってるはずだ」
にしても、なんで古びた工場なんだ?草原でも良かったろうに。
「シェリアーー!いるかーー?」
「ウィル!来ちゃダメ!」
危なかった。あと少しで矢に脳天ぶち抜かれてたな。
        第二十章
        最後の戦い
 不意打ちを受けそうになるなんて、俺も腕が落ちたかな?ま、いいけど。
「シェリアを攫った理由はなんだ?隣の国の王子さんよ!」
「分かってましたか。さすがは元軍隊長とでも言っておきましょう。申し遅れました、私の名はハーデリアと申します」
「名前を聞いてるんじゃない!何故シェリアを攫ったか聞いてるんだ!」
なんかこいつ、俺が一番嫌いなタイプだ。
昔俺が軍隊長だった時に、どっかの国の王子の護衛に行った時もこんな感じだったな。あの時も凄いムカついた。
「攫った理由ですか。明日の決闘が待ちきれなかったからですね。早くあなたを倒して、シェリアさんを私の妻にしたかったので」
「じゃあ今やるか?俺も早くお前をぶっ飛ばしたくなった」
「いいでしょう。では決着は、相手が戦闘出来なくなる又は降参するでよろしいですか?」
「ああ、それでいい」
「なら、スタートです!」
あいつの武器は、弓か。
向こうが遠距離が得意ならこっちは近距離だ!
「氷牙亞!これで動けなくなるぞ」
今のを避けるか。これは楽しめそうだな!
「矢太刀!そうそう、この矢には気を付けて下さい。この矢には麻痺性の毒が塗ってあるので」
麻痺性か。
うーん、本当は使いたくないんだが使うしかないかな?でもシェリアがいるし。悩んでても仕方ない、使うか!
「なぜ、刀を二本使えるのですか?あなたは一刀流でしょう?」
「俺は元々、二刀流だ!」
俺がまだ軍隊長だった頃、訓練などで二本刀を使っていたが、兵士達の訓練にならなかったので一本しか使わなくなった。それから、氷剣のウィルは一刀流という事になった。
「すぐに終わらしてやる。氷牙亞!からの氷華十文字!」
「な、私が負けるなんて」
「ほら、帰るぞシェリア!」
「待って!ウィル後ろ!まだ決着はついてない!」
そんなバカな。確かに止めは差してないが動けないはずだぞ!
「甘くみていました。あなたがここまでとは、もし防具を付けていなかったら危なかったです」
ちっ。防具を付けていたのか、なら次で終わらせる!
「我の作り出す円陣は、二度と太陽を見ることは出来ない。氷圜吹雪!」
これでどうだ?
「甘いですね。これで私がやられるとでも?」
まだダメか!
「それから一つ言い忘れてました。私も二刀流使いです!」
キィーン!金属の音が響き渡って、少し火花が散っていた。
これは、早く決着をつけないとマズイな。おそらくあいつもそうだ。今度は決める!
「行くぜ、奥義氷剣双乱!」
「こちらも、奥義百華連撃!」
「おぉーーー!」
「はぁーーー!」
決着は奥義のぶつかり合いで時間はかからなかった。
「はぁはぁ、俺の勝ちだ!」
「参りました。さすがは氷剣のウィルですね」
「お前もなかなかだったよ。楽しかった」
「それは良かったです」
はっきり言って、危なかった。あの乱撃を受けながら攻撃するのは正直、ギリギリだった。もし、あのまま攻撃を受けるだけだったら俺が負けていただろう。
「ほら、帰るぞシェリア!」
「お疲れ様。ウィル血が沢山出てる!早く手当てしないと!」
「手当ては、帰ってからでもできるだろ?だから早く帰るぞ」
「分かった。でも帰ったら絶対に手当てを受けてよ!」
「受けるから、早く帰ろう」
これで、面倒な騒動が終わり城に戻るとシェリアが帰ってきた事を喜び、涙してる奴もいた。
そして俺は手当てを受けて、何日か休んでいた。が、
「ウィル様、今日からまた仕事をしてもらいますよ、っていない!」
「ウィルがいない?またあの家ね。いいわ私が行ってくる」
一方その頃、城が大騒ぎしている時に俺はレイナ達がいる家に逃げ込んでいた。
「あのウィルさん?城にいなくてもいいんですか?」
「ああ、少し休暇をもらってるから。って今回は早いな。」
「ウィル!早く出て来なさい!」
こんな感じで俺は暮らしている。追放騎士から国王になってからの日常が。
                        完

えっと、すいません!今回は短くなってしまいました。
この話は終わりますが、次は違う話を書くつもりなのでできたらそちらも読んでくれると喜ばしい限りです!
(ついでに感想も送ってくれるともっと喜ばしいです)
今回はこれで終わりです!読んでくれてありがとうございました!
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