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しおりを挟むそれから月日が流れ、私は一人前の回復術師となった。
幼馴染のカーフィスも回復術師の護衛を任されるだけの信頼と強さを手に入れていた。
「ルーディア様、そろそろ専属の騎士を付けなければ示しが付きませんぞ!」
「ルバート卿……申し訳ありません。
専属の騎士を選ばなければいけない事は理解しております。
ですが、信用できると思える者が中々見つからないのです。
探そうと思ってはいるのですがまだまだ力の足りない私ですからそのような時間も無いのです」
流石にそう口にするとルバート卿も諦めざるを得ないようで顔を顰めなた。
「……ルーディア様、お願いしますぞ。
早めに決めていただきたい」
「えぇ、出来るだけ早く決めるようにいたします」
私は笑顔でそう口にするといつも通り、立ち去ろうとした。
だが……。
「その必要は無いぜ」
「……貴殿は…」
「ルーディア、悪ぃ。
待たせちまったな。
約束通り、ここまで来たぜ。
お前の専属になるにはまだ足りねぇかもしれねぇけど……な」
それは、長らく会うことの無かった幼馴染だった。
あの約束の日よりも逞しくなっていた幼馴染はあの頃と変わらぬ笑みを浮かべた。
「……カーフィス卿か。
誰かの専属にはならぬと聞いていたが?」
「ここに来る前、ルーディアの専属になると約束をしていたので」
「ほぅ?」
ルバート卿が興味深そうに私を見つめた。
それさえも気にならない程に私はカーフィスの言葉に驚いていた。
あのカーフィスが約束を覚えていると思っていなかったからだ。
「……カーフィス、あなたは……」
「ルーディア…」
「馬鹿ですね。
私に着いてきた時も思いましたが……。
あなたはあなたの道を行けばいいというのにまだあの頃の約束を果たそうとするだなんて……。
馬鹿の極みですね。
流石は、カーフィスです。
バカーフィスと言われていただけあります」
「おい!?
ちょっと待ちやがれ!
バカーフィスって何だ!?
初耳だぞ!?」
「馬鹿とカーフィスを縮めてバカーフィスです」
「そんな事聞いてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!?」
相変わらずうるさいカーフィスだったがあの頃はそんなところに救われていた。
何もわからず、不安で泣きそうになった時も私はカーフィスの馬鹿さに救われてきた。
私が前世の記憶を持っていると知っていたらどうなっていただろうか?
……馬鹿は変わらない気がする。
本能に従って行動する奴だし。
「ルーディア、俺は誓おう。
主神エンディールに…俺の命をかけて。
俺はお前を守り抜く。
だから、お前の騎士にしてくれ」
「……本当に馬鹿ですね。
……はぁ、分かりました。
私、ルーディアは主神エンディールとエンディールが第5子、シヴァへと誓います。
私はこの者を最後まで私の騎士とし、信じぬくと。
…カーフィス、私の騎士になってくれますね?」
「あぁ」
その誓いを交わした後、私の魔力がカーフィスに流れ込み、変わりにカーフィスの魔力が私へと流れこむ。
そして、その魔力は最終的に双方の右手の人差し指に可愛くも綺麗な鍵と門を作り出した。
「この様な形で見られるとは……。
しかも、門と鍵……か…。
ルーディア様、無事、専属を立てられたようで何よりですぞ」
「……えぇ、では、私は失礼致します」
まさか、こんな形でカーフィスを専属にするとは思っていなかった。
「ルーディア、よろしくな」
「……えぇ。
とりあえず、私の部屋に行きましょう」
「おう。
……なぁ、ずっと思ってたけど…何でそんな固い口調なんだよ?」
「それも後で話します」
こうして、私はカーフィスを専属にし、2人での行動が始まった。
それからすぐに戦争が始まり、私が『戦場の回復術師』の2つ名で知れ渡る事になったのだが……。
この時の私とカーフィスは知る由もなく、ただただ平凡な日々を過ごしていくのだと思っていた。
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