王族なんてお断りです!!

紗砂

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「エリス! 国から連絡が来た。
婚約を認めてくれるそうだ! ただ、正式に婚約を交わす前にエリスに王宮へ来て欲しい、とも書いてあったが……」


夜会の日の朝、アルス殿下が興奮した様子で入ってきます。
ルアンから聞いてはいましたが、ここまで簡単に認めるとは思いませんでした。
……いえ、簡単に認める、というのはフィーリン商会があったからでしょうね。
更に言うのであれば、人柄を確かめるために王宮へ、ということでしょう。


「問題ありません。殿下の帰国に合わせます」

「そうか……! それと、だな……。
私のことはアルと呼んではくれないか?」


殿下の愛称なのでしょう。
はたして、婚約者にもなっていない私が愛称で呼んでいいのか疑問ですが、殿下自身がそれを望んでいますし、何れは婚約者となるのですから問題無いと思いましょう。
……どこかのバカ王子は突っかかってきそうですが。


「分かりました、アル」

「っ……あぁ!」


アルは嬉しそうに笑います。
そんなに嬉しそうにされると戸惑うのですが。


「アル、夜会のエスコート、お願いします」

「あぁ、任せてくれ。
夜会といえば、あの王子はルベルコートの王子も呼んだようだぞ?」

「嘘でしょう……。何を考えているのですか、あの方は……!」


ルベルコートといえば、商国です。
それ故に、取引をする国は考えている。
あのバカが出れば確実に、この国への取引は打ち切られることになるでしょう。

そうなると、フィーリン商会も危ぶまれます。
……あのバカはそんなにも私が憎いのでしょうか?
こうなってくると報復どころの話ではありませんね。
至急、対処を考えなければいけません。
ここで何もしなければ、被害は民にまで及ぶ可能性だってあるのですから。


「エリス、私も協力しよう。
ルベルコートの王子は王宮にいるようだが……」

「あの方の暴走を陛下たちが許したと?……いえ、そういうことですか」


陛下たちは、この夜会の場で、あのバカの継承権を失くすつもりなのですね。
そのための場、ということですか。


「エリス?」

「いえ、なんでもありません。
夜会の場には他の公爵方もいらっしゃると思いますからその際に紹介しますね」

「公爵か……どんな人なんだ?」


婚約者となるのですから公爵方と会っておいた方がいいでしょう。
私が王位を継ぐ、ということになってしまえば尚更必要なこととなります。


「そうですね……まず、エンドルース公爵はなんでも武力をもって解決する傾向にあります。
明るく陽気な人柄とその圧倒的なまでの力から多くの騎士たちと子どもたちの憧れとなっている人物です」


悪くいえば脳筋、でしょうね。
本人もそれは認めていますし。
少々頭の固いところはありますが、優しく正義感にあふれる人物です。


「そう聞くと、カインと気が合いそうだな……」



短い付き合いではありますが、カイン様が脳筋のようだ、とは思いました。
確かに、気が合いそうではあります。
まぁ、酔い潰されそうではありますが。
あの方はかなりの酒豪ですからね……。


「もう一人は?」

「ルースベル公爵ですね。
あの方は……その、なんというか変わった方です。
かなりの愛妻家で、フィーリン商会を懇意にしていただいております。
国に対しての忠誠心はエンドルース公爵と比べそれほどありません」


そうとしか言い様がありません。
あぁ、あともう一つありましたね。


「国よりもフィーリン商会を取るような方ではありますが、厳格な人物として知られています」


アルがポカンとしています。
……気持ちは良く分かります。
国よりもフィーリン商会を取るような方が厳格とは思えませんから。


「……良くそれで国がまわってきたな」


私はアルの言葉に苦笑をもらしました。
私もそう思います。
よく、国よりもフィーリン商会を取るような方が宰相で国がまわってきた、と。
いえ、商会自体は数年前に創ったのでそれまでは問題はなかったでしょうし……良いのでしょうか?


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