つまりは女子高生が最強

amama

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第8章

なんかずれてる

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秋月の妹は数回見たことがあるし面識もあった。
最初に秋月が言ってたのは、めんどくせー妹が出来た、だった。
煩わしそうに、何度か小言(言えた内容じゃない)を言っていたくせに、しばらくしたら手のひら返しでべったりの秋月が理解できなかった。最初からあいつのことなど理解できることはなかったが、やけに引っかかった。



「....そうですね、血は繋がってないです。」

「なぜそこまでする。さっきのも完全にあいつのせいだろう。甘やかしすぎじゃないのか。秋月のためにならんだろう」


秋月がべったりなのは、またいつもの''自分の都合のいい女性''だからだと思っていた。
見た目は華やかで接してみると大人しい、あいつが好きそうなタイプ。
秋月を甘やかして駄目にしそうな、タイプ。



「....先輩、和兄のこと大好きなんですね」

「ふっ、ふざけるな!俺は真剣に話をしているんだ、真面目に聞け」

「ごめんなさい。...じゃあ、安心してください。」

「...何だと?」


人が真面目な話をしているというのに、茶化してくるのは血が繋がってないくせに似たのか。調子が狂う。
にっこりと安心しろなどと、簡単にいうので眉間にシワが寄った。


「だって私和兄に優しくないですもん。家では怒るし文句言いまくりますよ。今日も帰ったらとりあえず先輩に土下座してこいって怒ります。
嫌じゃないですか、外で妹に怒られる兄なんて。そんな妹うざいし。」


「....お前は、兄のことを好きなんじゃないのか」

「え?なんでですか?超苦手ですけど。」

「.......そうか」

「....先輩は兄弟同士の禁断のほにゃららを期待してたんですね。ごめんなさい、妄想の期待に応えられなくて...」

「断じて違う!」

「冷たっ!」


どうやら俺の勘違いだったのは認める。
だが変な誤解をされるのも癪なので強めに否定をしたら溶け始めたアイスノンの水が飛んでかかった。頬の冷たさについ頬にある手を掴んでしまった。目が合って、一瞬時間が止まった気がした。






「先輩がいてくれて良かったです。こんな友達いて和兄幸せ者ですね。

あぁ...でも、愛され過ぎて、ちょっと嫉妬しちゃいます。...あ、内緒ですよ。」





アイスノンをまた俺の頬につけると反対の手で自分の口元に人差し指を立てて微笑んだ。


大人しくなんてなかった。
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