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しおりを挟む「……ん」
強い日差しが顔に当たって、その眩しさから瞼を薄らと開く。目を開けば窓から明るい日差しが部屋に降り注いでいた。
(もう朝……私いつの間に……)
ぼんやりとその日差しを浴びていたけれど、がばっと起き上がる。昨日の出来事が頭の中を駆け巡って、ツーツェイの頬が赤く染まっていく。
(私、テオドール様とキスをっ!?)
唇に触れれば、温かく湿った感触が戻ってくる。それに……。
(めちゃくちゃディープでした……とってもお上手)
自分の心の中の言葉に顔をさらに赤らめさせてしまう。『ぎゃーー!!』と頭を枕に何度か打ち付けたが、髪飾りが壊れてしまうとすぐに動きを止める。
鏡の前で手櫛で髪を梳かして、傾いた髪飾りを綺麗に着け直す。朝日に照らされて髪飾りが美しく輝いたのに、口が緩んで微笑んでしまう。けれど……。
――――『君に触れるのはこれで最後』
そう頭に響くテオドールの声。
微睡む頭にそう響いたその言葉を思い出して緩んだ口が一瞬で元に戻る。
(あれは夢……それとも本当?)
夢と現実の狭間のような朧気な記憶にツーツェイの眉が寄る。
(いやいや、夢に違いないわ! じゃないとキスなんかしないもの!!)
首を左右に振って嫌な考えをなくす。『大丈夫!』といつものように顔を上げるけれど嫌な感じは消えない。なにか良くないことが起きるときに感じる本能のような嫌な感覚。
落ち着かせるように『大丈夫』と心の中でまた呟いてから部屋から出れば、既に屋敷を出る直前だったのか玄関で白のローブを着たテオドールがいる。
――――ドキーン!!
昨日の甘い口付けを思い出してツーツェイの身体が硬直する。いつもなら、てけてけと近づいて『いってらっしゃいませ』と笑顔で送り出すのに。
そんなツーツェイに気がついたテオドールも気まずそうに微笑みを浮かべている。
『今日は早く帰れますか?』
恥ずかしくて目線を合わせずにそうボードに書いて出せばテオドールが笑う。
「ごめんね、今日は遅くなると思う。先に寝てて。それと……」
ローブの内ポケットから小さな白い封筒を取り出して、そっとツーツェイの手に触れた。真っ赤に染まったツーツェイに笑みを浮かべてから、その封筒を手に渡す。なんだろうとツーツェイがそれを開こうとしたけれど、それを手で包んで止められる。
「今日の夜に読んで」
そう笑って諭してくる。ツーツェイが笑顔で頷けば安心したような……でも哀しそうに笑った。
(テオドール様?)
首を傾げると、いつもの笑顔にすぐに変わって屋敷から出ていってしまった。
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