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第1章
良い子は真似しちゃいけません
しおりを挟む喧嘩を買ったらなんだか大ごとになりました。
フェリル様の部屋から庭の反対側へ移動するとそこにはリングのような場所がありそこへ案内された。
移動している間になぜか話が漏れていたようでギャラリーが沢山きた。
リングへあがるとジェインと呼ばれた男が剣を私の足元へ投げてきた。
「うちの訓練兵が使う剣だ。ハンデとして俺もこの剣を使ってやる。
今ならまだ引き返せるぞ。その剣を拾わずにここから降りろ。」
「まさか。」
足元の剣を拾って構える。
「...そうか。
ならば、騎士団ジェイン。参る。」
構えた途端、彼の纏う空気がガラッと変わった。
世界が変わっても剣を交える時の、この緊張感は変わらないらしい。
......ちょっとまってカッコつけたけどこれ真剣じゃね?竹刀とかねーの?超重いやばい腕がビッキビキいう!
息を深く吸い込み構えた彼へ聞こえるように大声で恥ずかしながら頼む。
「すんません!!素振りさせてください!!!」
数秒の沈黙の後、ぉ、おう...と了承してくれたがだいぶイタイ空気になった。
そんなことは気にしないようにして剣の重さに慣れるように集中して剣を振る。
重くていつも通り、とは行かないが振れないわけじゃない。よし、いける。
「お待たせしました。」
「...名乗って構えな。それが手合わせのルールだ。」
「秋月唯。どっからでもどうぞ。」
「怪我する前に終わらせてやる。」
じり、と距離を詰められる。
構えなどは大体一緒...刀身は竹刀とほぼ同じ。ジェインさんは身長180は超えてるだろうし筋肉ムッキムキだから体格では完全に負けてる。
ただ動き遅そうだから速さで勝負かな。
...ただ、隙がない。
えらっそうなだけはあるのかな。
「唯!」
フェリル様の心配そうな声と彼の踏み込みが重なる。
あぁ、よかった。
視える。
ガキィン、と金属がぶつかる音がして、自分の心臓の音もドキドキと煩くなった。
どうしたら勝ちなのかがわからなくて面打ったら真剣だからだめだし胴も入ったとしても勝ちになるのかわからなかったので、振り下ろされた剣を受け流して彼の首元へ剣を振った。重かったのでかなりギリギリになったが寸止めできた。
人を殺すつもりはなかったが、命のかかった勝負だなんてしたことがなかったから本当にドキドキしてとりあえずトイレ行きたくなった。
私の心臓の音が落ち着かないうちに周りのギャラリーが悲鳴にも似た声があがった。
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