この世界は広いから ~家から逃亡した転生者は自由に生きます~

竜漂貝 氷河

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第一章 逃亡編

1話 俺のこれまで

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バチンッ
侯爵家の豪華で煌びやかな廊下に派手な音が響く。

「この役立たずが、誰が部屋から出ていいと言ったの。この、レナール侯爵家の恥知らずが」

顔の化粧が濃い女性が手に持った扇子で一人の少年をはたいている。

「はー、本当に汚らわしい。早く部屋に戻ってその姿を見せないで頂戴。」

「…。」
少年は、そのまま部屋にゆっくりと何も言わず帰る。
いつもなら、「すいません。ミエル・レナール様すぐ部屋に帰ります。」と泣きそうな顔で言うのに…
それを見てその女性―ミエル・レナールは、「何も言わず帰る気?本当に下品な事。」と後ろで叫んでいるが
少年は、何も言わなかった。いや、言えなかった。少年は、今それどころではなかったのだ。

少年―クリス・レナールは、部屋に帰り何かを思い出す。

俺は、転生したのか?えっと…
平凡…に過ごしてて、家の近くに新しくできたこってりラーメンが味わえると聞いたラーメン屋に行く途中の横断歩道でトラックに引かれて死んだと…
えー、どしよ?俺の前世の説明終わっちゃったよ。人生あっけな…
まだ俺20歳だぞ?いくらなんでも若すぎるだろ…もうその事はいい。

というか、今世最悪すぎるだろ。
ん?なぜ俺があんなに家族?に嫌われているかって?
何故かというと、俺のスキルが弱い上に魔法も使えないし祝福もないからだ。
俺のスキルは、"テイム"なんだがスキルにはランクというものがあってなA~Dまで、まぁSもあるんだかこれは物凄くヤバくてほぼいない。で、俺のランクはEである。ん?ってなるよなぁ。というのも、弱すぎてまともに機能しなくて、本当にいないから、要らないと思ってこの世界の常識から消されたらしい。つまり、最弱モンスターのスライムでさえテイムできるか分からないのだ。終わってるだろ。それに魔法も使えない。ちなみに、魔法というのは、火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性、雷属性、氷属性の八種類で複数の属性を持っている人もいる。だが、魔法は魔力があってこそ使えるのだ。俺の魔力は、20である。産まれたばかりの赤ん坊でも、30はあるのだ、俺は赤ん坊よりも弱いのだ。ちなみに、俺は闇属性なんだが闇属性は空間を主に操るようなものが多いため、空間収納や、転移魔法ができるのだ。ただ闇属性は、魔力が多い方が有利なのである。下級魔法でも、100は魔力がないと打てないのだ。よって俺は魔法が使えないのだ。そして、祝福とは、神からの
お祝いだ。能力に限界はあるかもしれないが魔法みたいに魔力切れを起こさないから、ノーリスクで力を使うことができるのだ。俺は、祝福持っていない。
ここまでくると、自分が自分で可哀想になってくるわ。神よ、俺なんかしましたか?

てな感じで、可哀想すぎるのだ。
その上、俺の父親と母親…いや、国自体がそもそもスキルと魔法を重用視するもんだったからレナール侯爵家恥知らずだと言って
家から出さず俺のことを使用人のように使っていたが、まともな飯も食えないせいで体が弱って
少し歩くだけでも、息切れするようになってしまったからか、使い物にならないとばかりに北のめっちゃくちゃ寒い物置小屋に押し込まれてしまった。しかも、最近はメイドも飯を持ってくるのや飯を持って帰るのも忘れたりしてやりたい放題だ。さっき、だって食べ終わった食器をメイドが片付けに来なくて持っていった帰りに母親に見つかり扇子ではたかれて前世を思い出したのだ。神様、俺に転生特典とかはないんですか…

はー。というか、もう昼なんですけど昼飯まだですか?腹が減ったぁ
どうしよ?台所を物色しに行くか?母親に見つかるか?いや、そんな事より腹が減って何も出来ない。
よし!もう物色しに行く!

扉を開けようとドアノブを回す…
ガチャガチャガチャ

「開かない。」
ついには、鍵を閉めて餓死にでも追い込もうとしてるのか?
最低すぎるだろ…

もう、いい。木の実とかを森に取りに行こう。幸い比較的安全で木の実が沢山なっている森がある。
ただ、それでも危ない可能性だってある何か持ってくか。幸いここは物置だ何かしらはあるだろう。
えーっと、これなんだ?分からん次~。あっ、これは、発光石×1か、お?魔香石×2と発火石×2もある!これは中々いいのでは?

どんな効果があるかというと…(ちなみに発見したのは、魔石と呼ばれる魔力の詰まった石である。)
――――――――――――――――――――――――
発光石…割ると凄く眩しく光る

魔香石…割ると魔物が好きな匂いが出る

発火石…割ると火がつく
――――――――――――――――――――――――てな感じである。

あ、使用人のような事をやっていた時にこっそりと盗んだ使いかけの回復ポーションも一応持っていくか!
よし、それじゃあ出発~!
え?どうやって出るのかって?それは、実はこの段ボールを動かすと壁が壊れていおり、穴が開いているのだ。
冬は風が入って寒く憎いが、今日は、感謝しておこう。って言っても穴はかなり小さいもう後数センチ
身長が伸びれば通れなくなるだろう。え?飯が無く栄養が無いから身長が伸びないって?余計なお世話だ!








―――そうして俺は、森に木の実を取りに入り、運命の出会いをする





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