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第2章
現実という厳しい世界
しおりを挟む不思議な異世界体験をしてから一週間がたった。
私は真っ暗闇の中、気がついたら井戸の下でランドセルを持ってしゃがみこんでいた。しばらく放心状態だったけど、私を呼ぶ兄弟たちの声ではっとした。
急いでランドセルを持ってハシゴを登る。結構な時間が経っている。みんな心配してる!
...と、思ったが20分か30分くらいしか経ってなかった。向こうとこっちの時間軸はよくわからんがだいぶ違うらしい。まぁ結果的にはよかったけど。
とりあえず井戸周辺を立ち入り禁止にして兄弟たちに徹底した。
そこからいつも通りの生活に戻った。
「ゆっぴーさ、最近ページめっちゃ多いんすよね!」
「あー、そうかも」
「やっぱ俺とコラボってからすげー人気でちゃった感じっすか!?」
「それはねーわ、自惚れんな近寄んな出てけ」
「ひっど!?」
私の隣でギャンギャンうるせーのは同じ高校生のモデルの高槻涼。
一度一緒に撮影をしただけでやけに絡んでくるちゃらいデルモ(笑)。
撮影とインタビューがあったので行ったら俺も撮影でした!と聞いてもいないのに近寄って来た。だいぶ苦手な部類のチャラ男。
「ねぇねぇ、ゆっぴーさ、彼氏いないんすよね?」
「あーいるいる、信じられないほどいる」
「もー!その超適当な返しやめてくださいよー!なに、お腹すいて機嫌悪いんすか?」
「お前完全に私のことバカにしてんだろ、お腹すいて機嫌悪いってなんなの。高槻くんのせいで機嫌悪いだけなんだけど。」
「なんでそんな俺のこと嫌いなんすか!?」
「高槻君、ファンですって行って来た子のこと、キモいっていったでしょ。」
「え、...だって本当に、」
「私そういうこと言うやつ大嫌いなの。わかったらもう話しかけてこないでね。」
驚いた顔をした高槻くんを放置してお手洗いへ向かう。
あーーーモデルやめたい....
正直私にモデルはむいていない。
モデルの女の子たちは可愛いけどあんまり優しいとはいえないし、いやそれでも可愛いからいいんだけど、お金もいいからいいんだけども...苦手だ。
最近では水着だったりというちょっと際どいものもくる。全て断っているからいいけど。
もう少し生活が安定したらモデルじゃなくて普通のバイトしたいな...
そんな叶わぬ夢を抱きながら深いため息をついた。
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