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第4章
ツンデレはたまにデレるからツンデレ
しおりを挟む光を怒らせてしまったらしい。
原因が正直わからないけど子供扱いをされたと感じたようで、めっちゃ怒ってた。
ポツン、と1人で考えてみるが理由が皆目見当がつかない。
正直初めて反抗らしいことをされたのでショックもなかなかでかい。
私が必死に頭の中で原因を探しながら一君の試合を見てると、コートが変わって向こう側へ一君が移動した。私と目が合うと彼は全力で目を逸らした。
...そりゃないぜ相棒....一緒に走った仲だってのに....
なんだろう、私今日厄日なのかな。
和兄はヘソ曲げて変な誤解されそうになったし、撮影は押したし、光には怒られるし....散々だな。
怒られてしまった理由がわからないまま試合が終わり、これで部活が終わるらしくみんなが集合してお話をしている。あ、あれ理科の綿貫先生だ。綿貫先生テニス部の顧問だったんだ。
少し懐かしくなっていたら解散になったようで散り散りに帰っていく。
怒られちゃったけど迎え行こう。
声をかけようと近付くと光の前に女の子2人が立ちはだかる。
「あの!秋月君とどういう関係なんですか?三波君とも知り合いなんですか?」
おお、これは...光のことが好きで気になったから聞いてるんだなー。なんともわかりやすい敵対心丸出し。
可愛いからいいけどそんな顔似てないのかな、私と光
「私はひか「お前らホントうざい。言う義理ないし部活終わったんだからさっさと帰れ。」
「ちょっと秋月君!なによその言い方!」
「みきちゃんやめようよ!」
私が姉だと言おうとしたら光が女の子達に暴言を吐いて私の腕を掴んで早足で帰り道を歩く。
ちょっと待って本気でこの子どうしたの、思春期難しすぎて怖い
でも女の子に対する暴言は見逃せないので結構歩いて周りにあまり人がいなくなってから声をかけてみる。
「光ー、子供扱いなんてしてないよ。でもそう感じたならごめんね。」
「...別に」
「でもいくら機嫌悪くても女の子にあれはだめだよ。」
「ストーカーされてても我慢ってこと?」
「ストーカーはちょっと言い過ぎではないだろうか光くん」
「家についてきて押しかけてきた」
「あー...この前の....」
どうやらあの子達がこの前家に押しかけてきた子達らしい。可愛い顔して肉食女子は嫌いじゃないが度がすぎるとなぁ...
うーん、難しいけどもここはしっかりと言わねば。
「光はさ、嫌だって言った?シカトとかじゃなくて、ちゃんと断った?」
「嫌がってることくらいわかるだろ普通。頭おかしいとしか思えない」
「恋する女の子は猪突猛進なんですよー。光からしたら当然そうだけどさ、あの子達も必死なんだよ。だからちゃんと嫌なことは嫌って、向き合って伝えてあげなきゃ。それでも付きまとってくるならストーカーだから私に報告なさい。解決してあげよう。」
掴まれたままだった腕が解放されて前を歩いていた光がこっちを見た。
眉間にシワが寄っていて本当にあの子達が苦手なのかなーと思ってしまった。
横に行って手を繋いで、歩きながら言葉を続けた。
「面倒だし、正直なんで自分がそこまでやんなきゃなんないのって思うけどね。
ずーっと付きまとわれてるよりは一回ちゃんと話してあげて、それで済むこともあるからさ。
だから、あの態度はだめ。
どーにもなんなくなったら助けてあげるから、一回ちゃんと話してみてあげて?」
「....ん」
「よし、さすが光」
小さく頷いてくれた光はいつもの可愛い気怠そうな光だったので安心した。どこであんな機嫌悪いスイッチ押したんだろ...まじで気をつけよう...
でも原因がわからない。仕方ない...聞いてみるか...今なら聞ける気がする。
「光さ...機嫌悪かったのってその女の子が原因?」
「...それもあるけど」
「う、うん。」
「唯姉が連れてきたアホ...あいつ、人気者、ていうか...いじられてるだけだけどいつも人の輪の中心にいるやつで、1ミリも好感は持てないけどそれは凄いと思ってる」
「賑やかな子だったもんね」
「...だから、とられると思った。」
「何を?」
「...唯姉とられると思った...」
少し俯いて小さめの声でいう光。
これは、嫉妬ということですか。お姉ちゃんとられると思ってフェンス曲げたんですか。フェンスごめん許して。なにそれもう本当可愛すぎて息出来ない苦痛。
可愛さが爆発したのでもうすぐ家だったがとりあえず抱きしめた。そりゃもうぎゅーっと抱きしめた。
「大丈夫、私は光の姉ちゃんだからね!どこもいかないから!」
「...ん」
抱きしめ返してくる光が可愛すぎて思春期がまだこないことを祈る。
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