王族なんてお断りです!!

紗砂

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本編

???

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私は、今回の夜会もまた憂鬱な気分で参加していた。
それも、どうせいつもと同じように私の身分を目当てに令嬢達が群がり、その対処に追われると思っていたからだ。

どの令嬢も、私の身分しか見ていない。
それなのに丁寧に対処しなければならないなど……。
ただ面倒なだけだ。


「あ、そうだ殿下。
僕、今回の夜会でエスコートする人がいるのでしばらく離れます」

「……意外だな。
お前にエスコートする相手がいたのか」

「えぇ、まあ。
公爵家の人間ですが」


私の側近の一人でもあるルアンは令嬢に対して良い感情を持っていないらしく、言い寄られても冷たく突き放していた。
そんなルアンがエスコートなどとは……。
一体どんな風の吹き回しだろうか。
いや、家の事情かもしれないが。
それにしてはルアンの表情が穏やかではあるが。


「ルアン、その人って綺麗?」

「綺麗な人だよ。
真っ直ぐで、強くて、誇り高い人だ。
本来は僕がエスコートするような人じゃないんだけど今回は少し問題があってね」


ルアンはその女性に惚れているのだろうか。
いつもよりも柔らかな笑みを浮かべた。
ルアンにそこまで言わせるその人物に会ってみたい、そんな思いからか今回の夜会は少しだけ楽しみに思えてきた。
だが、問題とは一体なんなのか。
気になるところではあるが、私が聞いていいことでもないだろう。


「僕としては、あの人と殿下が婚約を結んでくれたらと思いますが」

「……おい待て。
なぜそこに私が出てくる。
ルアンお前、その女性に惚れているのではないのか?」

「まさか、そんなあの人に惚れるなんて……。
僕はただ尊敬しているだけですよ。
それに、あの人の相手は並大抵の人では釣り合いませんから。
殿下もきっとあの人を見ればわかりますよ」


その言葉は本心ではないように感じた。
特に理由はない、ただの勘ではあるが。
だが、並大抵の人では釣り合わない、か。
ルアンにそう言わせる令嬢とは……。

そして夜会の日、ルアンと踊る令嬢を見て、今までに感じたことのない想いを私は抱いた。


「……カイン、あの令嬢は?」

「少なくとも、国内の人間じゃないね。
あんな令嬢がいたら噂にならないわけがない。
あの様子から見るとルアンのエスコートの相手みたいだけど」

「ルアンの相手、か……」


ルアンと共に踊る彼女はとても美しかった。
女神、そう思う程に。

ダンスが終わったと思えば、私は自然と彼女の方へと近寄っていた。
だが、私がダンスへと誘う前にカインが誘ってしまった。

思わず舌打ちをしたくなったが、彼女に聞こえるかもしれないと思いとどまった。

それから、カインと彼女が軽く会話をしてから踊り始めた。
その頃には私のもとへ、ルアンがやってきていた。


「ルアン、彼女は誰だ?
お前とはどんな関係だ?」

「あの人は、エリス・フォーリア。
どこかの王子のせいで王族嫌いになりかけている、僕の従姉です」

「なっ……。
王族嫌いだと……?」

「はい。
あんなことがあれば誰だって嫌いになると思いますけど」


暗い笑みを浮かべるルアンを見て、ゾッとする。
ルアンがこういう笑みを浮かべる時は、決まって何かが起こる。

一体、彼女に何があったというのか。
それなりに原因があったと思うのだが。


「……理由はエリスから聞いてください。
それなりに仲良くなれば答えてくれると思いますよ」

「あぁ、そうさせてもらおう」


彼女が何をされたのかは分からないが、少なくとも、彼女を傷つけたその王族は許せないと思う。
フォーリア家といえば、隣国か。

エールの王子とは再従兄弟ではあるが……。
あれはバカだったからな。
次に会うことがあれば……。

そんなことを考えつつ、私はカインと踊り終わった彼女をダンスに誘った。
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