多重人格者の異世界転移〜あれっお前魔王じゃね?!〜

くろこん

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魔王と多重人格者、相対ス

英雄同士?いやいや、絶対変な奴だろ

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ふ~~~やっと休めたよ。

輝赤です、やっとイヴァンをなだめて、ルーカンさんのいる本陣まで戻ってきました。

ルーカンさんは自分のことを快く迎え入れてくれましたが、右陣が危ないからとか言って、兵士を幾ばくか残して右陣へ行ってしまいました。指揮権はお前にとの王の指示だ、と言われましたが、自分に指揮なんてできません。

そう言ったら、ルーカンさんがちゃんと補佐の将軍をつけてくれました。40代のツルピカ頭をカツラ(明らかにカツラ)で隠しているふとっちょおじさんで名前をパンさんと言うらしいです。見た目とは裏腹にとても有能で、騎士団の皆さんをうまく使ってくれています。僕の化け物部隊に関してはムサシさんに指揮を一任しているため、これで安心です。テントの近くでイヴァンとともに休むことにしました。

『主人よ、私はまだ戦えるぞ!戦わせてくれ』

えーっ、せっかく休憩できたんだから、もう少し休んでもいいじゃない。5分ごとにそれ聞いてくるのやめてよ......

『あーーっ!いたいた、アイツがそうか。おーーーい!』

イヴァンと他愛のない話をしていたレッドに急に3人の男女が話しかけてきた。

1人はあれ?なんか元の世界で見た海賊映画の主人公にそっくりな格好だな、つばの大きな帽子、ブーツ、ズボン、海賊じゃん。もう1人は格好いい顔をフードで隠しているお兄さん。もう1人は...女性か、腰につけてるのは、剣だけど、なんか変だな

グリーンがそういうの小学生の時に興味があって、自由研究みたいなのでやってたな...確か中国の...九環刀だっけ?そうだ!それに似てるんだ。

おっと、それより前に...肩をバシバシ叩いてくるこの海賊男だ。この人は龍を撫でようとしてイヴァンに吠えられたりしてから、こちらは向いて挨拶を始めた。

『おっと、まずは挨拶だ、俺はジャンだ。ジャン=ギルドバスター、商人だ。こっちはジュダル』

『よ、よろしくお願いします...』
格好いいお兄さんがペコリとお辞儀した。

『んでっ!こいつがマリンだ』

そうジャンさんが言うと、マリンさんは小さく会釈した。厳しい目が印象的だった。

『よし、自己紹介の続きは後でやろう。取り敢えず俺たちは、前線の様子を見て来ないとな。案内してくれよ。』

いや、行きたくないです...

あと、僕の様子を見に来たパンさんが、ジャンさんを見てカツラを落としかけた(てか落とした)のには驚いた。

『こ、これは、ジャン殿、援軍に来てくれたのですね!』

『わり、俺たち3人だけだわ、あとはまだ。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんなこんなで、今僕は前線に戻ってまいりました。

イヴァンがすぐ突撃したがるので、なだめるのが大変で仕方がありません

結局、ジャンさん達と前線の様子を視察という形で見て回りながら、ジャンさんの話を色々と書くことができた。

ジャンさんは商人ギルドのギルドマスターで、世界一の大金持ち。ちょっと傲慢なところもあるけれど、日々書類仕事に頭を悩ます30代のお兄さん。ジュダルさんは魔法使い。なんの魔法を使うんだろうか?魔導局に所属していたが、ジャンさんにスカウトされて部下として付き添ってる。歳は20代前半ぐらいか?マリンさんも事情はそんなに変わらないらしいが、とにかく何も喋らなかったので、何も話せなかった...

そして前線に到着。ムサシさん達が僕が来たことに気づき、士気を盛り上げる為に兵士達を煽り始めた。

『お前ら!うちの大将が戻って来たぞ!また見せてくれるぞあの大暴れを!』

リザードマンの軍勢から歓声が、魔王軍の魔獣達から恐怖の、声があがる。

そりゃ、イヴァンがあんなに暴れればねぇ...恐怖の対象にもなりますわ。

王様からの指示に反して、突出しすぎちゃうから、今日はやめとこうか、と言い訳をして去ろうとしたがジャンさんにトドメを刺されてしまった。

『ん~?ほら、将兵が出るときに出なくて、誰が指揮官じゃ、いいからいいから、行ってこい、ほらドラゴン。行け行け』

その瞬間、イヴァンは待ってましたと言わないばかりに、体を敵の方向に向けて走り出す。

それに連られて、ジャンさん達も走って来た。

えぇ?大丈夫ですか、貴方達商人ですよね?!

『だぁいじょうぶじゃ!俺たちもそこそこは戦える!問題ないわ』

そう言っているジャンさん達の後ろでは、頭を抱えたジュダルさんとマリンさんがいた。何か問題でもあるのかな?

敵へと突っ込むと、敵の魔獣達は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。どんだけ恐怖を植え付けているんだよ。イヴァン。

てか、マリンさんやジュダルさん、すっごい。マリンさんはさっきの九環刀を巧みに使い、獣を音で驚かせ、倒している。ジュダルさんは、手をかざすと魔獣達が1人でに吹き飛んでいく。一体なんの魔法なんだろう?

『当たり前だろう!あいつらは俺が自分でスカウトした、SSランク冒険者と、天才魔導師なんだからな!そして、それらを部下に持つのが、俺だ』

そう言って自慢げに話すジャンさんだが...

あれ?というかそう言ってるジャンさんは?どこから声を出しているの?ジャンさんは...イヴァンの尻尾に捕まってた。

『俺も乗せてくれ!頼む!一回でいいから!』

『えぇいダメだ!これには契約をしたもの1人しか載せられん!不可だ不可!』

『じゃあ俺とも契約してくれよ』

...何イヴァンと喧嘩してるんですか。ジャンさん、自分の馬に乗ってくださいよ。

『馬飽きたんだよ!クソぉぉぉぉ』

尻尾からジャンさんが豪快に振り落とされる。

僕はため息をつきそうになりながらも、ようやく慣れてきた、イヴァンを乗りこなす練習に戻るのだった。



『進め!進め!俺たちに負けはないぞ!』

ムサシさんの号令により、部隊が全身しだす。当初予測していたものよりも、グリーン達の軍隊は遥かに大きな戦果をあげていた。

左陣の魔王軍は総崩れ、目と鼻の先にテントがあるが...あれが本陣なのであろう。

中より、複数人の男達が出てきた。今まで相対してきたのは、ゾンビやクリーチャーのような見た目のもの、図体の大きい機械の体を持つ者たち。魔獣と言われるイノシシや熊、ゴブリンと言われる者たち(そもそもイヴァンがいるから僕に近づいてすら来なかったけど)などだったため、人間の体をしたのは始めてだね。

と思ったら、その人たち、雄叫びをあげたかと思ったら、服がビリビリに破れて狼みたいな姿になっちゃってるよ......

『人狼ですね、最近は姿を見せなかったのですが、群れで行動していたとは...』

『ヘヘッ人狼は元々そういうもんだろ、よしっ行け!グリーン、俺はもう一回イヴァンチャレンジだ!』

こうして勝手にイヴァンの尻尾に捕まり華麗に吹き飛ばされているジャンさんを尻目に、イヴァンは敵に向かって走り出す。

一気にムサシさんたちのところに追いついた。

『おいグリーン!周りの雑魚は任せとけ、そいつらは俺とディナスがやっておくからよ。お前は真ん中の大将を頼む』

ディナスさんと言われたリザードマンも、コクリとこちらを向いて頷く。

いや、嫌だよ!いや、イヴァンに戦わせればいいのか。じゃあいいや。

イヴァンは周りの人狼たちに目もくれずに、真ん中の一番巨体な人狼へと進んでいく。イヴァンが繰り出した...今まで機械族ですら受け止められなかった爪を...その人狼は受け止めた。

『舐めてくれるな!我らがここで死のうとも、魔王様には勝てまい、ならばここで死んでおけ、神器使い!』

『面白い、主人と相対するには、まず私を倒してからにするがいい』

途端に、その人狼族とイヴァンの爪、牙のぶつかり合いが始まった。

人狼がイヴァンの喉に爪を繰り出そうとすると、イヴァンはそれを飛んでかわす。変わってイヴァンが人狼の体を噛み砕こうと牙を使おうとすると、人狼はその牙を両手で受け止めて動かない。

両顎を完全に掴まれて、イヴァンは苦しそう...でもなく、ニヤリと笑った。

『フフフ、け、計画通りだぞ?!主人よ魔力を借りる。くたばるがいい!「ネァイリング」』

たちまちイヴァンの口の中からレーザービームのような光が放たれ、後ろにあった山ごと、魔王軍の左陣を焼き払っていった。人狼の男は、かわそうとしたもののかわしきれず、横腹に穴を開けられ、肩で息をしていた。

どう考えても致命傷である。

『まさか神器使いにすら届かぬとはな...しかし、貴様もこれで終わりよ!』

そう言って、虫の息状態の人狼族が出してきたのは...

銃?!

それは、紛れもなく銃であった。勿論、大きく、形は不細工ではあったが、それは間違いなくハンドガンの様相をしていた。銃口がこちらに向けられる前に、レッドはとっさに盾でガードする。

パァン!という大きな音が空に響いた。

盾に衝撃は...伝わらなかった。

『全く、やっぱりアイツは突拍子も無いことを考えるの~まぁ、俺もおんなじの作っちゃったけどね』

そう言って僕の前に立っていたのは、ジャンさんだった。気づけば細剣を抜いており、静かに上下に切った。地面に、黒くて、ちょうど半分こに切れた黒い塊が転がっている。

あれ?もしかして貴方、銃弾切りました?そうですよね?

人狼族の男も驚いている。

『なるほど、お前がそちら側に立つのは道理だな。ジャン。お前なら我らの現状を知っておる。味方してくれるかもと見込んでいたが...見込違いらしいな』

『いや、当たり前だろ、アイツ帝国攻め滅ぼしちゃってるじゃん。明らかにアイツの考えじゃないでしょ...どーなってる?アイツがそんなこと考える奴に見えるのか?』

『魔王様のおっしゃることなどに疑問など持たぬ、我らはただ、彼の方についていくのみだ。殺すなら殺せ』

『オオカミの毛皮なんかいらねぇよ...とっとと消えな。アイツに伝えとけ、一発殴りにきたってな。』

その言葉が終わるか早いか、魔獣たちが魔王軍陣地に引き返し始めていた。

これ以上深追いはしない方がいい、というジャンさんの指示を聞いて、ムサシさんにも同じことを話す。

勝ちに、グリーン軍と、ルーカンさん達の陣営も湧いた。見れば他の陣地の魔王軍も魔王軍本陣の方向へ戻っていく。耐え凌ぐことができたのだ、と安堵する騎士達も多い。

勝ちを喜ぶムサシ達は、王国、帝国連合軍のところへと意気揚々と戻っていくが、同じく本陣に戻ってきた中央、右陣の生き残り達の顔は、凄惨たるものであった。
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