多重人格者の異世界転移〜あれっお前魔王じゃね?!〜

くろこん

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外伝1 四聖会議

新しい魔族の王は、聖人です

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「魔王...どうする?」

「あの子がやるので確定なんでしょ~ならいいよ。魔王様の遺言だしね」

「立候補で投票制とかないんですかね!?かつて魔王様が言っていたことのように!」

「論外だギール、はい次。ここに半こ押せ」

「インギョジダイ、ゴウジンニアトヲマガゼユックリトジダヨゼイヲ」

「それも却下です、ウォーカー。魔王軍は現在人手が足りません。キリキリ働いて下さい、あ、この書類間違えてますよディナス」

「そもそも何故私はここにいるのだ・・・私はそろそろグリーンのところに合流したいのだが)

「却下です。ケイアポリス王国と魔族の間にはまだしがらみが多くあります。ここは魔族に貢献し、人間と魔族の架け橋にディナス殿にはなって頂きます。」

「うう・・・・」

魔王城場内の一室にて


ウルフィアス
ウォーカー
ギネル
ビネルの魔族幹部達に、ディナスを加えた面々は、魔族が多く抱える問題に頭を悩ませていた。

 ディナスを覚えている者はいるだろうか、人魔対戦の時にパンドラの箱から救い出してもらった恩を返すためにグリーンの陣地にて参戦し、大活躍したリザードマンである。

 彼は人魔対戦の後に魔族領に帰り、同胞と共に自らの集落に戻った。そして、跡目争いで分裂寸前だったリザードマンを1つにまとめ、首領としてそこに居座ったのだ。

 なお、跡目筆頭だったパーソレープという若者が涙目だったとここに付随しておく。そして、今こうして魔族と一緒に書類仕事に明け暮れているのだが。

「あ、ディナス殿には空席の魔族幹部の6位に入って頂きますので、異論は認めません」

「いやいや、断るが、私はあくまでグリーンの・・」

「魔族とのパイプがあれば後々良いこともあると思うなぁ、彼は新興家族として立つようですよ?魔族との交渉は当面は帝国がやるでしょうが、その情報とかも欲しいでしょうし。リザードマンの首領としても悪い話ではないと思うのですがねぇ、名前だけでも良いですし」

「う・・うむ、名前だけなら」

  うまく、丸め込まれてしまっていた。そして、今 (こきつかわれている)に至る。

「新しい魔王様とは、どのようなお方なのですか?私には良く分からないのだが」

「あ、ディナスは最近来たばかりだから知らないか。新しい魔王様は先代の魔王様の長男で、多分この世で魔王に最も相応しくない方」

「は、それはどういう」

「魔王様がいらっしゃいます!」

 扉の向こうからメデューサの声が響き、魔王軍幹部達の集まる席、その仕事場所の扉が勢い良く放たれる。途端に白と銀に体を彩られた、鬼神が現れた。

 その体は175センチ程度の、人間なら普通、魔族なら決して大きくはないと言えるその体に、豪奢な冠と服装は、下手すれば人間の王に見えなくもない。顔も肌も人間に近く、遠くから見れば人間に見えなくもない。

  目もとはふにゃっとした締まりのない顔を見せており、口元も微妙に笑っているような顔を常にしている。

聖魔鬼神ーー彼は自らをこう称した。

「久しぶりだね、みんな!父上の代わりによろしく頼むよ」

 彼は、普段は魔王が座るはずの席にどっかりと座り込み、開幕からこう伝えた。

「これが魔王だと?私のイメージとは全く・・」

「だから言っただろうディナス殿。魔王に似合わないと」

「え?何みんなそんなこと言ってたの?ひどいなぁ。僕は真面目にやってるのに!」

  そう言いながらも彼ーー新魔王は笑みを崩さない。それがかえって不気味さを感じるということに、魔族幹部達はようやく気付いた。

「あれ?静かになったね、じゃあ今後のことを話すね!これから魔族は人間との、具体的には帝国との融和を図る。シナリオ的には、父上が勝手に暴走して逆らえませんでした!クソ野郎が死んだので人間には恨みもありません!エルフと獣人の解放もされましたし、改めて正式に友好条約を結んで下さい。これで行くからね~」

 魔族幹部全員が噴き出した、このシナリオが、あまりに前魔王、つまりは父を貶める提案であることは明白だからだ。

「ま、魔王様!それではあまりにも前王、父上様に申し訳が立たないでしょう!」

「なんで?死んだ奴に興味はないし、人間との徹底的な軋轢を産んだ原因は間違いなく父上でしょ、せっかくだから悪事は全部あの人が命令したことにするから。異論がある奴は後で個別に僕のところに来て?勿論僕の意見に反対するなら、力ずくでどうにかできるんだよね」

  そう言うと、魔王の体から魔力が噴き出し始める。その魔力は紛れもなく前魔王の魔力に酷似しており、彼が間違いなく魔王の息子であり、正当なる後継者である証明でもあった。

  それと同時に、彼がこの中で最も魔王、否父の死を最も悲しんだことも知っているのだ。いやまぁ事情はわかっているようだが、それでもなお父が去り、これからこの国を背負っていくと言う重圧。それを彼は1人で受けようとしているのだ。こうなって当然だろう。

  しかも、彼は王としては最善手を打っている。止める者など、この中にいるはずもなかった。

「わかりました、我々魔族。これから貴方様に先代とも変わることのない忠誠を尽くします」

  そう言って扉から入って来たのはアスカモーだった。深々と玉座の前へ移動し、臣下の礼を取る。実は一部では彼が次の魔王になるのだと噂されていた、魔王から神器を受け継いだ者、として祭り上げられる始末でもあった。そんなことをアスカモーが受け入れる訳もないし、逆に粛清する始末ではあったが。

「アスカモー、君が真っ先にやってくれると思ったよ」

そう言って、新魔王は笑った。

他の幹部達も続々とアスカモーに続き臣下の礼を取る。魔王軍の、アルフィィオスを除けば実質臣下No.2の男が臣下の礼を取る。この意味がわからない者など、この場には存在しなかった。

「ありがとう、みんな。じゃあ、僕たちも前に進もうか。まずは戦力増強、救ったエルフ達の中からも使えそうな人材を探すよ。」

  聖魔王・・後にそう呼ばれることになる彼は、後に教会より聖人認定がなされ、勇者との戦いで陰ながら戦闘をサポートした聖アルゴスと並んで2大聖人と呼ばれることになる。

  この裏では、人間との融和を図りたい魔王の思惑が裏ではあったものの、彼はこれより聖魔王を名乗り、躍進を続けていくことになる。次なる戦いに備えて。










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