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10章 多重人格者の未来は
戦闘、佳境へ
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1人、アイテールは王都の側にある崖に佇んでいた。
周りには、既に倒れ伏していた創世の四聖、幹部天使はこちらに武器を構えてはいるが、元々自らが産み出したものだ。問題はない。
ーーこれで終わりか?
少なくとも、私の知る限りで数千年前、私の使命を阻んだ者は今倒れ伏しているか、死んでいるかだろう。
自分が本体ではなく、ただの創り物であることを知った時もこうまで思うことはなかった。
本体が動き出し、自らの仕事がただの処理であることを知った時もここまで思うところはなかった。
最大の障害が取り払われ、あとはゴミの後片付けのみ。やる気が出ない、というのもあるだろう
それよりもやはり、虚ーーーー
アイテールの持つ虚しさは、次の瞬間には払拭されることになる。
その体に、1000を越える斬撃と衝撃を喰らったのでは
ーーーーーーっ!!
全方位の目が、そちらの方向を注視する。
その男は、王だった。
王の後ろに追随するのは、王都にいた全兵力。
そして、ベリアス、アロン、ヘリン、アリー
ライト王子の後ろには、大量のゴーレムが稼働している。
「この際出し惜しみは無しだ!ウルフィアス、全ゴーレムの魔力を使え!」
「...今の砲撃で貯めてた魔力をかなり使ってしまいましたがね。まぁ使い捨てる気でやればいいでしょう。」
そして、最後に...パンドラの箱にいた人外軍団。
先頭には、ジャック、ファムルス
そして...エルザがいた。衣服はそのままに、栗毛色の馬に乗り、アイテールに相対している。
「あら、元気ないじゃない、どうしたの?」
「......知っていたのか?エルザ、私がお前を作った訳ではないということを」
「.........なんの話?」
「...そうか、いや、流石は私のオリジナル。完璧だと思ったまで」
「......なんのことだかさっぱりだけど、貴方はここで殺るわよ。グリーンがいないのは気になるけど」
「...それを知る必要はない」
寸断問わず、アイテールから触手が伸び始める。
丁度いい、「喰いごたえ」のある奴らが来てくれた。
少しは退屈せずに済むだろう。
その触手は大地を唸りながら王国軍に向けてぶつかる...こともなく、突如現れた炎と冷気によって破壊される。
「なっ...!!」
「数千年の間お前が眠っていた間に、我々も強くなったということだ...!」
見れば、創世の四聖も立ち上がっていた。体はオリジナルのアイテールによって壊されていたとしても、そこは長寿の知恵である。回復速度が段違いだ。
「成長か...それもまた進化、私の存在意義である!喜ばしいぞ創世の四聖よ。」
途端、触手が大地を暴れ出し、地響きがその場を支配する。
だが、王の馬は止まらない。そして、王の後ろにいる精鋭達も、止まらない、止まることを許されていない。
そんなガウェインのところへ、一騎、馬が駆けてきた。
エルザだ。エルザもまた、アストルフ伯爵の要請によりこの場に呼ばれた1人だ。
「エルザ...と言ったか?グリーンの変わりに指揮を取っているのか。」
「ええ...後ろの兵士達、必要なの?正直足手まといとしか思えないけど」
「き、貴様!王に向かってなんという口の利き方だ!」
「よい、ヘリン。...この戦い、人が人の手で勝たねばならぬ戦いと、女神からの神託が下った。なら、私はそれに従うだけだ。安心しろ、責任は私が持つ、足手まといになどならんよ」
「そう...ならいいわ、私たちは好きにやるから。」
そう言うと、エルザは馬を綱を引き、ガウェインから離れる。
ゆっくりと、進軍速度を落とす王国軍に対し、更に、更にエルザ達は速度を上げていく。
「ま、まさかあの化け物集団...アイテールに突っ込むつもりか?」
ヘリンが気付き、呟いた時には、エルザ達はもうアイテールに肉薄していた。
彼らの持つ剣の1本1本が、アイテールの肉に入り、臓腑をえぐり出さんと剣を振るう。
だが...アイテールは、傷一つつかない。宝具...神器クラスではないと、この化け物に傷一つつけることすら能わないのだ。
「さて、潰すだけか。楽な作業だ。」
途端、エルザ達の頭上が、暗く、暗転した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「クソッやはり火力が足りんか!」
バハムートが火を吹きながらそう呟く。
「ふんっ!」
ガウェインの宝具が再度、アイテールの肌に突き刺さる。しかし傷は浅く、時間が経てば元どおりになってしまう。
「そうだな...やはりここへ来て、勇者の持つ火力、神々を回復する暇を与えず滅ぼす一撃がないのは辛いところがある...」
アルフィィオスもそう思案するものの、打開策がない。
アイテールに目に見える打撃を与えられているものは、王都のものでは宝具を持つもののみだし、それでも微々たるものだろう。
創世の四聖の五体はそれだけで宝具クラスではあるものの、アイテールに打撃を与えられているかといえば、苦しいものがある。
それでいてアイテールの攻め手は無限だ。触手が動くたびに、王国の兵士が、パンドラの箱の面々が血祭りに合う。スライムは打撃に強いため、死者こそ出ないものの、こちらも有効打が与えられていない以上ジリ貧だ。
そんな時、女神が現れた。
誰も予期していなかったのか、それとも彼女に気づかないのか、側にいたガウェイン王とベリアス、そしてバハムート以外にそれに気づいたものはいなかった。
誰もが最前線で戦い合っている、そんな時に彼女は現れた。
「フレイヤか!この状況、いかにして突破すれば良い、教えてはくれ!」
バハムートが鼻息荒くそう尋ねる、フレイヤは、巻き起こる戦果、やまない矢の中、平然とこう言い放った。
「勇者がいます、そのものに倒させれば良いのです」
「何を言っている?今代の勇者とは、それグリーンではないのですか?」
「それはオリジナルのアイテールに勝つために神器に適合するものを選んだまで、世界が、そして私が認めた勇者は違います。」
そう言うと、フレイヤは細い目をゆっくりと開けてアイテールを見据える。
「目の前のアイテールを倒す者は、この世界の人間でなければならない。そうでなければアレは納得しないでしょう。人の進化を証明するために、人は人の力のみで災害を打倒しなければならない。」
そして、その条件は、人は、もう揃っています、と。
「し、しかし、そのような条件を持つものなど、一体どこにいると言うのでしょうか。世界に選ばれた者など、ここには1人も「あーーーー!!」
「......へ?」
そんな間抜けな声を出したのは、ベリアスだった。
バハムートも、ガウェインも、彼の持つ一本の武器に注目している。
グリーンに神器、ファシキリンは渡してしまった、しかしこの槍はまだ残っている。
勇者召喚の儀式の際、勇者の代わりに呼び出された一本の槍
この槍は、森羅万象を癒す希望の旗...
これかぁーーーー!!!
ベリアスは1人、人の絶叫、怒号が混じる戦場で1人叫ぶのだった。
周りには、既に倒れ伏していた創世の四聖、幹部天使はこちらに武器を構えてはいるが、元々自らが産み出したものだ。問題はない。
ーーこれで終わりか?
少なくとも、私の知る限りで数千年前、私の使命を阻んだ者は今倒れ伏しているか、死んでいるかだろう。
自分が本体ではなく、ただの創り物であることを知った時もこうまで思うことはなかった。
本体が動き出し、自らの仕事がただの処理であることを知った時もここまで思うところはなかった。
最大の障害が取り払われ、あとはゴミの後片付けのみ。やる気が出ない、というのもあるだろう
それよりもやはり、虚ーーーー
アイテールの持つ虚しさは、次の瞬間には払拭されることになる。
その体に、1000を越える斬撃と衝撃を喰らったのでは
ーーーーーーっ!!
全方位の目が、そちらの方向を注視する。
その男は、王だった。
王の後ろに追随するのは、王都にいた全兵力。
そして、ベリアス、アロン、ヘリン、アリー
ライト王子の後ろには、大量のゴーレムが稼働している。
「この際出し惜しみは無しだ!ウルフィアス、全ゴーレムの魔力を使え!」
「...今の砲撃で貯めてた魔力をかなり使ってしまいましたがね。まぁ使い捨てる気でやればいいでしょう。」
そして、最後に...パンドラの箱にいた人外軍団。
先頭には、ジャック、ファムルス
そして...エルザがいた。衣服はそのままに、栗毛色の馬に乗り、アイテールに相対している。
「あら、元気ないじゃない、どうしたの?」
「......知っていたのか?エルザ、私がお前を作った訳ではないということを」
「.........なんの話?」
「...そうか、いや、流石は私のオリジナル。完璧だと思ったまで」
「......なんのことだかさっぱりだけど、貴方はここで殺るわよ。グリーンがいないのは気になるけど」
「...それを知る必要はない」
寸断問わず、アイテールから触手が伸び始める。
丁度いい、「喰いごたえ」のある奴らが来てくれた。
少しは退屈せずに済むだろう。
その触手は大地を唸りながら王国軍に向けてぶつかる...こともなく、突如現れた炎と冷気によって破壊される。
「なっ...!!」
「数千年の間お前が眠っていた間に、我々も強くなったということだ...!」
見れば、創世の四聖も立ち上がっていた。体はオリジナルのアイテールによって壊されていたとしても、そこは長寿の知恵である。回復速度が段違いだ。
「成長か...それもまた進化、私の存在意義である!喜ばしいぞ創世の四聖よ。」
途端、触手が大地を暴れ出し、地響きがその場を支配する。
だが、王の馬は止まらない。そして、王の後ろにいる精鋭達も、止まらない、止まることを許されていない。
そんなガウェインのところへ、一騎、馬が駆けてきた。
エルザだ。エルザもまた、アストルフ伯爵の要請によりこの場に呼ばれた1人だ。
「エルザ...と言ったか?グリーンの変わりに指揮を取っているのか。」
「ええ...後ろの兵士達、必要なの?正直足手まといとしか思えないけど」
「き、貴様!王に向かってなんという口の利き方だ!」
「よい、ヘリン。...この戦い、人が人の手で勝たねばならぬ戦いと、女神からの神託が下った。なら、私はそれに従うだけだ。安心しろ、責任は私が持つ、足手まといになどならんよ」
「そう...ならいいわ、私たちは好きにやるから。」
そう言うと、エルザは馬を綱を引き、ガウェインから離れる。
ゆっくりと、進軍速度を落とす王国軍に対し、更に、更にエルザ達は速度を上げていく。
「ま、まさかあの化け物集団...アイテールに突っ込むつもりか?」
ヘリンが気付き、呟いた時には、エルザ達はもうアイテールに肉薄していた。
彼らの持つ剣の1本1本が、アイテールの肉に入り、臓腑をえぐり出さんと剣を振るう。
だが...アイテールは、傷一つつかない。宝具...神器クラスではないと、この化け物に傷一つつけることすら能わないのだ。
「さて、潰すだけか。楽な作業だ。」
途端、エルザ達の頭上が、暗く、暗転した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「クソッやはり火力が足りんか!」
バハムートが火を吹きながらそう呟く。
「ふんっ!」
ガウェインの宝具が再度、アイテールの肌に突き刺さる。しかし傷は浅く、時間が経てば元どおりになってしまう。
「そうだな...やはりここへ来て、勇者の持つ火力、神々を回復する暇を与えず滅ぼす一撃がないのは辛いところがある...」
アルフィィオスもそう思案するものの、打開策がない。
アイテールに目に見える打撃を与えられているものは、王都のものでは宝具を持つもののみだし、それでも微々たるものだろう。
創世の四聖の五体はそれだけで宝具クラスではあるものの、アイテールに打撃を与えられているかといえば、苦しいものがある。
それでいてアイテールの攻め手は無限だ。触手が動くたびに、王国の兵士が、パンドラの箱の面々が血祭りに合う。スライムは打撃に強いため、死者こそ出ないものの、こちらも有効打が与えられていない以上ジリ貧だ。
そんな時、女神が現れた。
誰も予期していなかったのか、それとも彼女に気づかないのか、側にいたガウェイン王とベリアス、そしてバハムート以外にそれに気づいたものはいなかった。
誰もが最前線で戦い合っている、そんな時に彼女は現れた。
「フレイヤか!この状況、いかにして突破すれば良い、教えてはくれ!」
バハムートが鼻息荒くそう尋ねる、フレイヤは、巻き起こる戦果、やまない矢の中、平然とこう言い放った。
「勇者がいます、そのものに倒させれば良いのです」
「何を言っている?今代の勇者とは、それグリーンではないのですか?」
「それはオリジナルのアイテールに勝つために神器に適合するものを選んだまで、世界が、そして私が認めた勇者は違います。」
そう言うと、フレイヤは細い目をゆっくりと開けてアイテールを見据える。
「目の前のアイテールを倒す者は、この世界の人間でなければならない。そうでなければアレは納得しないでしょう。人の進化を証明するために、人は人の力のみで災害を打倒しなければならない。」
そして、その条件は、人は、もう揃っています、と。
「し、しかし、そのような条件を持つものなど、一体どこにいると言うのでしょうか。世界に選ばれた者など、ここには1人も「あーーーー!!」
「......へ?」
そんな間抜けな声を出したのは、ベリアスだった。
バハムートも、ガウェインも、彼の持つ一本の武器に注目している。
グリーンに神器、ファシキリンは渡してしまった、しかしこの槍はまだ残っている。
勇者召喚の儀式の際、勇者の代わりに呼び出された一本の槍
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