僕の生きた証と僕が遺したモノ語。

律血髏

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1章「カウントダウンと大切なモノ。」

そうだ!ゲームを作ろう!①

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ーーーまえがきーーー
分割しました。
週3回、1500字程度ずつUPしていきますのでよろしくお願いします!
ーーーーーーーーーーー



「なにか形に遺せるものか・・・。」


一概に形といっても、早々浮かぶものでもない。


「そうだ!」


ヒントを探すために、中学生の頃からつけている日記を開く。


1ページ1ページ噛みしめるように眺めていく。


何気ない日常が1日1日丁寧に書かれている。


ちょうど4冊目の半分に差し掛かるところに、写真が挟まっていた。


「これは・・・。」


14歳のとき、地元のゲームショップで開かれた有名なゲームシナリオライターのサイン会に撮った1枚だった。


そこには満面の笑みで握手をする自分の姿が写っていた。


8月4日(水)
今日は、ゲームの発売記念イベントに行ってきた。
僕が一番大好きな笹西さんと握手して、サインももらって最高の1日だった。
いつか笹西さんのようなかっこいいシナリオライターになりたいなと思った。


「懐かしいな・・・。」


事実今は夢はない。諦めた。実際にネットでシナリオライターの色んな対談やインタビューを聞いて、僕には無理だと決めつけたんだ。


「もう一度、最後くらい、夢を追いかけてもいいよね。」


なにか行動を起こさない限り、無理と決めつけることはできない。


こうして1枚の写真をきっかけに、ゲームを作ることを決めた。


ノートをめくっていたら外は暗くなっていた。


父「それで決まったのか?」


リビングで父との夕飯を食べていたときだった。


叶輔「うん。僕はゲームを作ろうと思う。」


父「ゲーム?」


怪訝そうな面持で首をかしげる。


叶輔「命の大切さ、価値を伝えるためのゲームを作りたい。」


父「なぜゲームなんだ?」


叶輔「中学生の頃の日記を見てて、夢を思い出したんだ。最後に夢を叶えたい。今の自分だから書くことができる物語で、僕の生きた証を遺したい。」


父は力強く頷くと、向き直る。


父「そういうことなら俺も全力で応援するよ。全力で頑張ろうな。」


こうして僕の最初で最後のプロジェクトが始まった。




【3月14日】


僕は父と総合病院にきた。


昨日と同じ診察室。


太田「良い顔になりましたね。何かあったんですか?」


先生が驚いたように尋ねる。


父「私も覚悟を決めました。息子のために、父として全力で応援しようと。」
僕が口を開く前に父が答える。僕はそれに続いた。


叶輔「僕は決めたんです。ゲームを作ると。」


太田「ゲーム...ですか?」


叶輔「中学生の頃、ゲームを作りたいって夢があったんです。つい昨日まですっかり頭から抜けていたんですけど、写真を見つけて思い出したんです。」


太田「だがゲームを作るには時間がかかる。君の余命は長くて1年だ。そこを理解しての決断でいいのかな。」


叶輔「もちろんです。命の大切さ、時間の価値、今の自分だから作ることができる最高のものを遺したいです。」


太田「わかった。だが無理をさせることはできない。お父さんも協力してあげてほしい。」


父「元よりそのつもりです。全力で応援します。」


太田「良いでしょう。楽しみにしていますよ。」


叶輔「ありがとうございます。」


先生は優しく微笑み、僕は病院をあとにした。


家につくと、部屋でゲームの構成を考えることにした。


ゲームを作ると言っても、どういうゲームを作るのか、きちんと決める必要がある。


僕はもうどういうゲームを作りたいか決めている。


今まで僕は時間は無限にあるとそう思い込んでいた。でも突然時間が限られていることを知った。


その一瞬で、僕の時間の価値が跳ね上がったんだ。


今までとは1分1秒の重みが違かった。


何も感じなかったこういう自室で過ごす時間も、1分1秒噛みしめて、大切にするようになったと感じる。


「時間」を大切にしてほしい、時間の価値は自分で決める。誰かに決められるものじゃない。


これが僕のゲームで伝えたいメッセージ。


こうして3月13日病院の診察室から始まった僕の戦いが幕を開けたんだ。
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