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第1章
どの世界にも安定のバカはいる
しおりを挟む「フェリル!明日のパーティのお返事をまだ頂いてない!今日こそ良きお返事を頂きたい!」
バタン!と荒々しく扉を開けたのは鎧みたいな武装をオサレに着崩した男性だった。
彼が入ってきた瞬間、フェリル様の綺麗な顔がだいぶ歪んで大きなため息をついた。なんだろう嫌いなのかな。
「ジェイン殿...今客人が来ております。あまりにも不躾ではございませんか?それに、そのお話でしたらお断りしたはずです。何十回も。しつこい殿方は嫌われますよ。」
「これは失敬!...ん?」
ジェインと呼ばれた男性は私のことをみると驚いたように目を見開いた。
「客人ではなく迷い人ではないですか?すぐ保護官へ連絡を...」
「しましたわ。こちらへ向かってくれてます。待ってる間私のお話相手になってくださってたのよ。だからお帰りくださいな。」
「そうでしたか!いえ、今日こそ良きお返事を頂かなければ!」
「断ったと申しております。何度も同じことを言わせるだなんて...ジェイン殿は耳がおかしくなってらっしゃるのですか?」
どうやらフェリル様はしつこいナンパにあってるらしい。
だいぶキツいことをいってるが全く効いてない。なんだこの人のメンタル鉄か?
完全な部外者が口を出すのもどうかとは思ったが、拾ってもらった恩があるので少し口を出す。
立ち上がって彼とフェリル様の間に立ちふさがった。
「あの、失礼ですが女性に執拗に付きまとうのは男として最低だと思います。困っておられますのでやめてあげてくださいませんか。」
「...今度の迷い人は随分と勇敢な方がいらしたようだ。」
「唯、いいのですよ!相手にしてはいけません!」
私が口を出すと彼は機嫌が急降下したのか腰にある剣に手をかけた。え、ちょっと短気すぎね?たしかに私もちょっと強めにいっちゃったけどさ。
フェリル様は慌てて私を止めてくれたけどここで引き下がったら女が廃る。
「一つ、教えてやろう。この世界は実力主義でな。意見が割れたりすると剣で決める。」
「へー」
「この俺に意見しようと言うのなら、剣で示してみよ。怪我をしたくないのなら引っ込むのだな。」
彼は剣を掴んだ握りこぶしを私へ向けた。
嘲笑がカチンときたのもあるがなによりフェリル様へしつこくしてきたのは許せん。私は美人の味方だ。
「では私が勝ったらフェリル様へしつこくするのはおやめくださるということですね。お受け致します。」
「お、おやめなさい!彼は頭は馬鹿ですが腕はありますのよ!」
そこにいたフェリル様やメイドさん達、ふっかけてきたジェインとやらも驚いた顔をして慌てだした。
フェリル様は慌てすぎてて本音がダダ漏れで愛おしかった。
「さぁ、皆さんに迷惑のかからない場所、案内していただけますか?」
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