この世界は広いから ~家から逃亡した転生者は自由に生きます~

竜漂貝 氷河

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第一章 逃亡編

4話 初テイム

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「や、やめて…」

「はぁ…。出来損ないがなにをいってるんですかー?」

「そ、それ、やだぁ。」

「やだって言ったて、出来損ないで言われたことをきちんと出来ないあなたが悪いんですよー
  お仕置きです。別にあなたをいじめるつもりはないんだからー泣かないでくださいねー。
 うるさいのでー。」

嘘だ。
「いや、いやぁぁ。ごめんなさい。ごめんなさいィィ。」

―――ジュュュュウ

「アアアアアアアアア」


ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
出来損ないでごめんなさい。生まれてきてごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

痛い。痛い。熱い。熱い。
誰か助けて。助けて。助けて。

誰か――





                  助けて  













□   □   □








「きゅー、きゅー?(起きろ、大丈夫か?)」

「ん、、ん?」

ガバッ

急に寝ぼけていた頭が覚醒する。
えっ~と、ここは、俺の部屋。昨日は、前世を思い出して、、巨大な蜘蛛に追いかけられた。
なるほど~。ってなるか!あそこ比較的安全な森じゃなかったのか?というか、前世を思い出してまだ一日?くらいしかたってないんだけど。そういえば、今は何時だ?ん?てか、さっき起こされなかったか?

身体を起こしてみると、ベットの上に青いツヤプルの丸い物体がいた。あ、あれだけ走ったのに意外に体が痛くないなぁ~。うん。現実逃避もそこそこにし…

「きゅーきゅーきゅーきゅー。(体が痛くないのは、お前がくれたポーションの効果が我の体にまだ残っていたからその効果を使って、我が痛みが和らぐようにしてやったからだ。あと、これは現実だ。)」

うん。どうみてもというか話してる感じ(?)、昨日俺が助けたスライムだな。
というか、なんで俺スライムの言葉?というか言っている事が分かるの?
とりあえず、昨日の事を聞いてみるか?

「お、おはよ。い、痛みを和らぐようにしてくれたんだなありがとう。多分じゃなくても、君は、俺が回復ポーションをあげた子だよね?」

「きゅーきゅー。きゅ、きゅーきゅー。(どういたしまして。そして、我もお前には感謝しなくてはいけない。助かった…感謝する。)」

すぅーー。通じてるー。話が普通に通じるー。ど、どうする?とりあえず、この子に、質問していくか?

「な、名前は?」
「きゅきゅ。(野生?の魔物は大体、名は持っておらん。)」

「じ、じゃあ、どうしてあそこにいたの?」
「きゅー、きゅー、きゅー、きゅー。(普通に生活しておったら、あの奴に遭遇して、やられかけ、あそこで倒れていた。)」
「そ、そうか。大変だったな。」

「えと、えっ~と、どうして俺は君と話せるの?」
「きゅ、きゅ、きゅ(お前がそうゆうスキルか祝福を持っているのではないのか?)」
「えー、そんなスキル持っていた覚えないし、祝福はそもそも持っていないし。」
「きゅーきゅ。(じゃあ、知らん。)」

□   □   □




あれから何時間か何分かは、分からないがとにかくスライム君をひたすらに質問攻めにしていた。
ちなみに、今はお昼頃だそう。

「きゅーきゅ?(聞きたい質問は全部聞いたか?)」
「あぁ、ありがとう。」
まぁ、とにかくツッコミたいところ満載だが、少し驚く事に疲れたのである。

「きゅー、きゅー、きゅー、きゅー?(我からも、質問いいか?)」
「いいよ。」
「きゅーきゅきゅー、きゅー?(お前の、スキルはなんだ?)」

スキルを聞いてど、どうするんだ?まぁ、いっかぁ…
「テイマーだ。そ、そしてE級。」
「きゅー、きゅーきゅー。(そうか。テイマーか、ならちょうどいい。まあ、E級なのは、何回もやればいけるし問題ないな。)」
「な、何が?」
「きゅーきゅー。(我の事をテイムして欲しい。)」
「な?!なんでだ?」
「きゅ、きゅー、きゅ?(やっぱり、スライムは、弱くてダメか?)」

少し悲しそうに、ツヤプルボディをふるふるしている姿は、とても可愛い。って事もあるけど違くて…
「いや、そうじゃなくて。そもそも、俺はE級だから、テイムできるかも分からないんだぞ!やり方も分からないし。」

「きゅー、きゅー。きゅー。(出来なかったら、出来るまでやればいい。やり方は我が知っている。)」

「はぁ。」
いや、どうしてこのスライムはそんな色々な知識を持っているんだ?

「で、でもいいのか?俺的には、話し相手がいないから、いてくれると嬉しいんだけど…俺ものすごく弱いぞ。多分、普通にスライムより弱いと思うし…なにより、俺の従魔になっても俺は何もしてあげられないぞ。」

「きゅーきゅーきゅー。(基本的にテイムされた魔物は…強くなるから大丈夫だ。それに、我は利益の為に一緒にいようと思ったわけじゃない。お前に助けてもらったから、お前の事を我も助けたいと思ったから提案したんだ。)」

「あ、ありがとう。…。君がいいんだったら、俺はいいよ。」

「きゅー。(決まりだな。我の言ったとおりにやってくれ、まず、自身の血をテイムしたい魔物に一滴垂らし、”テイム”と言う。テイムしたいという気持ちを込めるといい。そして、最後に、テイムしたい魔物に"名"をつけてやるとできる。)」

なるほどー。…本当になんでこんな事知ってるんだよ。アドバイスも
入れてきたし。まぁ、一回この話題はおいておくか。うーん。"名"か適当にスラちゃんとかは、ダメだよなぁ…いい名前、いい名前、スラ…。イム…。スラ…決めた!!

「よし。準備完了!早速始めるぞ」
「きゅーきゅーきゅーきゅーきゅー。(あぁ、こっちも準備は終わった。いつでもいいぞ。)」

スライム君から受け取った針(部屋に落ちていたヤツ、スライム君が見つけて、スライム君がどうやったかは知らないが、きちんと消毒もしてあるらしい。マメな奴。)で指に刺し、スライム君に一滴垂らす…。(針で刺したところは、スライム君が回復ポーションの残りの効果とやらで治してくれる。)

「【テイム】」
「そして、名前は…「きゅーきゅ。(ダメだ。今のところで青白く光らないと意味がない。やり直しだ)。」
「うぅ…。分かりました。」


そうこうして、七回目…

「【テイム】」
スライム君の体が青白く光る。

よし!そして、テイム1回目から温めに温めた名前は…



「"スラムリー"」
すると、青白く光ってた光が、どんどんスラムリーの体内に吸収されるように小さくなり、やがてすべて吸収された。

「やったーーー!成功だーー!よし。これからよろしくな!
 スラムリー!」
〈そうか、スラムリーかいい"名"だ。これからよろしくおま…あるじ。〉

うん?なんか声が直接頭に響く?さっきまでは、鳴き声からなんとなく言っていることを読み取っていただけなのに…今は、もう落ち着いた感じの少年の声が聞こえる。

「な、なんか…?頭に…直接…。」
〈あぁ、これは、"念話"というスキルだ。〉
「おぉー」
なんかすげー便利そうなスキル持ってんじゃん!



□   □   □







しばらくスラムリーとどうでもいい会話を続けていると…。









――コンコン
「失礼しまーす。お昼を持ってきました~。」









―――お昼ご飯の時間だ。


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