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しおりを挟むあの後、私はルドに学園内を案内してもらったのだが……色々と怖かった。
ルドを狙っている女子の目が突き刺さって物凄く怖かった。
「ルド、ありがとうございました。
では、私はそろそろ帰ります」
「ルー、送って行きます」
「大丈夫です。
街も見ていきたいので幻術を使いますから」
元々用意していた答えを口にすると、ルドは表情を歪めた。
「……ルー、王宮へ入る時はどうするつもりなのですか?」
「……それは、帰りに治療所に寄りライ先輩と帰ろうかと」
「あの自由な方と本当に会えるのですか?」
「……それは、多分」
ライ先輩に絶対という文字はないのだ。
あの先輩のことだ。
後輩に任せて自分は研究……というのもやりそうである。
「……私も街に用がありますから」
不味いことになった。
私はルドの誕生日プレゼントを買いにいく予定だったのだ。
ついでにシェードへの埋め合わせ……というか、お詫びのお菓子も。
だが、この様子では諦めてくれそうにはない。
……仕方ない。
材料を買って手作りにするか。
ルドには悪いけど。
「……お願いしてもいいですか?」
「えぇ、勿論です」
私がお願いをすると、ルドは嬉しそうに笑った。
……何故そんなにも嬉しそうなのか。
「ルーの専属は迎えには来ないのですか?」
「えぇ、2人には私が不在中の対応をお願いしているので」
「そういえば、ルーは何故街へ?
ルーであれば言えば用意をしてもらえると思うのですが……」
質問ばかりだ、などと思いながらも私は丁寧に答えていく。
……まぁ、抑揚のない声になりつつあるが。
「今回はシェードへのお詫びと専属の2人へ何かプレゼントを買いたいと思ったので。
シェードのものはともかく、2人のものは用意してもらうわけにはいきませんから。
それに……私は平民の出ですからそういったことにまだ抵抗が……」
「そういえばそうでしたね」
あれ?
私が平民ってこと忘れられてた?
まぁ、いいけどさ。
そんなことを話していると街に着き、私はルドにエスコートされながら馬車から降りる。
それだけでかなり違和感があるのだが。
やはりこういったことはまだ慣れない。
だが、それでも幻術をかけるのは忘れない。
「そういえば、ルドは何か好きな果物とかはあるんですか?」
「そう、ですね……。
強いていうのならイチジク、でしょうか?」
イチジクか……あっさりとしているから案外使いやすい果物でもある。
ただ、私はイチジクを使ったことが一度もない。
……多分大丈夫なはず。
ドライフルーツにして生地に混ぜ込んじゃえばいいよね!
別にタルトとかのケーキ類を作るわけじゃないし……。
などと思いながら私はルドと街を周り始めたのだった。
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