つまりは女子高生が最強

amama

文字の大きさ
上 下
23 / 86
第3章

見て見ぬ振りをしたほうがいいこともある

しおりを挟む

「水の都、ルーマリエの別荘地の一角ですね。あのドーム状の建物が彼の言っていたローエル家の別荘でしょう。...あの、秋月さん?これは、さすがに、騎士団の到着を待って踏み込むのが妥当だと思うんですが...」


「アイルさんは待っててくださればいいですよ。希美探して悪いことしないほうがいいって言ってくるだけなんで」


「...いえ、それで済むわけが...」


「アイルさん」


売人を脅して人身売買のオークションが行われる場所を特定したが、それはどこぞの貴族の別宅。
これはとんでもない話だ。
調査を依頼してローエル家の誰が首謀者なのか突き止める必要もある。

だが、彼女は1人で殴り込む気だ。

さすがに止めようとしたが..,



「ここにいる全員誰1人逃がしませんし証拠になるものがあれば確保します。わがままを言って申し訳ないのですが、私は自分の妹が捕まってるかもしれないのに大人しくしてられません。

もちろんアイルさんは止めたけれど止められなかった程でいきましょう。」


「...わかりました。御同行します。ですが正直オークションの邪魔をされた輩が大人しくしてるとも思えません。逃げ出す者も多いでしょう。騎士団が到着するまでは私が魔法で閉じ込められますが...詠唱中攻撃されたら死ぬのでお任せしてもよろしいですか?」


「アイルさんは優しいんですね」


貴女が強引なだけでしょう。

余計な一言は飲み込んで、まずどう中へ入るかが問題だ。
入り口は四時の方向と10時の方向に二つ。
どちらも厳重な警備がある。
これを突破できるとは思えない。


「入り口がアレだと入るときに気づかれて逃げられるかもしれないですね。
.....アイルさん。ここ世界で例えば壁とか壊したらどうなりますか」

「...考えたくはないですが、状況によって変わります。もし今壁を破って侵入したとして、本当に中で人身売買があり、未然に防いだならばお咎めなしでしょう。ただ、そうでなかった場合、訴えられますね、ローエル家の方に。」

「信じて破ってみましょう。」

「秋月さん、落ち着いて下さい」

「いたって冷静です」


どう考えても冷静ではない彼女に付き合うのは気が乗らないが止めても無駄だ。
なにか問題になったら彼女をあちらへ返してから名前だけ借りよう。

諦めてため息をしてからちょっと壁ぶち抜いてきます、と走っていった彼女を見送った。

しおりを挟む

処理中です...