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しおりを挟む目が覚めると、今までよりももう一段階先へと進んだことが分かった。
魔力の総量が上がり、更に今まで骨折なんかは治癒力を高める程度しか出来なかったが、今ならば治せると、そう思う程、アルテミスと出会ったことは大きかった。
「……これは、報告しなければなりませんね。
秘匿したとバレでもすれば、変な疑いを持たれますし……。
となれば、謁見ですね。
アルト、悪いけれど陛下にお時間をいただけないか伺ってきてくれますか?
信頼出来る者のみでお話したいことがある、とでも」
「承知致しました」
私はアルトを見送ると、着替え始める。
今日は学園がないので回復術士の制服だ。
こちらの方が落ち着くのは、それだけ私が回復術士として行動してきた証拠だろう。
「ルーディア様、髪飾りはどれにいたしましょうか?」
「薄い、紅の花のものにしてくれますか?」
昔、カーフィスがくれたものだった。
村から出てくる時だった気がする。
カーフィスが、王都でしばらくは会えなくなるだろうからお守り代わりに、といってくれたもので、私の一番のお気に入りだった。
「承知致しました」
ユリアに付けてもらうと、丁度アルトが戻ってきた。
「執務室にて伺う、とのことでした。
本日は謁見の予定もなく、ルーディア様のご都合で好きな時間に来れば良い、と」
「ありがとう。
では、今から向かいましょうか」
実はといえば、こうなることは想定内だった。
あの王は意外と暇なのだ。
忙しいことは滅多にないし、宰相に押し付けている。
それでもやる時はやるらしいが。
「ルーディアです、お話があり伺わせていただきました」
扉の前でそう告げると、兵が扉を開けてくれる。
……こういったことは未だに慣れない。
「陛下、お時間をいただきありがとうございます。
早速本題へと入らせていただきますが……。
この度、私はエンディールが第二子、狩猟と貞潔の神アルテミスを第二の守護神といたしましたことをご報告申し上げます」
それは、私の力が強くなったことを意味する。
そして、私は有事でもない限り、決して国から離れられなくなる。
ある意味では、呪いに近いのかもしれない。
強大な力を手にした代償、それがこの回復術士という存在なのだから。
「第二の、守護神だと!?
まさか、そんなことが有り得るのか……。
それに加え、歴史上で一切姿を見せなかった、あのアルテミス神か……。
ルーディア、済まないが」
「婚約者の選定を急げ、でしょうか」
「あぁ。
分かっているのならば良い」
わかっている。
カーフィスを、選ぶことなどできないことくらい。
カーフィスを選ぶためには、爵位が必要だから。
私を留めておくために、貴族でないとならないのだから。
「では、失礼致します」
要件は既に済んだため、退室しようと立ち上がり、扉に手をかけた。
「ルーディア、これは個人的な話だ。
忘れてくれても良い。
……対抗戦の出場種目で優勝した者には、何かしらの褒美が与えられる。
例えば、平民であれば爵位だとかな」
その言葉に私は陛下を振り返る。
そして目にした陛下の瞳と、その優しげな表情に……。
「ありがとう、ございます」
私は一礼して、退室した。
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