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第4章
思春期真っ只中
しおりを挟む「三波が消えた!?だからあいつ1人にするなってあれほど...!」
「俺にアホの面倒は無理です」
「全くお前らはテニスは凄いのに協調性ってものがな!...あー、いい、試合がないやつは三波探すのを手伝ってくれ。秋月の次が三波だからもう時間がない。悪いが頼むぞ」
部長が深いため息をついてアホ探してる。
勝手にいなくなったんだから自己責任でほっときゃいいのに。
名前を呼ばれてコートに入る。
ぐるりと視線を一周させたが姉の姿はなかった。
まだ連絡がなかったから到着してないのかもしれない。撮影が押したりするかもしれないし。
気持ちを切り替えて試合に集中する。
テニスはなんとなく、面白そうだから始めただけだった。それが合ってたのか試合で勝てるようになってきて更に面白くなっていった。
ただ練習だったり人間関係とかもキツイしだるかった。
それでも勝って、報告すると笑顔で頭を撫でてくる姉が好きだったから続けられた。
今日もその報告が出来そうだ。
もう1ゲームとれれば試合は終わる。
ふと相手フェンスの向こう側に姉の姿が見えた。少し顔が緩みかけたけど、後ろにアホの姿が見えて無表情になる。...くっつきすぎ、手握ってる。あのアホは人を怒らせる天才だ。
試合が終わってすぐにコートを出るとストーカー(マネージャー)が近寄って来たけどタオルくらい自分のあるし邪魔、道塞ぐな、女子に関わると面倒で仕方ない。
いつもならいらない、くらいは言うけど今はそんなに暇じゃない。
姉の側までいくとアホは顔を青くして姉の後ろへ隠れた。
それに更にイラついて姉の顔の横のフェンスを勢いをつけて掴んでへこませた。
「人のに何手出してんの」
しばらく2人とも固まって動かなかったが部長やマネージャーが三波を見付けて試合だからと連れてった。
ギャーギャーうるさいのは消えたけど姉は相変わらず固まってしまった。
「ひ、光どうしたの、お腹痛い?」
「意味わかんない」
「いや、い、いつもとずいぶん雰囲気違うなーって...思うんだけど...」
「それよりなんでアホと一緒にいんの」
「ちょっと前についたんだけど、どのコートでやってるかわからなくてね、探してたら同じジャージだったから声かけて連れて来てもらったの」
いい子だよー、といった姉にまたイラついた。
あいつがまともに案内出来るとは思わない。そもそも迷子で探してた。助けてやったのは唯姉の方だっていうのは容易に想像できた。なのにあいつを庇うのは、なんだか許せなかった。
「ガキ扱いしすぎ。気分悪い」
「えっ、ど、どしたの光...」
「部活戻る。」
困惑している姉を放置して部長達のいる方へと歩き出す。
本当はこんなことが言いたかったんじゃない。
感情のコントロールが上手くいかないのは俺がダメなやつなのか、単に年齢が若いだけなのかわからない。
部長やマネージャーに知り合いなのかと聞かれたが適当に流して答えないままにした。
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