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第5章
ラブハプニングは筋力がいる
しおりを挟む今思ったけどアイルさん誰かに見られたらやばくね?と木の中に入る瞬間に思った。
慌てて先を歩くアイルさんに声をかける。
「あの、アイルさん。」
「あぁ、そうですね。忘れていました。」
「えっ....魔法やべぇ」
私が声をかけたら何もいってないのに内容がわかったのか、杖を体の前で一周させた。
一周させると、彼のローブのような格好が見慣れたスーツへと変わった。
瞬きしてないのに変身シーン的なもの何もなかった。一瞬裸になるとかそんなことはなくスーツ姿へと華麗に変身をしてる。魔法すげぇ....
そのままどんどん進んでいく。
真っ暗になってから気付いた。
これ出るの井戸じゃね?
「......秋月さんはなんてところから来てたんですか」
「ごめんなさい!言うの忘れてました!!」
「あとその体勢よく持ちますね」
「結構キツイです」
「私も怖いです」
真っ暗闇になって、こっちに戻って来たとわかった瞬間にアイルさんを下敷きにしているとわかったのでとっさに井戸に手と足をついて踏ん張った状態で堪えた。筋トレしててよかった。
でもやってから気付いたがこれこの体勢からハシゴを掴むのは無理だ。
この狭い井戸の中で一回転するのはさすがの私もきつい。
「アイルさん、本当に重ね重ね申し訳ないんですけど...一瞬落ちても良いですか?」
「...女性一人支えられない様に見えますか?」
私がどうしようもなくなり踏ん張ったまま聞いたら彼は不服そうな顔をしながら手を差し伸べてくれた。こういうのがイケメンっていうんだろうな。
なるべくゆっくり落ちるとがっつり腰を掴まれて無事に降りることができた。
だいぶ狭いので密着率が高い。
「...案外がっしりなんですね」
「.....秋月さん」
「ごめんなさい!いや、綺麗な顔してるし魔法使うからもっとこう細身なイメージだったので!」
密着した際に意外に筋肉があってつい触ってしまった。
こう、魔法使う人ってあんまり筋肉なさそう。
私の偏見のせいでアイルさんは心底困った顔をしてため息をついた。
「失礼しました...えーと、ここ井戸っていう、水を溜めておく深い穴なんです。今はもう使ってないんですけど。結構深いのでこのはしごで上にいきましょう」
「...わかりました。最初、どうしてこんな所へ落ちたんです?」
「妹がランドセルをこの中へ落っことしまして...」
「...まぁ、子供の行動は予想できませんからね。」
はしごを掴んで周りに誰もいないことを確認してから家にいく。
なんだかこの見慣れた場所にアイルさんがいるのがとても違和感があった。
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