この世界は広いから ～家から逃亡した転生者は自由に生きます～

第一章 逃亡編

3話 蜘蛛さんこんにちわ

なんだあの蜘蛛、きっもち悪っ!
ってなんか紫の液体みたいの吐いてきたんだけど、絶対毒じゃん。
当たったらダメなやつじゃん!最悪!

糸のようなもので巻き付けようとしてくるが間一髪で逃げる。
ヤバい、ヤバい追いかけてくる～
てか、さっきのスライムが怪我した理由絶対こいつじゃん!

「はぁ、はぁ、はぁ」
というか、まともにご飯が与えられていなくただでさえ貧弱な体に、森中を歩き周り疲れている
俺の体は、もうすでに限界に近い…
早く何とかしないと。

なんか持ってたけ?あ!そういえば…発光石、魔香石、発火石を持っていたな?
試しにやってみるか…うーん。どうしよ?発光石じゃ目くらましになるだけだしなぁ。
よし、発火石が一番攻撃力が強いし、これにするか!

――――パリン
よし、5.4.3…
発火石を目の前にいるデカイ蜘蛛に投げつける。


――カキーン

「な…!?」

ただ、見事に前足?ではじかれる。そして、飛んでいった発火石が少し遠くで爆発した事が分かった。
ど、ど、どうしよう?魔香石を使うか?魔香石を少し遠めのところに投げてみれば、魔香石に蜘蛛が自ら寄っていくかもしれない。よし!やろう!

――パリン
魔香石を少し遠めのところに投げる。
いけるか?

「シャーシャー」
駄目だったー!なんだあれ!本当に効果あったのか?どうしよう?今ので貴重な魔石を2個を無駄にしちゃったよ。てか、本当にチラッと魔香石の方を見ただけじゃねぇか!!

その巨大な蜘蛛は、今もなお元気に毒?を吐き出して、糸で巻き付けようとしている。
それに、なにより本当に俺の体力が限界だ。

何かないか?発火石を…魔香石をこうして、いや、これじゃ無理だ。
チラッと気をそらすことはできる…。そこに…発火石を…ってダメだ。魔香石を投げる段階であの蜘蛛は、身構えちまう。何か来るってわかっていても…ビックリというか少し気をそらすやつは…あ!いけるかもしれない!
ただ、やるか?本当に成功するかも分からない。確実に次失敗するとこの蜘蛛に捕まる事は確定だ…

「シャァー、シャァー、ペッ!」
あっっぶな、毒?があと本当に少しであたりそうだったんだけど!!
もういい、こうしてそうこうしてるうちに死ぬかもしない。
だから、イチかバチかの賭けに出る!

――パリン
発光石!!!

――ピカーーン
辺りに眩しい光が放たれる。

「シャァァァ!?!?」

――パリン
少し遠めのところに魔香石を投げると…
蜘蛛は、少しだけ魔香石に気を取られる。

その少し警戒がおろそかなところに…
――パリン
5.4.3…

「2.1!!」
発火石を蜘蛛にめがけて投げつける。

すると、突然…蜘蛛の体から炎があがる。
「シューシュー」
蜘蛛は、苦しそうに必死になってもがいている。

よし!成功だ!!
発火石の効果は、いつまで持つかは分からない。
その効果があるうちに、逃げよう。


□　　　□　　　□









その後は、どうやって屋敷に帰ったかは覚えていない。
我武者羅に走っていたら…晩御飯の匂いがしたんだっけ?
分かんないや。ただ、屋敷に着いてベッド…にしては、質素な布団に入って死んだように寝た。



――――前世を思い出して…いや、この世界に転生してから初めて、家…部屋に無事に帰れた事に安心した。