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第5章
動体視力が無駄に良い
しおりを挟む「そういえば、城にこちらの世界のものではないものが落下してきたそうなのですが、....秋月さんご存知ですか?」
「あ...紙袋に入った長方形の白い包みでしょうか?」
「そうらしいですね。」
こちらへ移動してきたときに私はレイチェルさんに助けてもらったが羊羹は無残にも落下したようだ。
落下して中身が恐ろしいことになっているであろう羊羹を人に渡すわけにもいかないので捨ててやってください、とお願いすると不思議そうではあったがわかりましたと頷いてくれた。
そういえば、このお金...向こうで魔法で向こうの世界で使えるよう変換しないとなんだよね?
私魔法使えなくね?
こっちの世界では魔法が当たり前過ぎて私が魔法使えないこと知らないんじゃ...
「あの、アイルさん。私変換魔法とやらを使えないです」
「それならご安心ください。今回は私があちらの世界までご同行いたします。」
「それはそれで申し訳ないですね...こっちの世界で魔法かけちゃうとか出来ないんですか?」
「変換魔法というのは変換するものを同等の価値のものへと変える魔法です。ですから、こちらの世界で変換しても意味がないんです。ただ金額分の食料や衣類、武器などに変わるだけです。」
「魔法って万能じゃないんですね」
「えぇ。大した手間ではないのでお気になさらないで下さい。」
城を出て森へ向かって歩きながら魔法について少しだけアイルさんが教えてくれた。
でも空飛べたらいいなぁ...風魔法っていいなぁ...
「秋月さん、答えたくなければ答えて下さらなくていいのですが、お聞きしてもよろしいですか?」
「はい、わかることであれば何でも答えますよ。」
「...貴女は一体どちらで修行を?」
「修行?...えーと、祖父が剣術道場をやってて、小さい頃からしごかれてはいましたけど...修行って程じゃないですよ。」
私がそういうと納得してくれたようでその後は何も聞いてこなかった。
森の中の大きな木が見えてきて、やっぱり何回見ても圧倒される。すごい光景だな。
木の上を見ると太い枝の上になんか半透明の動くものが浮いていた。...なんだあれ?
目を凝らしてよくみて見ると人型っぽい。どう考えても20㎝くらいの大きさだ。
この世界には小人すらいるのか...
「秋月さん?どうしました?」
「あの、アイルさん。小人って半透明なんですね」
「は?」
「木の上の右側の...あれ、消えた」
「...ナルシストのバカがうつったんですか?」
「なんでもないっす」
アイルさんに呼ばれて一瞬目を離したら半透明の小人は消えていた。
私の見間違いだったのかな、半透明だったし。
それにしてもアイルさん辛辣すぎてつらい。
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