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2部2章 バウムクーフン伐採

グリーンside決着

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「先にネタばらしでもしてやろうか?」

「じゃあ、お願い。」

 そう言うと、ヴィヴィは短い手を前に突き出し、自分たちをまるごと転移させる。

 そこは、ベルハイムと戦った木の真正面に位置する晴れた青空の広がる森だった。

「ヴィヴィ様!」

「ベルハイム、ありがとう。あとは説明するから」

「はっ」

「いや~大将!そろそろ入った方がいいかな?とは思ったんですが、この子を倒せる気もしなかったし、殺気も感じませんでしたし、諦めちまいました。」

「この野郎がぁ...」

ベルハイム、ジャックがそれぞれ自らの主人に挨拶をする。それが終わるとヴィヴィとオレは再度向き直った。

「で、いつから気づいてたの?」

「あ?最初に穴から入って来た時からだろ、普段のジャックに比べると声の高さも1オクターブ高いし、体の重心の向け方も違いすぎるだろ。オレにもバレちまうレベルじゃあ、お前かなり下手くそな部類だろ?」

「これでも、旅人を惑わす種族が元の神なんですがね私。それにしても、そこまでわかるものなんですかね?」

「イエローに教えてもらっただけだ、アイツの方がよっぽど凄いぞ。歩いている人物が何持ってるかまでわかるんだから、アイツの目によると、オレ達は丸裸同然らしい。それにジャックは気づけばもう3年もの付き合いだからな、注意して見るぐらいするさ。」

 そう言うと、オレはゆっくりとため息をつく。イエローは王都で歩いていた時、その人が現在何を持っているかなどをピタリと当てて見せたことを思い出した。

「で、偽物かどうかはわかったが、後は何故こんなことをしたかだ。さっきレッグにも言った通り危害を与える目的ならもっと上手い方法はあるはずだ。神の中で最弱って言ったって、それこそこの世界で11番目に強いんだぞ?」

「私より強いアイテールを倒した貴方がそれを言う?」

「舐めるな、アイテールをを倒したのがオレじゃねぇかとはとっくに調べがついてるんだろう?いや、オレ達が複数人いることも知っているか」

「ご名答よ、知恵の英雄。」

「試した理由はなんだ?」

「それも貴方なら想像がついているのでしょう?『知恵の英雄』もう目星がついているのに語らせるのは良くないわね。」

 知恵の英雄?こりゃ大層なアダ名だな、そうだ、今回の動きに関して、彼女の動きは不可解というか、変なところが多すぎる。この樹木にしても、これを放っておけば大地の栄養素を搾り取り、全ての土地が荒野とさせるこの樹木を、世界を救う役割を担う神が放って置いてるという事実。

 そしてそれが、フレイヤやウルフィアスに伝わっていないということだ。少なくともオレはここに神がいるなんて聞いてねぇぞ。コラ

 しかも、わざわざオレを試した意味。つまり、これはオレの知恵を借りたいということに推移する。

 
もしかして






「・・・・まさかとは思うが、この樹木はそのままに危険性のみを取り除いて欲しいとか無茶なこと考えている訳じゃねぇよな」


「はい、そのまさかです」

「クソがぁぁぁぁぁ!」



◇◇◇◇



「実はこの木、元々私が原因なんです。」

「ふーん」

 つまりあれか?こちとら領地改革に忙しいのに、神様のミスでここに呼ばれたと?へぇ

「植物学者で、品種改良とかをしてたんですけど、そのうちの一個がここにちょーど落ちちゃって。お願いです!傷つけずに根が広がるのを阻止して下さい!今は私が抑えてますけど、ずっとここにいる訳にもいかないので。」

 「テメェ一生ここにいろよ・・・・」

つまり、この樹木を傷つけることなく世界を救って欲しい

「そういうことだな」
「そういうことです」

「死にさらせや」

 じゃあ、この森対策に持ってきた除草剤やチェーンソーや、その他諸々使えねぇじゃねぇかよぉぉぉぉぉ!

「ごめんなさぁい、お願いします!どーしてもデータが欲しいんです、なんならこの世界荒野になっても構いませんから!」

「おい、今からコイツぶん殴りたいんだが、いいかジャック?」

「落ち着いて下さい大将、ともかく樹木を一切傷つけずにどうにかする方法を教えて下さい。」

「そんなことできる訳・・あ」

「なんですか?」

「あったわ、その方法」
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