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第4話 誕生日。
しおりを挟むよしっ!18時ちょうど。
さすがにもう帰っていいよな?
『ガチャ』
『パンパンパーーン』
「ローグ、四歳の誕生日おめでとう。」
「あんな小さかったローグが、こんなに大きくなるなんて。」
「俺のせいで、ローグにはいろいろ迷惑かけちまったもんな。」
「でも本当に、ここまで元気に育ってくれて良かった。」
なんだろう、この身体の中から暖かくなる感情は。異世界に転生されてから四年、戸惑いながらもなんとか生きてこれたのは、この両親たちのお陰だ。
前世では、まともに誕生日を祝われた記憶なんてなかった……
――いや、そんな事ないか……
前世の母親は、オレの誕生日になると、コンビニで買ったであろうショートケーキを、毎年冷蔵庫に入れてくれてたな。
オレが中学校不登校になったときも、父親や親戚たちは「気持ちの問題だ!」「根性がたらん!」など罵倒を浴びせてきたが、唯一母さんだけは「逃げたって良いんだよ。頑張り過ぎたら疲れちゃうからね。」と語りかけてくれた。
「あれ、、なんで、、?」
「なんで涙が出るんだろう」
あぁ、、そうか、、
前世でオレは、ちゃんと母親に愛されていたんだな。そう思うと、今まであった心のモヤモヤが晴れた気がする。
「ローグ、これはお父さんからのプレゼントだ。ちゃんと大切にするんだぞ!」
ガイアは少し照れた表情で、小さめな剣を渡してくれた。
「これは父さんが子供の頃に使ってた剣だ! 見た目はボロボロだが、手入れはしっかりしてある! お前もこの剣が似合うような、強くて優しい剣士になるんだぞ!」
「あらあらガイアったら気が早いわね。ローグの職業が決まってない内に剣士だなんて」
「オレの息子なんだから剣士、、いや、剣豪にだってなるんじゃないか! ハッハッハハ」
最近になって本格的に稽古を始めたんだ。ガイアの言う通り、剣が活かせる職業だとありがたいんだけどな。まぁこれも五歳になるまでのお楽しみってことか。
「ローグ、ちょっとこっちに来て」
年季の入った木箱からそっと手に取り、木製で出来たネックレスを首にかけてくれた。
「これはお母さんの故郷で作られたものなの、このネックレスはいつかきっとローグの役に立つ時が来るはずよ。それまで大事に持っててね。」
そう言って、母さんは強く抱きしめてくれた。
「ちょ、、母さん恥ずかしいよ!」
「「アハハハハハ」」
結局二人にからかわれながら、オレの誕生日は過ぎて行った。
▲ ▲
四歳の誕生日から三ヶ月が経った頃、我が家にある手紙が届いた。
――――――――――――――――――――――
センティア・ガイア殿へ
王都騎士団で預からせている、娘のセンティア・コニー氏が、ダンジョン攻略の任務中に怪我をしてしまい、休養が必要になりました。
休養先は本人の希望もあり、ご家族がいるズアイ村を望んでいるため、五日後センティア・コニー氏をズアイ村に向かせるよう手配させていただきます。
王都騎士団三番隊副団長 ディシア・ローレンス
――――――――――――――――――――――
「おいっ! フラン!ローグ!!」
「コニーが帰ってくるぞおぉぉぉ!!!」
嬉しさのあまり、ガイアはくしゃくしゃになった手紙を握り締め、涙目になりながらオレと母さんに手紙の内容を伝えてきた。
「五日だ! 五日後コニーが帰ってくるんだ! こりゃもう居ても立っても居られないな!」
「コニー、怪我をしたみたいだけど大丈夫かしら?」
「そんな怪我なんてお父さんがすぐに治してやるさ!」
「でも怪我が治ったら、コニーをすぐ王都に連れて行かなくなっちゃうわよ?」
「あ、、じゃあ、、ちょっとだけ、、ちょっとだけ怪我を治そう。コニーがすぐに居なくなるのは寂しいからな」
王都から手紙が届いてからというものの、両親はコニーの話しで持ちきりだ。
勿論オレもコニーと会えるのは嬉しいし、また一緒生活が出来ることを何度願ったことやら。
クリエにもコニーが帰ってくる事を伝えようとしたが、こういうのはサプライズの方が嬉しいはずだ。なのであえて黙っておくことにした。
手紙が届いてから五日後、両親はソワソワしながら、村の入り口でコニーの帰りを待っている。
外は大雪のはずなのに、そんなことを気にもしていない。
本当、親って生き物は子供の事になると何にでもなれるんだな。と思っていると、遠くの道から一台の馬車が向かってきた。
ゆっくりと馬車が近づいて来たが、何か様子がおかしい。
オレたちの目に映ったのは、王都の物とは思えない今にも壊れそうな馬車だった。
「おい、着いたぞ! 早く降りろ!!」
そう怒鳴った男は馬車の荷台に入り、ボロボロになった少女を投げ飛ばした。
そしてその男は、何事もなかったかの様にこの村を去って行った。
「――こ、コニー……だよな……?」
「な、、なにがあったんだ?」
その少女は小汚い服装をまとい、充分に食事を与えられていたのかと疑うほどの痩せ細った状態だったが、顔を一目見たらコニーだということはハッキリ分かった。
その姿を見た母は、何も言わずそっとコニーを抱きしめた。
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