死神と僕

物語ミノ

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死神の鎮魂歌

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知らない人が堂々と自分の家を歩いているのを見た少年は驚きを隠せずにいた。
だから、ついつい聞いてしまった。

「お兄さん、だれ?」

幽霊にしては透けてない、けれども人にしては生命力を感じないこの“お兄さん”を少年は本能的に警戒した。


少年とは裏腹に“お兄さん”は戸惑っていた。いくら霊感が強くても死期が近くなくては自分が視える事なんてないと思っていたからだ。

“お兄さん”は焦りの色を精一杯隠しつつ告げた。

「俺はシキ。お前、いくつだ?」

「お前じゃない!僕は小宮 湊。十歳。」

見つめ合う双眼はこの時、運命を感じた。

「シキはどうして、僕の家に?」

「君のお婆さんの魂の回収……まあ、命を取りに来たってことだ」

シキは素朴な疑問を持った事を後悔した。祖母が亡くなった事を再確認させられたという思いが生まれたからだ。

「お前のせいでばあちゃんは死んだのか?」

「いや、そういう定めだったのさ。
人は皆、寿命…生きられる年が決められていて湊のお婆さんはそれが今日だったんだ」

シキは少しだけ遠い目をしながらしみじみと告げる。その時、湊は重大なことに気が付き驚きの声をあげた。

「シキって人間じゃないの!?」

「あっ!しまった。言ってないのに仕事内容だけベラベラ喋っちまった」

シキは顔面蒼白でその場に崩れ落ちると、真顔で謎の呪文を唱え始めた。すると辺りに白い円状の図形が現れ、その中に違う形の図形やら見たことのない図形やらが現れる。そして、段々とその円が発する光は強さを増してく。一段と光が強くなったその瞬間、パリンと音を立てて完成したと思われた図形が崩壊する。

「……え?」

「なんだと…」

二人の戸惑いを 打ち破る音が近づき、顎に手を添え声をかける。

「死神さんや、うちの孫にそういう事されると困るんじゃよ」

「おじいちゃん!?」

その声の主は湊の祖父、晴之助であった。

「婆さんだけでなく、儂の大事な孫の記憶まで持ってかれるのは我慢ならんからな」

「神の意志に背くのか?」

「儂は君らを神とは思っとらんよ。
君らはーー傀儡じゃろ?」

シキは眉をひそめた。
その言葉の意味も言っている内容も湊にはよく分からなかった。
『違う世界の話』そんな言葉が腑に落ちる。
一方、晴之助とシキは睨み合っていた。

「確かに、傀儡であることは認めざるを得ない。だか、それはお前らとて同じことだろう」

「そうだとしても、人は直接の支配を強いられはしていないのじゃよ」

二人の話は平行線を行く。二人はああ言えばこう言いを繰り返し続けた。
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