王族なんてお断りです!!

紗砂

文字の大きさ
60 / 70
本編

50

しおりを挟む


「エリス様、あの方とレストは順調にこちらへと向かってきているそうです」


ハーネスから報告を聞き、私は少し考えた後、答えを出しました。



「分かりました。
では、人質の解放を急ぐようにお願いします。
そのために必要であるのならば、何をどれだけ使おうとも構いません。
それにより、フィーリン商会の立場が悪くなるというのであれば、それで良いでしょう。
あなた達がいれば何度でも立て直すことは可能ですから。
お願いします、ハーネス」

「はっ、エリス様のご期待に添えるよう、全力でやらせていただきます」

「えぇ。
それともう1つ。
皆に伝えてください。
この件が早く終わるようであれば、皆でどこか落ち着いた場所へ行きましょう、と」

「承知致しました。
では、すぐに終わらせ戻ってきます」


これで人質の件は問題ないでしょう。
しばらく休みもありませんでしたから休みを……と言えば早く終わらせようとするでしょうから。

残る問題は、人質となった方の心のケア、でしょうか。
ミリスさんとシャールの2人ならば大丈夫だとは思いますが、やはり心配です。
アリスがいれば確実なのでしょうが、アリスには休んで貰いたいのですから。


「エリス、いた!
もうさ、何この使用人たちの重装備。
何かあったの?」


ルアンが帰ってきたようです。
ただ、帰ってきて早々詰め寄ってくるのはやめてもらいたいものですが。

私は、帰ってきたばかりのルアンに、事の顛末を全て隠すことなく話すと、ルアンは嫌そうに顔を歪めました。


「何それ。
エリスの婚約者を奪っただけじゃ足りないってこと?
ふーん、そっか。
そういうことなら僕も参加させてもらうよ」


珍しく、ルアンが参加することにしたようです。
どういう心境の変化なのでしょうか?
こういったことには参加しないとばかりに思っていたのですが。


「さすがに、何度も僕の大切な従姉を傷付けようとされるっていうのはね。
それに、今回はエリスだけじゃないようだし。
あと、付け加えるとしたら、フォーリア家の人って、やりすぎそうだから一人くらいは歯止めになる人が必要かなって思ってね」


……何も言い返せませんね。
多分、私は今苦笑しているでしょう。
そう思う程、ルアンの言葉に納得してしまいました。
確かに、フォーリア家の人間は自重というものも知りませんし、『やるならば徹底的に』と幼い頃から教わるほどの家ですから。
まぁ、その教えがフィーリン商会をトップにまで押し上げてくれたのですが。


「じゃあ、僕は行ってくるよ。
はぁ……止められるかなぁ……」


自分で口にしておきながらもやはり、気が重いようで、溜息をついていました。
ですが、ここはルアンに頑張って貰わなければ困ります。
そうでなければ、絶対にやりすぎた結果になると断言出来ますから。
そうなると大変なのはルアン達の方ですから。


「やっぱフレイ、呼ぼうかな……」


扉を開けた際、走っていった一人の使用人の姿を見て、ルアンがそんなことを呟きました。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

処理中です...