回復術師ですが仕事と婚約者候補に追われています!

紗砂

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「ルー、援護を頼む!
グラン、お前は前に出すぎだ!」


現在、2回戦。
メンバーは、私・シェード・グランの3人だ。
相変わらず、グランは前へ前へと突っ込んでいくが、それをシェードが頑張って止めていた。


『聖なる光よ。
展開せよ、守護結界』


段々と簡易的になっていくが、それも仕方ないだろう。
何故、長々と詠唱なんてしなければいけないのか。


『……よ、声を拾え、届けろ』


私の隣でシェードが風の魔法を行使し、周囲の声をかき集めつつ、グランへと声を届ける。


『お、守護結界があるってことは……。
っしゃー!
突っ込め!』


なんていう、グランの声が聞こえ……。
私はため息をつき、シェードは肩を震わせた。


「グラン!
前に出すぎだと何度言ったらわかる!」

『うぉっ……。
なんだ、シェードかよ。
大丈夫だっての。
突っ込めばなんとかなる!』


さすが脳筋。
これはカーフィス以上の脳筋具合ではないだろうか。


「ルー、悪い。
ちょっとあのバカを止めに行ってくる……。
一人で大丈夫か?」

「えぇ、もちろんです。
私は、ただ守り守られているだけの回復術士ではありませんから」

「なら、任せた。
行ってくる」

「はい。
お任せください」


シェードが行ったことを確認すると、私は木の上へと上がる。
アルテミスのおかげか、少し身体能力が上がっているようでだいぶ登りやすかった。

そして……。


「アルテミス、お願い。
力を貸して」

【えぇ、えぇ!
勿論です。
私の力はあなたの願いのためにあるのですから】


アルテミスの、鈴の音のような綺麗な声が聞こえる。
シヴァの力は使わない。
それに、アルテミスの力だって使うのは限定的だ。
あくまでも、固有魔法に見せるように。


『我、ここに願い奉る。
我、回復術師の1人にして主神、エンディールの力の断片を持つ者なり。
汝、我等が偉大なる母にしてこの世を作りし神……。
エンディールが第二子、アルテミスの力の断片を使うことを許したまえ』


誰にも聞かれぬように、音声を拾われないように注意を払いながら私は詠唱をする。


『降臨。
神具、イーオケアイラ』


イーオケアイラ、矢を射掛けるもの。
正に、という名だ。
手元の弓矢を見ると、黄金に輝いている。
これは、かなり目立ちそうだ。


「まずは、支援型の魔術師から」


矢を番えると、アルテミスの能力なのか、よく見える。
矢の軌道すら分かるようになっているあたり、さすがとしか言いようがなかった。


『穿て』


そう、トリガーを口にし手を離すと、矢は真っ直ぐに飛んでいく。
そして見事当たったところで、手の中にあった弓が粒子となって消えていく。
どうやら、一回限定のものらしかった。


「ありがとう、アルテミス。
また、力を借りるかもしれないけれど……」

【えぇ、あなたのためならばいくらでも。
私たちの愛しき子に祝福があらんことを……】


アルテミスは、なにやら祝福を残し、消えていった。


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