王族なんてお断りです!!

紗砂

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私の発言に、公爵方はしばらく固まっていました。
その沈黙を破ったのは、ルアンです。


「フレイなら、エリスよりも安定した国になりそうだと思うよ」

「ルアン、なぜそう思った」


お父様がルアンの発言に反応して、問いかけました。
私としては、フレイ様を推す声が大きくなるので結構ですが、そう言われてしまうと悔しい気もします。
そんな私の気など知らず、ルアンはそう思ったわけを口にしました。


「エリスは頑張りすぎるからです。
全て一人で抱え込もうとする癖があるので、王になれば今よりも無茶をすると思います。
そうなれば、いつ倒れるかわかりませんから。
その点、フレイならば無理をすることなく、自分にできる範囲を的確に理解できる、そう思ったので」


ルアンの言葉を否定できないのが辛いですね。
確かに、やることが多いから、といって私はまず休憩の時間をなくすでしょう。
それでも尚、時間が足りないとなれば、睡眠時間まで削り仕事に励むでしょうから。
そう考えたとき、やはりフレイ様のほうが王にふさわしいのだと思います。


「あぁ、エリスならば確実にやるな。
睡眠時間を削り、いつか不眠不休で仕事をやり続けそうだ」

「でもって、結局倒れて周りに心配かけて怒られるんだろ?」


幼馴染の二人が私が王となった場合の未来を語り始めました。

本当にありそうで怖いのですが。
フィーリン商会を立ち上げ、名が広まり始めていた頃、そんなような事があったような気がします。
あの時は確か、最終的に倒れてしまいアリスに泣きながら怒られました。
あの時のアリスの顔を見て、初めて私が周りに心配をかけてしまっていたのだと思い知らされました。
ですが、あのころはまだ他の者に任せられるような仕事ではなかったため、全て一人でやらなければいけない、と気を張っていたのです。
それ故に、周りの事が目に入らず倒れてしまったような気がします。


「もうやりません。
自分の限界はよく理解していますから」


あの時の事があったからこそ言える言葉です。
それがなければ落ち込んでいたでしょうね。


?」

「既にやったのか」

「遅かった?」


ルアン、フレイ様、ラルフは呆れたような目を向けてきました。
それも全て自らが起こしたことなので仕方ありませんが、そろそろやめていただきたいものです。

いえ、それよりも、です。


「フレイ様、私は王位継承権を破棄させていただきますので頑張ってください。
応援しております」

「エリス嬢、私達がそれを認めると思うのか?」


口を挟んできたのは、ルースベル公爵でした。
やはり、そう簡単には認めてはいただけない様です。
面倒ですね。

ですが、問題ありません。
私には協力者がいますから。


「ルースベル公爵、よろしいのでしょうか?
私が王となれば、フィーリング商会の新作ケーキの販売は中止か延期をしてしまうことにもなります。
それに、今までと同じように、とはいかなくなってしまいますから新作を作ることすらできなくなってしまうかもしれません」


新作のケーキは全て私が一から作ったものです。
そのレシピを本店や支店へと送り、そこの料理人が作る、という形となっているのです。
なので、公爵に言った言葉は本当の事なのです。


「フィーリン商会の新作が?」

「発売されない、ですって?」


それに反応したのは、公爵の奥様方でした。
その声には、何としてでも私が王となるのを阻止しなければいけない、という強い思いが込められていました。


「あなた、分かっているわよね?」

「エリスちゃんを王にすることは許しませんよ」


こうして、私は心強い味方を得ることができました。
公爵方は、奥様方が敵に回ったこととその黒い笑顔に押され気味になっていますがいいとしましょう。
ですが、これで公爵方が私を王に、などということは無くなるでしょう。
……そう信じたいものです。


「エリス姉さんも酷な事をするね。
公爵たちが逆らえない事を知ってるだろうに」


ルアンが、公爵と奥方のやり取りを見ながらそうつぶやきました。
なんど言っても私を国王候補から外さなかった公爵方の責任ですので知りませんが。
何より、これ以上私が言っても無駄な気がしましたから。
実際、これまで聞く耳を持たなかったのは公爵方なのですからこれくらいは許されるはずです。






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