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魔王と多重人格者、相対ス
黒き騎士の心の封印
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クロの神器が、魔王の肩に当たり、魔王の肩の鎧が破壊された。それと同時に魔王のマスクの半分が割れ、そこから彼の素顔が露わになる。その顔は鬼、黒き鬼人...が魔王特有の個体となっていた姿なのだが...それが見えた。ほんの少し驚愕の表情を浮かべた魔王であったがすぐに顔を戻し、冷静にクロから距離を取る。
兜をゆっくりと外すと、魔王本人の顔が露わになる。頭の上にある二本角と、黒い肌に白銀の髪がよく映えていた。美しいではないか、十分に。
『なんだ、兜はもういいのか?』
『......我にはもう必要ない、新しくするからな』
そう言うと、魔王は背中に背負っていた2つの神器を出したーーアロンとベリアスの神器だ。
『お前は自分の神器の能力が「持ち主にあった形に武器を変える」ものだとでも思っているのか?違う、それは全ての神器が持つ能力の1つに過ぎない。通常神器の能力は、身体能力の向上と、状態異常の無効化が主な特徴だが、それに加えて「持ち主に最もあった武器を武器が選び、それに変化する」というものがある。神器が人を選び、そのものに最もあった武器になるのだ。今私が欲している武器は...なんだと思う?』
瞬間、2つの神器が鈍い動きの中変化する。ギリギリと耳障りな音をたてながらも神器は変わった。
その音は、まるで悲鳴のようにも聞こえた。
魔王の体に神器が合わさり、鎧として装着されていく。それに準じて魔王の体が変化していくが、それはもはや人の形をしていなかった。
魔王の体は上半身のみが肥大化し、後ろ足だけでは支えきれず手を前に出して、四つん這いのような形でいる。腕も過度に肥大化し、それに合わせて魔王の持っていた剣の神器も巨大になっていく。その剣は並の騎士が5人がかりでも恐らく持てないだろう。目の前で見ているクロには、その姿は獣にしか見えなかった。
『ははっまさに化け物だな』
『...だろうな、こんな体ではもう元の世界に帰っても化け物扱いだ。最初からお前と我は違う、お前は人間で、我は化け物だった。最初から全て違う、今のこの姿も生き残るために強くなった結果だ。』
『...そうか、もう...復讐しか縋るものがないんだな、お前には、これだけ大事なものが沢山あるってのに。』
『大切なもの?そんなもの、あの場所に全て置いて来たわ!』
そうーあの、元の世界に、全て、全て、置いて来てしまった。
魔王がこちらに向かって走りだす。その姿は小山が動き出したかのように見えるも相違なく見えた。剣を繰り出す。早い、それを止めようと神器をクロは構える。剣を受け止めた時、凄まじい衝撃が腕に伝わり、クロの体は浮き上がって吹き飛んだ。
『神器...槍の神器「ファキシリン」の毒付与と、弓の神器「トリスタン」のランダムに効果を付与する能力が鎧を通して伝わったか。これは...中々にいい力だ。先代の神器使い達も、これらを組み合わせで魔王と戦ったとでもいうのか。......まぁいい、これで私は世界最高の鎧を手に入れた。グリーン、お前の神器を手に入れ、東の国にあると言う神器を手に入れ、我は神を殺すぞ。』
高らかな魔王の勝利宣言、ボヤつく視界、その中で、クロは1つの声に絶え間なく支配されていた。
ーーーー君は「全力」で何かをやってはいけない
うるさい
ーーーー君の行動は、必ず誰かを傷つける
うるさい
ここにあった、どうしようもない力を、使う機会が、使わなければいけない機会が。目の前に自分の全力をぶつけなくてはならない相手がいる。全力でやらなきゃ、自分の何かが犠牲になる。
山の神との戦いも、どんな場所でも、元の世界でも、クロは本気を出したことはなかった。否、出せなかったと言った方が正しい。
幼き頃、喧嘩が起きた。3対1、自分が1だ。相手は上級生。相手は重症で、1人は生死の境をさまよった。今クロを縛っているのは、そんな頃に自分の担任だった教師の言葉だ。この力を、この類稀なる運動センスを一蹴した、どんな可能性だってあった。別段その教師とて悪気があってしたわけではない。ただ普通の子供にしようとしたことからの悲劇である。それがどれだけ残酷なことだろう。素直な彼は、怪我をさせたことよりも、その教師の一言が心に刺さった。それ以降クロは本気で何かをしたことはない。努力しなくてもできるというのがあるが、それよりも大きく心に傷があったためである。
「本気でやるな」喧嘩をするな、ではなく。本気でやるなである。君はなんでもできるから、本気で何かをやってはいけないと。
ーーーー君は本気を.........
こんな下らないトラウマなんぞに、惑わされてる場合じゃない!!
ただ、暇つぶしのためにやっていた喧嘩とは違う。今度は理由がある。「守る」ために、私は全力で戦う。
それならいいか?お前は許してくれるか?主人よ...
『もう、しょうがないなぁ...あんまり全力でやりすぎないでね、怪我しないように』
目の前で手に丸を作って、やれやれって顔をしたレッドがいた気がした。
『後悔しないように、後腐れなくやるのですぞー!』
感謝する。イエロー
『あらぁ~クロちゃん、頑張れぇ~!!』
あ、ありがとうホワイト。
「がんばって!」
うん、行ってくる。
『てか、何それ?そんなことあったっけか?覚えてねぇな、てか脳筋ゴリラにトラウマとかあったんだ?!』
お前は殺す。
ーーー君は.........
ーーー君............
ーーーき............
頭の中で何度も呟かれていた言葉は、次第に薄くなり、クロの頭から消えた。全力で、思い切ったフルスイング、それが魔王の腹部中心にあたる。
ドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
轟音、魔王の巨体が、宙に浮く。
魔王はなんとか着地するも、そのあまりの衝撃に、そのあまりの早さに、口から血を流してうずくまる。
なんだ今のは....?!こいつ、また......?!
『よし、絶好調!流石私だな!』
兜をゆっくりと外すと、魔王本人の顔が露わになる。頭の上にある二本角と、黒い肌に白銀の髪がよく映えていた。美しいではないか、十分に。
『なんだ、兜はもういいのか?』
『......我にはもう必要ない、新しくするからな』
そう言うと、魔王は背中に背負っていた2つの神器を出したーーアロンとベリアスの神器だ。
『お前は自分の神器の能力が「持ち主にあった形に武器を変える」ものだとでも思っているのか?違う、それは全ての神器が持つ能力の1つに過ぎない。通常神器の能力は、身体能力の向上と、状態異常の無効化が主な特徴だが、それに加えて「持ち主に最もあった武器を武器が選び、それに変化する」というものがある。神器が人を選び、そのものに最もあった武器になるのだ。今私が欲している武器は...なんだと思う?』
瞬間、2つの神器が鈍い動きの中変化する。ギリギリと耳障りな音をたてながらも神器は変わった。
その音は、まるで悲鳴のようにも聞こえた。
魔王の体に神器が合わさり、鎧として装着されていく。それに準じて魔王の体が変化していくが、それはもはや人の形をしていなかった。
魔王の体は上半身のみが肥大化し、後ろ足だけでは支えきれず手を前に出して、四つん這いのような形でいる。腕も過度に肥大化し、それに合わせて魔王の持っていた剣の神器も巨大になっていく。その剣は並の騎士が5人がかりでも恐らく持てないだろう。目の前で見ているクロには、その姿は獣にしか見えなかった。
『ははっまさに化け物だな』
『...だろうな、こんな体ではもう元の世界に帰っても化け物扱いだ。最初からお前と我は違う、お前は人間で、我は化け物だった。最初から全て違う、今のこの姿も生き残るために強くなった結果だ。』
『...そうか、もう...復讐しか縋るものがないんだな、お前には、これだけ大事なものが沢山あるってのに。』
『大切なもの?そんなもの、あの場所に全て置いて来たわ!』
そうーあの、元の世界に、全て、全て、置いて来てしまった。
魔王がこちらに向かって走りだす。その姿は小山が動き出したかのように見えるも相違なく見えた。剣を繰り出す。早い、それを止めようと神器をクロは構える。剣を受け止めた時、凄まじい衝撃が腕に伝わり、クロの体は浮き上がって吹き飛んだ。
『神器...槍の神器「ファキシリン」の毒付与と、弓の神器「トリスタン」のランダムに効果を付与する能力が鎧を通して伝わったか。これは...中々にいい力だ。先代の神器使い達も、これらを組み合わせで魔王と戦ったとでもいうのか。......まぁいい、これで私は世界最高の鎧を手に入れた。グリーン、お前の神器を手に入れ、東の国にあると言う神器を手に入れ、我は神を殺すぞ。』
高らかな魔王の勝利宣言、ボヤつく視界、その中で、クロは1つの声に絶え間なく支配されていた。
ーーーー君は「全力」で何かをやってはいけない
うるさい
ーーーー君の行動は、必ず誰かを傷つける
うるさい
ここにあった、どうしようもない力を、使う機会が、使わなければいけない機会が。目の前に自分の全力をぶつけなくてはならない相手がいる。全力でやらなきゃ、自分の何かが犠牲になる。
山の神との戦いも、どんな場所でも、元の世界でも、クロは本気を出したことはなかった。否、出せなかったと言った方が正しい。
幼き頃、喧嘩が起きた。3対1、自分が1だ。相手は上級生。相手は重症で、1人は生死の境をさまよった。今クロを縛っているのは、そんな頃に自分の担任だった教師の言葉だ。この力を、この類稀なる運動センスを一蹴した、どんな可能性だってあった。別段その教師とて悪気があってしたわけではない。ただ普通の子供にしようとしたことからの悲劇である。それがどれだけ残酷なことだろう。素直な彼は、怪我をさせたことよりも、その教師の一言が心に刺さった。それ以降クロは本気で何かをしたことはない。努力しなくてもできるというのがあるが、それよりも大きく心に傷があったためである。
「本気でやるな」喧嘩をするな、ではなく。本気でやるなである。君はなんでもできるから、本気で何かをやってはいけないと。
ーーーー君は本気を.........
こんな下らないトラウマなんぞに、惑わされてる場合じゃない!!
ただ、暇つぶしのためにやっていた喧嘩とは違う。今度は理由がある。「守る」ために、私は全力で戦う。
それならいいか?お前は許してくれるか?主人よ...
『もう、しょうがないなぁ...あんまり全力でやりすぎないでね、怪我しないように』
目の前で手に丸を作って、やれやれって顔をしたレッドがいた気がした。
『後悔しないように、後腐れなくやるのですぞー!』
感謝する。イエロー
『あらぁ~クロちゃん、頑張れぇ~!!』
あ、ありがとうホワイト。
「がんばって!」
うん、行ってくる。
『てか、何それ?そんなことあったっけか?覚えてねぇな、てか脳筋ゴリラにトラウマとかあったんだ?!』
お前は殺す。
ーーー君は.........
ーーー君............
ーーーき............
頭の中で何度も呟かれていた言葉は、次第に薄くなり、クロの頭から消えた。全力で、思い切ったフルスイング、それが魔王の腹部中心にあたる。
ドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
轟音、魔王の巨体が、宙に浮く。
魔王はなんとか着地するも、そのあまりの衝撃に、そのあまりの早さに、口から血を流してうずくまる。
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